2015年11月 1日公開

仕事効率を上げるパソコン手帖

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2016年1月開始! マイナンバー制度に備える

テキスト: 芝田隆広

社会保障・税番号に関する新制度「マイナンバー」の開始が2016年1月に迫っており、この10月からはマイナンバーの通知も始まった。しかしまだマイナンバー制度に対する準備が十分できていない企業も多いだろう。そこで今回は、このマイナンバー制度について解説する。

国民一人一人に固有の番号を割り振る「マイナンバー制度」

いよいよ2016年1月から「マイナンバー制度」が開始される。マイナンバーの通知は既に始まっており、市区町村から住民票の住所に送付される「通知カード」を受け取ったという人も多いだろう。

マイナンバー制度とは、正式には「社会保障・税番号制度」と言う。これは全ての国民に対して固有の番号を振り、特定の個人を識別・管理しやすくするためのものだ。

現在日本では、基礎年金番号、健康保険被保険者番号、住民票コード、納税者番号といったさまざまな個人コードが存在し、それを管理する行政機関が個別に番号を付けている。しかしこれだと「どの番号がどの個人に属するのか」の確認作業が繁雑になるし、行政機関ごとにバラバラに個人情報管理をしているため、無駄なコストが掛かっている。

そこで国民全てに12桁の固有番号を割り振って、管理をしやすくするというのがマイナンバー制度の目的だ。この個人番号は完全にランダムに生成され、家族であっても似たような番号になるとは限らない。また生まれてから死ぬまで、一つの番号を使い続けることとなり、結婚やカードの紛失などによって別の番号になるということもない。

マイナンバーの発行により、「行政の効率化」を進め、情報管理に関するコストを削減するとともに、添付書類の削減・行政手続きの簡略化など「国民の利便性の向上」が図られている。また税金を不当に免れるなどの行為をしづらくする「公平・公正な社会の実現」も導入の目的となっている。

内閣官房 マイナンバーWebサイト

内閣官房が設定しているマイナンバー制度に関するWebサイトにはさまざまな情報がまとめられているので事前に目を通しておこう

内閣官房 マイナンバー社会保障・税番号制度Webサイト

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マイナンバーカードを利用するためには?

マイナンバーの通知は2015年10月からで、既に開始されている。番号の通知は、市区町村から住民票の住所に簡易書留で届く「通知カード」で行われる。住民票の住所を現住所に移していないという場合は、現在住んでいる市区町村に住民票を異動する必要がある。

また、被災や入院など、やむを得ない理由で住民票の住所地で通知カードを受け取れない場合は、住んでいる場所で通知カードを受け取るための居所情報登録申請が必要となる(詳しくは総務省のWebサイトを参照のこと)。

総務省Webサイト

この通知カードと身分証明書のセットでマイナンバーを使用することができるが、通知カード自体は身分証明書としては使えない。身分証明書として使いたい場合は、2016年1月から発行が開始される「マイナンバーカード(個人番号カード)」を取得・申請する必要がある。マイナンバーカードは身分証明に使えるほか、国民健康保険証、さまざまな行政機関での申請、確定申告をインターネットで行う「e-Tax」でも利用できる。

また2017年1月からは、インターネットの各個人用のWebサイト「マイナンバーポータル」が利用可能となる。これはマイナンバーに関連づけられた自分の個人情報や自分の情報に対するアクセス履歴を確認したり、自治体などへの各種申請を行うためのWebサイトとなる予定だ。

マイナンバーを使う場面の図解

マイナンバーは、年金や医療福祉などの社会保障や、税の申告、災害対策などさまざまな場面で使用される。(内閣官房Webサイトより)

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マイナンバーは会社にどのように影響する?

マイナンバーは国民全員に付与されるものであると同時に、全ての企業に対して対応が義務づけられている。法人には13桁の「法人番号」が割り当てられ、登記上の所在地に通知書が届けられる。法人番号は、従業員の各種法定調書や被保険者資格取得届を行政機関に提出する際などに記入する必要がある。

企業がマイナンバー制度に対応するためには、まず対応が必要な業務の洗い出しを行う必要がある。そして帳票など、マイナンバー制度への対応が必要になる書類の書式を変更するなどの、各種業務が発生する。

このほか「マイナンバーを適正に行うための社内規定づくり」を行う必要があるほか、人事・給料・会計システムの開発や改修も必要となる。さらにマイナンバーは重要な個人情報であるため、人事・給与ソフトなどの情報漏洩対策が必要となってくる。従業員が退職し契約終了になったら、マイナンバーの情報を確実に廃棄するのも重要だ。

このような処理を行ったうえで、従業員にマイナンバー制度を周知させるため、研修を行うことも重要となってくる。法令違反には懲役や罰金の罰則もあるので、企業には適切な対応が求められる。

国民・民間事業者・行政機関でのマイナンバーの利用場面の図解

企業でも各種法定調書や被保険者資格取得届を行政機関に提出する際などにマイナンバーの記入が必要となる。個人情報を扱うため、情報漏洩対策も必要だ。(内閣官房Webサイトより)

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マイナンバー対策には専用サービスの利用がお勧め

ここまでマイナンバー制度について解説してきたが、企業側が対応するには多くの事務処理や作業が必要となり、なかなか全容を把握するのは難しいだろう。

マイナンバーの対応が必要な届け出書類は、企業提出分、個人提出分をあわせると、80種類以上あると言われている。その企業提出分を迅速に対応するのはなかなか難しい。そんなときは大塚商会の「らくらくマイナンバー対応システム」で確実に届出書発行するのがお勧めだ。

大塚商会「らくらくマイナンバー対応システム」

このシステムでは、手書きでの調書・届け出書類を複合機でスキャンしてデータ化すれば、OCRを使って簡単に処理することができる。各書類に記入された社会保険番号などをキーとして読み込み、社員情報と関連づけして、マイナンバー付きの調書・届け出書類として出力可能で、あらゆる帳票に対応できるのが特徴だ 。

マイナンバーの取得・保管・利用・廃棄までを全てサポートしているので、手軽に万全の対応をしたいという職場ではぜひ利用してみるとよいだろう。

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