鍵は「オフ・ザ・ピッチの振る舞い」に
2000〜2010年代にかけ、早稲田大学、同志社大学、法政大学、関西大学、立命館大学、日本大学など体育系大学以外でのスポーツ科学系学部の設立が相次いだ。2023年度には立教大学が新たにスポーツウエルネス学部を設置。これは、スポーツ科学が社会に求められている事実を物語る。
この10年ほどはテクノロジーの進化に伴い、デジタル技術を活用したスポーツテックが普及。ユーフォリアが開発・販売する選手のコンディション可視化ツール「ONE TAP SPORTS」は、スポーツテックの先駆けとして国内外71競技、約1700チーム(2022年12月時点)に導入されている。
ユーフォリア共同創業者で代表取締役の宮田誠氏
(撮影:小口正貴)
「ONE TAP SPORTSは車にたとえるならダッシュボード。スピードメーターやガソリンメーター同様、常に選手の状態を把握するツールとして開発した。トップスポーツ向けのサービス開発を手がけるのは初めてだったが、携わったのが最先端のスポーツ科学を学んだコーチ陣だったので、彼らの要望に食らいついて行けばきっと一流のソフトウエアになるとの確信があった」
成果は歴史に残る実績となって現れた。2015年ラグビーW杯では強豪国の南アフリカ共和国を破る「ブライトン・ミラクル」を実現し、日本開催となった2019年ラグビーW杯ではベスト8に勝ち進んだ。「フィジカルから目をそらさず、試合にピークを合わせるコンディション管理を徹底したことが最高の結果につながる一因となったと思う。その流れがサッカーW杯カタール大会に脈々と続いている」(宮田氏)。
ONE TAP SPORTSは一元管理画面のダッシュボードを筆頭に、体調全般を管理するコンディション機能、練習時の負荷や実施状況を把握するトレーニング機能、ケガの履歴を記録するインジュリー機能、体組成データやフィジカル測定データを管理するフィジカル機能を備える。食事管理機能を使えば、栄養士らと共有しながらベストの食生活を維持することが可能だ。Webサービスとして展開してきたが、2023年1月にはiPhone/Androidアプリをリリース。より手軽に利用できるようになった。