活用例が増えている「企業版ふるさと納税」
企業版ふるさと納税は、自治体が実施する地域創生事業に寄付した企業が、法人関係税から税額控除を受けられる制度のこと。官民の協力により地域創生の活性化を進める狙いがある。平成30年度から企業版ふるさと納税を活用した優良事業が表彰されており、令和5年度は官民合わせ8つの事業が選ばれた。2024年2月13日に開催された表彰式は、内閣府特命担当大臣(地方創生担当)の自見はなこ氏の挨拶から始まった。
内閣府特命担当大臣(地方創生担当)の自見はなこ氏
自見大臣は「令和4年度の寄付金額は前年度比で約1.5倍、約341.1億円、件数は1.7倍となり、企業版ふるさと納税の活用が浸透しています」と成果を伝えた上で、地方公共団体部門、企業部門での令和5年度受賞団体を発表。授賞式では、企業と自治体の代表による対談が企画されていることに触れ、「内閣府としては、こうした取り組みの横展開を通じて、企業版ふるさと納税を活用した地方創生が全国各地で進展するよう、積極的に支援していきます」と述べた。
自見はなこ氏(中央)と賞状を授与された受賞団体の代表者たち
5つの地方公共団体と3つの企業が受賞
地方公共団体部門は5つの自治体が受賞した。北海道南幌町は、企業版ふるさと納税を活用し、子どもの室内遊戯施設「はれっぱ」を整備。季節や天候を気にせず、いつでも安心して遊べる室内遊戯施設を、子どもの居場所づくり、地域住民との交流の場として機能させ、子育て環境の充実を目指す取り組みだ。公設民営(DBO)方式で民間事業者と連携し、当初計画より多くの来場者数を記録している。
岩手県紫波町は、全国初のバレーボール専用体育館を使い、V1リーグの公式戦や東北バレーボールリーグの開催など、バレーボールを集客コンテンツとした取り組みを行う。働きながらバレーボールをプレーしたい若者が町内企業に就職するなど、雇用の創出も実現している。町と寄付企業、地元クラブチーム、地元高校の4者で包括連携協定を結び、プロテイン開発を行うなどのユニークな施策も評価された。
神奈川県平塚市は、産官学の「平塚海洋エネルギー研究会」を発足し、波力発電関連分野での新産業創出、地域の活性化を図っている。波力発電を漁業の脱炭素化に生かすため、電池推進船の漁業利用や、発電所周辺でのブルーカーボン実験も実施。現在は、波力発電の低コスト化を目指し、新型発電機の開発を進めているという。