2024年 9月10日公開

一歩先への道しるべ ビズボヤージュ

四国西南地域の防災資機材が能登で活躍

企画・編集・文責 日経BP総合研究所

大塚商会と愛媛県・高知県12市町村、連携協定の重要性を再確認

2023年8月14日、大塚商会は愛媛県・高知県の12市町村と被災した自治体の速やかな支援を目指す「災害時における相互応援及び支援協力に関する連携協定」を締結した。この協定にもとづき、大塚商会から地方創生応援税制(以下、企業版ふるさと納税)を活用した防災資機材の物納寄付を受けて、2024年3~4月、愛媛県・宇和島市役所と高知県・四万十市役所で感謝状の贈呈式が行われた。その式の模様と、能登半島で稼働する寄附された防災資機材を紹介する。

能登の避難所で活躍する四国西南地域の防災資機材

* 本記事は「一歩先への道しるべ(https://project.nikkeibp.co.jp/onestep/)」の記事を再掲載しています。所属と肩書は取材当時のものであり、現在とは異なる場合がございます。

能登半島地震の被災地を大塚商会からの寄附資機材で支援

宇和島市役所で感謝状贈呈式が行われたのは、2024年3月15日のことである。冒頭では、愛媛県の5市町(宇和島市、西予市、松野町、鬼北町、愛南町)を代表して、宇和島市の岡原文彰市長が挨拶した。

「連携協定締結から半年も経たないうちに、ご寄贈品が能登半島地震の被災地で活躍することになるとは、想定もしていませんでした。愛媛県5市町は西日本豪雨の被災地でもあり、災害があればお手伝いしたいという思いを共有していたのですが、大塚商会様からご寄贈いただいたWOTA製品(水循環シャワーなど)をまとめて能登半島にお送りしたところ、今も被災地で大活躍しているということです。南海トラフ巨大地震に対して、地域の安心・安全を確保するためにも、今後とも様々なご指導をいただき、未来に向かって歩んでいければと考えています」

宇和島市の岡原文彰市長。市長の背景に映るのは大塚商会と愛媛県・高知県12市町村の連携協定の締結式の写真

続いて、大塚商会 取締役兼専務執行役員の齋藤廣伸氏が登壇し、謝辞を述べた。

「連携協定にもとづく取り組みが、早くも成果を出していることを大変うれしく感じています。企業版ふるさと納税の活用という点でも、2024年2月13日に皆様を代表して内閣府特命担当大臣から表彰を受け、事例発表もさせていただきました。能登半島地震では、当社が寄贈した防災用品をトラックに積み込んで、各自治体の危機管理担当の方々が被災地入りされたと聞き、大変感動しています。2024年も企業版ふるさと納税を継続し、皆さんと一緒に課題解決に取り組んでいきたいと思います」

大塚商会 取締役兼専務執行役員の齋藤廣伸氏

その後の質疑応答では、「能登半島地震であらためて感じた防災面の課題とは何か」という質問を受けて、各市町の代表が見解を述べた。

「松野町は中山間地域なので、能登半島と同じように、道路が寸断される可能性があります。また、南海トラフ巨大地震が発生すれば、当町は津波で被災された沿岸部の方々を受け入れることになるので、モバイルなどの仕組みを整備しようと考えているところです」(松野町・井上靖氏)

松野町 ふるさと創生課長 井上靖氏

「防災面は課題だらけ、というのが正直なところです。食料の問題も含め、その都度、様々な課題が出てきている状況ですが、大塚商会様にご寄贈いただいた機器も活用させていただきながら、対応していきたいと考えております」(鬼北町・芝達雄氏)

鬼北町 危機管理課長 芝達雄氏

「愛南町でも、南海トラフ巨大地震に備えて防災対策に取り組んできましたが、能登半島地震での経験から、一番重要なのは“水とトイレの確保”だと考えています。今年度からは“事前復興”の計画策定にも着手し、町内一丸となって課題解決に取り組んでいきます」(愛南町・土居章二氏)

愛南町 消防本部防災対策課長 土居章二氏

「能登半島地震で、避難路をどれだけ整備できるかが重要だと痛感しました。その上で、避難先での生活、特に水やトイレの確保をどうするかが、今後の課題になると思います。当町では昨年3月に事前復興計画を策定し、事前復興まちづくり計画のモデル地区を指定しました。2024年度以降は、津波被害のみならず、山間部での道路被害も踏まえた上で、防災体制と復興の道筋をしっかり考えていきたいと思います」(西予市 山住哲司氏)

西予市 総務部長 山住哲司氏

ロボット、Web会議、ベビーベッド――多彩な寄贈品の数々

今回、大塚商会がふるさと納税を活用して各自治体に物納寄付した主な防災資機材を紹介する。