2025年 8月 5日公開

有識者に聞く 今日から始める経営改革

中小企業の海外展開最新事情(前編)

企画・編集:JBpress

「作る」から「売る」へ。中小企業の可能性を広げる海外展開

海外進出を検討する中小企業が増えている。その実態も、大企業+大企業についていく中小企業、の構図だった頃とは大きく異なるようだ。どんな企業がどんな目的で海外を目指しているのか。中小企業の海外進出動向に詳しい法政大学経営大学院イノベーション・マネジメント研究科教授の丹下英明氏に聞いた。

この記事は全2回シリーズの前編です。後編は下記よりご覧ください。

  • ※ 8月19日公開予定:中小企業の海外展開最新事情(後編)

インバウンドが後押し? 小売店や飲食店などの進出も続々

――中小企業の間で海外進出が注目されているようです。実際のところ、どのような変化や傾向があるのでしょうか。

丹下 海外展開といえばかつては大企業の専売特許というイメージがありましたが、近年では中小企業も積極的に海外市場に活路を見いだすようになってきました。データを見ると、直接輸出を行う中小企業の割合は長期にわたって徐々に増加し続けています。海外に生産・販売の拠点を持つ直接投資型の展開についても着実に増加傾向を示しているのが分かります。

直接輸出を行う中小企業の割合は、1997年度の16.4%から2021年度の21.0%まで増加している。直接投資においては、1997年度の8.6%から2021年度の14.2%にまで増加した。
出典:中小企業庁「2024年版 中小企業白書」を基にJapan Innovation Review編集部で作成

注目すべき点は、海外進出している企業の業種の多様化です。かつては製造業が中心でしたが、近年は非製造業の海外展開が増加しています。