2012年 6月 1日公開

【連載終了】仕事効率を上げるパソコン手帖

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タブレット端末のビジネス活用の可能性を探る!

テキスト/松野孝司

タブレット端末はノートパソコンに比べて持ち運びが便利で、値段もリーズナブル。でもビジネスの現場で「本当に使えるの?」と思っている人も多いようだ。そこで今回はタブレット端末の活用の可能性を探ってみた。

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タブレット端末とノートパソコンを比較してみると…

タブレット端末の購入を考えるとき、比較検討対象になるのはノートパソコンだろう。両者を比較すると、一長一短があり、どちらが優れているとは言い難い。タブレット端末のメリットとして、真っ先にあげられるのは「起動の速さ」だ。ノートパソコンは数十秒、パソコンの状態によっては1分近くかかることも珍しくない。お客様を目の前になかなかパソコンが立ち上がらず、気まずい思いをしたことがあるビジネスマンも多いだろう。その点、タブレット端末はスリープ状態から数秒で復帰できる。外出先でメールをチェックしたり、訪問先で資料を閲覧したりする機会が多い営業マンにとって、これは魅力的なポイントだ。

ビジネスシーンでの活用が進むタブレット端末。

もう一つあげるとしたら連続使用時間の長さだろう。タブレット端末の場合は8~10時間バッテリが持つので、その日の朝に充電しておけば、仕事をしている間は充電する必要がない。ひと昔前と比較すると、最近のノートパソコンはバッテリの持ちが良くなっているが、大容量のバッテリを搭載したタイプは重量がかさみ携帯性という点では厳しくなる。連続使用時間及び携帯性という点でもタブレット端末の方が優れているといえるだろう。

また、タブレット端末の場合、操作が直感的にできるので、パソコン操作が苦手な人やこれまでパソコンを使う機会が少なかった人でも使いやすいというメリットもある。さらに、タブレット端末は異なる角度からも画面が見やすいので、多人数で一緒に画面を見るのに適している。ちょっとしたミーティングで同僚やお客様と資料を一緒に閲覧するときに有効だ。

一方、長い文書を入力したり、複雑な作業を行ったりする場合は、キーボード入力ができるノートパソコンの方がはるかに便利だ。またタブレット端末はハードディスク容量がノートパソコンと比較すると少なく、USBメモリなど外部メモリに対応していない機種もある。タブレット端末をビジネスで使用するなら、これらのことを十分理解したうえで使用すべきだろう。

タブレット端末とノートパソコンの比較

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タブレット端末は本当にビジネスで使えるのか?

タブレット端末をビジネスで活用する目的としては、

  1. 業務の効率化
  2. コストの削減
  3. 顧客サービスの向上

があげられるだろう。

まず「業務の効率化」だが、前述したようにタブレット端末は、文書や資料をゼロから作成するなど、複雑な処理が必要になる作業には不向きだが、メールや資料をチェックしたり、修正を加えたりすることは十分可能だ。例えば見積書のチェックや営業報告書の作成なども、会社に戻ることなく移動中やちょっとした空き時間に処理できるので非常に効率的だ。さらに「Dropbox」や「iCloud」などクラウドサービスを活用して社内で文書の共有化を図れば、より効率化も進み、情報交換や意思決定のスピードアップも見込める。

「iCloud」 などクラウドサービスを利用すればスマートフォン(左)とタブレット端末(右)、パソコンとの間でファイルやメールの共有化ができる。

次に「コストの削減」だ。タブレット端末はノートパソコンと比較すると低価格なので導入コストは低く抑えられる。オフィスソフトなどもプレインストールされている場合も多く、またビジネスに役立つアプリもAppStoreやGoogle Play (Androidマーケット)で手に入れることができる。さらに会議の資料などもタブレット端末で閲覧するようにすれば印刷する時間とコストが省ける。これらのことを考えると、コスト削減という点ではかなり期待できる。

移動時間などのちょっとした空き時間に見積書をチェックできる。

Evernoteなどビジネスに役立つアプリも多数用意されている。

最後は「顧客サービスの向上」だ。紙ベースの商品カタログや資料は持ち歩くのには非常にかさばる。また客先で別の商材を提案したいときも、資料やカタログを持っていないと再訪問することになる。これは時間と交通費のムダだ。 しかし、事前に資料やカタログをクラウドサービスに保存しておけば、いつでもタブレット端末で閲覧できる。気軽に持ち運べて操作も軽快なタブレット端末なら、見せたい情報をその場で見せることができるのでタイムリーな提案が可能になる。それが顧客サービスの向上になり、ひいてはビジネスチャンスの拡大にもつながる。

カタログや資料などをPDF化しておけば、タブレット端末で即座に商品説明やプレゼンができる。

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タブレット端末のビジネス活用はもう始まっている

では、タブレット端末がどうビジネスに利用されているのか、その実例をいくつか見てみよう。

オーストラリアのレストランでは紙のメニューを廃止し、タブレット端末で注文できるアプリを導入している。メニューをタッチすると料理の説明が確認でき、ステーキを頼めば、その場で焼き加減も指定できるという。

同じように東京の某レストランではワインリストをタブレット端末で提供する「iPad ソムリエ」を導入している。こちらはワインを品種や生産地、特徴から検索できるシステムだ。あるパチンコメーカーは、営業ツールとしてタブレット端末を活用。従来では伝えにくかった遊技機のコンセプトや液晶演出などを動画で伝達できると好評だという。

動画によるプレゼンという点では、某ウエディングドレスショップが、ドレスの販促ツールとしてタブレット端末を導入し、ドレスの着用イメージを動画で紹介し、評判も上々のようだ。

また某ネットスーパーでは、顧客にタブレット端末を貸し出して注文を受ける仕組みに取り組んでいる。これによりパソコン操作が苦手な高齢者を新規顧客として取り込むことに成功しているという。タブレット端末のビジネス活用は、試行錯誤の段階にあるといわれているが、その活用の範囲は確実に広がっており、今後の色々なビジネスシーンに活用されるのは確実だろう。

ネットスーパーやレストランなど、さまざまなシーンで活用されているタブレット端末

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