2025年10月21日公開

有識者に聞く 今日から始める経営改革

成果につながる“科学的”な教え方(後編)

企画・編集:JBpress

人材マネジメントに役立つ四つの「脳思考タイプ」

情報化が進んだ現代社会では、仕事上で教える内容にも、納得できるだけの根拠や裏付けが求められる。そこで役に立つのが、人間の脳の働きについての研究成果である、神経科学(脳科学)だ。後編となる今回は、脳思考タイプごとの指導方法や主体性を引き出す問いの活用など、科学的な教え方を人材マネジメントに生かす方法について、リーダーシップ・メンタルトレーニング・コーチングを専門とする飯山晄朗氏に聞いていく。

この記事は全2回シリーズの後編です。前編は下記よりご覧ください。

四つの脳思考タイプを理解して指導効果を高める

――飯山さんは脳思考タイプによって接し方を変える方法を提唱されていますね。

飯山 人にはそれぞれに、性格や後天的に身につけた癖があります。これを科学的に四つに分類したのが脳思考タイプです。さらに細かい分類も可能ですが、コミュニケーションの中で判断してマネジメントに使えるのは四つ程度までだと考えて、私はこれを採用しています。脳思考タイプはあくまで傾向であり、よりシンプルに認識するために「思考的・感覚的」「活動派・慎重派」の二軸四象限の分類を基本としています。

――四つの脳思考タイプの違いを教えてください。

飯山 まず、思考的かつ活動派なのが「合理脳」です。合理的に考えて、素早く行動する人です。目的や効率性、計画を重視し、言葉を大事にします。コミュニケーション能力にたけており、広く浅い人間関係を好む傾向があります。正義感が強く妥協を許さないところもあり、経営者に多いタイプです。

思考的かつ慎重派なのは「専門脳」です。現実的な思考を持ち、経験を大事にしながら一つ一つ積み重ねるタイプです。狭く深く、物事を掘り下げます。非常に用心深いのも特徴です。我慢強く努力家ですが、頑固になりやすいところがあります。

感覚的かつ活動派は「拡大脳」です。高い理想や野心を持って、先頭に立って進むタイプです。明るく陽気で行動的ですが、その反面、怒りっぽく攻撃的になることがあります。自己肯定感が強く、一番になること、新しいことを好み、競争心も旺盛です。

感覚的かつ慎重派の「協調脳」は、人や場の協調を重視します。感受性豊かで人の気持ちに感応しやすく、穏やかで優しい雰囲気を持っています。自分より他人に意識が向きやすく、良い人に見えます。ただ、実は好き嫌いがはっきりしていて、感情の起伏が激しい一面もあります。

図で見るとシンプルで分かりやすい。この分類に基づいてコミュニケーションをとると、より効率的な人材マネジメントにつながる。
出典:取材を基にJapan Innovation Review編集部で作成

脳思考タイプに合わせたコミュニケーション

――タイプによって指導方法はどう異なるのでしょうか。