2026年 5月26日公開

社会保険労務士コラム

「副業・兼業」の最新事情

著者:有馬 美帆(ありま みほ)

副業・兼業に関する労働法上の位置づけを基礎から分かりやすく解説した上で、「副業解禁」以降の労働時間管理と、雇用保険の法改正等について解説します。

「副業解禁」のその後

2018年(平成30年)は、「副業元年」と呼ばれたことを覚えていらっしゃいますか。これは、2017年(平成29年)3月28日に、政府の「働き方改革実行計画」で「労働者の健康確保に留意しつつ、原則副業・兼業を認める方向で、副業・兼業の普及促進を図る」という方向性が示されたことを受けて、厚生労働省(以下「厚労省」)が2018年(平成30年)1月に二つの大きな環境整備を行ったことによるものです。

一つは、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(以下「ガイドライン」)が策定されたことで、もう一つは、厚労省のモデル就業規則から「許可無く他の会社等の業務に従事しないこと。」という規定が削除されたことです。

これらの動きは「副業解禁」として大きな話題になりました。それを受けて、「ビジネスお役立ち情報」でかつて連載されていた「専門家がアドバイス なるほど!経理・給与」(以下「なるほど!経理・給与」)では、2018年(平成30年)4月に『「副業社員の労働時間管理について」の巻』、2021年(令和3年)11月に『「改正で変わる! 副業・兼業者の労災・雇用保険の取り扱い」の巻』の2回、副業・兼業についての話題が取り上げられました。

本コラムでは、「なるほど!経理・給与」の二つの記事公開後に、副業・兼業を取り巻く労働社会保険諸法令にどのような変化があったかという観点から、最新事情をお伝えします。

「副業・兼業」の定義

出発点として、「副業・兼業」とは何かについて確認しておきましょう。実は、副業・兼業については法的に厳密な定義があるわけではないのです。厚労省のモデル就業規則の副業・兼業に関する条文を見てみますと、次のような定めが置かれています。