この記事は全2回シリーズの前編です。後編は下記よりご覧ください。
- ※ 5月20日公開予定:今、知るべき攻めの知的財産戦略(後編)
まず押さえるべき知的財産の基礎知識
――知的財産とは企業内にあるどのような経営資源を指すのでしょうか。
﨑山 知的財産と聞くと、法律の知識が必要な難しい話だと身構えてしまいますよね。まずは、身近にどんな知的財産があるのかを紹介するところから始めましょう。
例えば今、私がいる部屋のテーブルの上には、お茶の入ったペットボトルがあります。この「ペットボトルのお茶」には、実にさまざまな知的財産が含まれています。
持ちやすくするための形状や、ラベルがズレないように工夫された溝などは、特許権や実用新案権で保護される技術的アイデアです。ボトルの形や装飾的な特徴は、意匠権の対象になります。そして、商品の名前やロゴ、ブランド名、製造元の社名は、商標権によって守られています。
このように、発明や考案などのアイデア、デザイン、ブランド、ロゴマーク、ノウハウ、図面などのことを知的財産と言います。知的財産に含まれるものを権利の形にしたのが知的財産権であり、上記の特許権、実用新案権、意匠権および商標権からなる4種類の産業財産権と、著作権などがあります。
特許権と実用新案権は親戚のような関係にあり、どちらも技術的なアイデアを保護するものです。特許権は、幅広いアイデアや技術、例えば新しい製造方法やシステムなどを保護します。一方、実用新案権は、比較的シンプルな技術的改良や工夫に対する権利を守ります。
意匠権は、製品のデザインを保護するための権利で、形や模様、色彩などが対象になります。そして商標権は、企業のブランド名やロゴマークなどを守るためのものです。

知的財産権には上記のほかにもさまざまな権利があるが、ほとんど全てのビジネスに関連があるのが四つの産業財産権と著作権。
出典:取材を基にJapan Innovation Review編集部で作成
「特許出願中」で他社をけん制? ビジネスに知的財産を生かす方法とは
――企業内の知的財産は、どのような形でビジネスや経営に生かすことができるのでしょうか。