この記事は全2回シリーズの前編です。後編は下記よりご覧ください。
- ※ 9月15日公開予定:退職は「始まり」。経営戦略としての「企業アルムナイ」(後編)
社友会でも出戻り採用でもない「企業アルムナイ」とは何か
――「企業アルムナイ」という言葉はまだ耳慣れない人も多いと思います。OB会や社友会、出戻り採用(カムバック採用)とは何が違うのでしょうか。
犬飼 アルムナイは英語で「同窓生」を意味する言葉ですが、私たちが研究している企業アルムナイは、「会社を辞めた現役ビジネスパーソンと企業との継続的な関係性・コミュニティ」と定義しています。背景にあるのは、人材の流動性が高まる中で、企業が退職した優秀な人材とのつながりを維持し続けること自体に価値があるという考え方です。
社友会やOB会との大きな違いは、対象が現役ビジネスパーソンである点です。社友会やOB会は、定年退職者で組織され、同じ釜の飯を食った仲間としての情緒的な結びつきがある一方で、ビジネス上の接点はあまり多くはありません。
それに対して、企業アルムナイは、同じ会社で培った価値観や仕事観を共有しながらも、それぞれが社外でさまざまな経験を重ねた人材が交流するビジネスに直結するコミュニティだと捉えています。
また、企業アルムナイというと「出戻り採用施策ですか」と聞かれることも多いのですが、私たちは、出戻り採用はあくまで企業アルムナイの結果の一つであり、それのみを強調するのは得策ではないと考えています。
なぜなら、それを強調すると、いずれ戻りたいと考えている人々だけが集まってしまい、戻るつもりはないが愛着は感じているというような人材の層を遠ざけてしまいかねないからです。その結果としてコミュニティ全体の熱量や多様性が失われてしまいます。

社友会やOB会とは目的が異なり、価値の本質はつながりの維持にある。
出典:取材を基にJBpress Innovation Review編集部で作成