2026年 1月27日公開

社会保険労務士コラム

「配転」を正しく理解するための最新知識

著者:有馬 美帆(ありま みほ)

「配転」とは、労働者の同一企業内における職務内容または勤務場所の長期にわたる変更のことです。ジョブ型雇用の影響やワークライフバランス重視の流れから、従来とは違った気配りが配転に求められています。今回は配転についての最新知識をお伝えします。

「配転」とは

「配転」とは、労働者の同一企業内における職務内容または勤務場所の長期にわたる変更のことです。配転は、企業が特に正社員を雇用する場合には、当然の前提として行われてきました。しかし、近年はジョブ型雇用の影響で、職務限定契約による採用が増えつつあります。また、ワークキャリア(職業生活)だけでなくライフキャリア(私生活)も重視する流れから、勤務地限定契約を望む方々も増えつつあります。勤務地限定契約は、配転の一種である転勤が行われないことを意味しますが、企業の採用活動においても近年は特に全国転勤のある企業が敬遠されつつあります。今回は、このような流れを踏まえて、「配転」に関する最新知識をお伝えします。

配転については、法律上の定義があるわけではなく、「配置転換」の短縮形として用いられる場合もありますが、「配転」という用語自体が事実上の標準となっています。そのため、実務上は「配転」と「配置転換」を区別して使用した方が良いと考えます。その理由は、同一勤務地内の勤務場所または所属部署の変更を「配置転換」、勤務地の変更を「転勤」と呼んで区別する場合があるためです。本コラムでは、この整理に従って、次に掲げる分類を前提に解説します。

配転同一企業内での長期にわたる配置の変更配置転換同一勤務地内の勤務場所または所属部署の変更
転勤勤務地の変更

配転は長期にわたる配置の変更を意味しますが、短期の勤務場所や所属場所の変更は「応援」、短期の勤務場所の変更は「出張」と呼ばれています。

配転と「出向」および「転籍」との違い

配転は、「同一企業内」で行われる人事異動です。勤務場所が他の企業となる人事異動については、「出向」と「転籍」があります。

「出向」とは、現在の使用者(企業)との労働契約関係を維持しながら、他の使用者(企業)の下で労務を提供することをいいます。出向における、現在の使用者(企業)のことを「出向元」、他の使用者(企業)のことを「出向先」といいます。出向元に在籍しているため、「在籍出向」というのが、より正確な呼称となります。

対して、「転籍」とは、現在の使用者(企業)との労働契約関係を完全に解消して、他の使用者(企業)と新たに労働契約を締結して労務を提供することをいいます。在籍出向との区別で「転籍出向」という呼称が使われることもあります。

配転同一企業内における職務内容または勤務場所の長期にわたる変更
出向現在の使用者との労働関係を維持しつつ他の使用者の元で労務を提供すること
転籍現在の使用者との労働契約関係を解消して、他の使用者の元で労務を提供すること

配転の必要性

そもそも、なぜ配転が必要なのでしょうか。日本の企業は、配転が非常に多いことが特徴です。その理由の一つは、いわゆる「日本型雇用システム」にあります。