2025年11月11日公開

一歩先への道しるべ ビズボヤージュ

災害対策の新キーワードは「フェーズフリー」

企画・編集・文責:日経BP総合研究所

自治体が集結し「発災に備える平時の活動」を議論

デジタル技術による防災・減災をテーマにしたシンポジウム「災害対策DXシンポジウム」が、2025年5月20日に愛媛県宇和島市で開催された。近隣の愛媛県や高知県の市町村だけでなく、北海道や本州など遠隔地の自治体からも防災を担当する職員や企画部門の職員が参加し、平常時と非常時の区別がない「フェーズフリー」の活動について議論した。ゲストとして内閣府や内閣官房の幹部らも参加し、防災庁設置に向けた準備状況や国土強靭化などについて国の活動を報告した。

菊池 隆裕=「一歩先への道しるべ」編集長

第2回災害対策DXシンポジウム

* 本記事は「一歩先への道しるべ(https://project.nikkeibp.co.jp/onestep/)」の記事を再掲載しています。所属と肩書は取材当時のものであり、現在とは異なる場合がございます。

今回の災害対策DXシンポジウムにおいて、キーワードとして浮上したのは「フェーズフリー」。フェーズフリーとは、平常時と災害時というフェーズの違いを取り払い、身の回りの商品やサービスを日常時も災害時もいつでも使えるようにする考え方を指す。シンポジウムに参加した自治体担当者らは、6個のグループに分かれてフェーズフリーにつながる活動を議論、その結果を共有した。

参加者は6グループに分かれ、それぞれに割り当てられたサブテーマについて災害時と平常時のあるべき姿を議論した
(写真:片山 博司)

全グループに課された共通テーマは「発災後、効果的に避難所開設・運営を行うための各種連携と平時の準備」。そのうえで、サブテーマとして「ライフライン・生活環境・物資などの課題」「組織化・人材育成(ボランティア・防災士・福祉チームなど)・訓練などの課題」「要配慮者や子供、妊婦、外国人などの避難者への対応課題」を用意し、A~Fの6グループに対してサブテーマが1つずつ割り当てられた。

各グループは、それぞれのサブテーマにおける「国・県との連携」「自治体の自助努力や広域連携」「民間・ボランティアとの連携」について、災害時と平常時の準備においてあるべき姿を話し合った。このようにグループワークでは、平常時と災害時の境目がなく活動する「フェーズフリー」の重要性を意識するように設計された。グループごとの議論はすぐにとりまとめられ、代表者がそれぞれの議論を発表した。