2017年 4月 1日公開

仕事効率を上げるパソコン手帖

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仕事効率アップ間違いなし! パソコン&スマートフォンでのデータやり取り術

テキスト/芝田隆広

スマートフォンの普及で、出先でパソコンがなくても手軽にオフィス文書を参照したり、編集できるようになった。スマートフォンにも便利なアプリはたくさんあるが、肝心のデータがなければ意味ない。そこで今回は、パソコンとスマートフォン間でのデータを賢くやり取りする方法を紹介する。

パソコンとスマートフォンでのデータやり取り方法

「オフィスで作成したデータをスマートフォンを使って持ち歩きたい」「スマートフォンで作成したデータをデスクトップパソコンに転送したい」。パソコンとスマートフォンを使っていると、相互にデータのやり取りを頻繁に行わなくてはならない。しかしパソコンとスマートフォン間でのデータの受け渡しは案外面倒だ。

パソコン・スマートフォン間でデータを受け渡しする方法としては、大きく分けて以下の表のような方法がある。

<パソコンとスマートフォン間での代表的なデータやり取り方法>

方法メリットデメリット
USBケーブルで接続する
  • 接続が安定している
  • 通信速度が速く大量のデータ受け渡しに向く
  • いちいちケーブルをつなぐのが面倒
  • ケーブルがないと接続できない
microSDカードを利用する
  • 転送が高速で大量のデータ受け渡しに向く
  • iPhoneなどカードスロットがない機種がある
  • パソコン側にもカードリーダーが必要
  • 機種によってはmicroSDカードスロットが抜き差ししづらい位置にある
無線LAN/Bluetoothを利用する
  • ケーブルをつながなくていい
  • 無線LANなら速度も速い
  • ファイル転送に対応したアプリが必要
  • アプリ側の設定が必要となる
  • Bluetoothはパソコンによっては標準搭載していない機種がある
クラウドサービス(インターネットのストレージ)を利用する
  • パソコンとスマートフォンを直接接続する必要がないので手軽
  • データを編集した場合、同期が自動で行われる
  • 環境によって速度が遅くなる場合がある
  • インターネットを経由するのでセキュリティ面での不安がある
外付けメディアを利用する
  • 大量のデータを共有しやすい
  • 外付け機器を利用するので導入費用が必要となる
  • 機器によっては設定が必要

それでは以下でそれぞれの方法について具体的に見ていこう。

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USBケーブルで接続する

最も基本的なデータ受け渡し方法といえる。ケーブルでスマートフォンとパソコンを直結するため、ネットの混雑状況などに左右されることがなく、通信速度は高速だ。大量のデータを受け渡したい場合に適した方法といえる。もちろん「ケーブルをつながなくてはならない」ので、接続が面倒だったり、ケーブルがないと接続できないというデメリットもある。

Androidの場合は自由度が高い。USBで接続を行い、USBファイル転送モードにすると、スマートフォンの内部ストレージやmicroSDカードをUSB経由で開いて、通常のパソコンのフォルダーと同様データの読み書きができる。

「USBをファイル転送に使用しますか?」という確認メッセージが表示された画面

AndroidスマートフォンをUSBケーブルでパソコンに接続すると、「USBをファイル転送に使用しますか?」という確認メッセージが表示される。「はい」をタップする。

パソコン側でAndroidスマートフォンの内蔵ストレージとSDカードが表示された画面

Androidスマートフォンの内蔵ストレージとSDカードがパソコン側で認識される。あとは通常のフォルダー同様、ファイルの読み書きが行える。

iPhoneの場合は、USBで接続してもパソコン側のフォルダーウィンドウで開けるのは写真用フォルダーなどに限られる。しかもデータの読み込みはできるが書き込みは行えない。セキュリティの観点からこのような仕様にしているのだが、いくぶん面倒に感じるユーザーも多いだろう。

書き込みを行いたい場合は、パソコン側の「iTunes」を使ったり、iPhoneのアプリの機能を利用する必要がある。しかもファイルは「アプリごとの転送」となる。例えば「iPhoneの画像編集アプリから転送したファイルを、オフィスアプリで使用する」といったことはできない。複数のアプリからファイルを編集・参照したい場合は、後述するクラウドサービスを利用する必要がある。

iPhoneとパソコンをUSBケーブルで接続したパソコン側の画面

iPhoneをUSBケーブルでパソコンに接続し、フォルダーウィンドウを開いても、写真を格納する「DCIM」フォルダーしか見えない。iPhoneからパソコンへファイルのコピー・移動はできるものの、パソコンからiPhoneへの書き込みはできない。

iTunesにiPhoneのアイコンが表示された画面

USBケーブル接続でiPhoneにファイルを転送する場合は、「iTunes」を利用する。iTunesを起動した状態でiPhoneを接続する。するとiTunesにiPhoneのアイコンが表示されるのでこれをクリックする。

iTunesダウンロードページ

「ファイル共有」でアプリを選択した画面

「App」ボタンをクリックし、右側の欄の「ファイル共有」でアプリを選択する。例えば「Excel」であれば、「Excelの書類」欄にファイルをドラッグ&ドロップして「同期」ボタンをクリックすると、ファイルが転送される。

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microSDカードを利用する

Androidの場合は、microSDカードスロット搭載機種が多いので、パソコン側にカードリーダーがあればmicroSDカード経由でデータのやり取りができる。ただパソコン用にもカードリーダーが必須となる。iPhoneの場合は、microSDカードスロットがないのでこの方法は使えない。

またAndroidスマートフォンでも、microSDカードスロットが背面のふたの中にあったり、ピンを使わないと抜き差しが行えない機種などもある。microSDカードは転送が高速で、大容量のファイル転送も苦にはならないが、抜き差しの手間を考えるとあまり頻繁に使える方法ではないだろう。

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無線LAN/Bluetoothを利用する

無線LANやBluetoothといった無線接続でデータのやり取りを行う。パソコンのような通常のフォルダー共有は行えないので、この場合はファイル転送に対応したアプリが必要となる。

例えばAndroidなら「ES ファイルエクスプローラー」といったアプリを使えば、Windowsなどパソコンの共有フォルダーにアクセスでき、Android側のフォルダーにファイルをコピーしたりできる。iPhoneの場合は、アプリごとに無線経由でのファイル転送をサポートしている。

ES ファイルエクスプローラー

Androidで無線LANを使ってファイルをやり取りしたい場合は「ES ファイルエクスプローラー」が便利。パソコンの共有フォルダーにアクセスするには左上の3本線のボタンをタップして表示されるメニューから「LAN」を選択する。

ES ファイルエクスプローラーの共有フォルダー画面

スキャンを行うとパソコンの共有フォルダーが表示され、ファイルのやり取りが行える。

GoodReader

iPhoneの場合は、アプリに無線LANを使ったファイル転送メニューがあればそれを利用できる。これはiPhoneでは有名なPDF・画像などの多機能ビューアー「GoodReader」というアプリの場合。下部のメニューで「WiFi」をタップする。

IP-addressが表示された画面

するとこのような画面が表示される。ここで「IP-address」の欄に「http://192.168.1.16:~」などといったURLが表示される。

iPhoneConnection 画面

先ほどの「http://192.168.1.16:~」というURLをパソコン側のWebブラウザーで開く。するとファイル転送画面が開く。「My Documents」などの転送先のフォルダーをクリックして、メニューに従ってファイルを転送する。

Bluetoothの場合は、パソコン側がBluetoothに対応している必要がある。またBluetoothは基本的にヘッドホンなどの周辺機器を接続するための規格なので、転送スピードはあまり速くない。データ転送を行うのであれば、無線LANを利用する方がお勧めだ。

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クラウドサービス(インターネットのストレージ)を利用する

スマートフォンとパソコン間でデータをやり取りしたいのであれば、クラウドサービス(インターネットのストレージ)を利用するのが手軽だ。これはインターネット上のサーバーにファイルを置いておき、ネットを通じてパソコン・スマートフォンの双方からデータを閲覧・編集するというものだ。

USBなどでデータをコピー・移動する場合、例えばスマートフォン側でデータを編集した場合、その編集結果をパソコン側でも利用したい場合は、パソコン側にデータを書き戻す手間が必要となる。

しかしクラウドサービスを利用すれば、スマートフォン側でもパソコン側でもネット上のデータを利用し、編集結果もストレージ上のファイルに保存するので、いちいちデータを書き戻す(同期させる)必要がない。またiPhoneの場合、USBなどでは「アプリごと」にファイルを転送する必要があるが、クラウドに置いたファイルであれば複数のアプリから参照することができる。

クラウドサービスについてはiPhoneならば「iCloud」というサービスをアップルが提供しているのでそれを利用するといいだろう。またAndroidスマートフォンを利用しているビジネスユーザーであれば、Microsoftの「OneDrive」を使えば、オフィスアプリからも手軽に利用できて便利だ。

iCloud 画面

iPhone用のクラウドサービスなら「iCloud」を使うのが一般的。パソコンからはiCloudのWebサイトをWebブラウザーで開き、「Web上でiCloudにサインインする」をクリックした後、iPhoneで使っているApple IDで「iCloud」にサインインし、「iCloud Drive」をクリックする。

「iCloud」Webサイト

iCloud Driveの画面

Webブラウザーの画面にファイルをドラッグ&ドロップすれば、iCloudにファイルをアップロードできる。

iPhoneのiCloud Drive 画面

iPhoneの「iCloud Drive」アプリでiCloud内のストレージを開いてみた。デスクトップにiCloud Driveアプリのアイコンがない場合は、「設定」の「iCloud」をタップし、「iCloud Drive」の項目をオンにしてみよう。

OneDriveサインイン画面

Windows 10ならばOneDriveは標準で利用できる。OneDriveを起動してMicrosoftアカウントでサインインする。パソコンのユーザーフォルダー内の「OneDriveフォルダー」を開き、そこにファイルを入れれば自動でサーバーにファイルがアップされる。

iPhone Connection 画面

Android用のOneDriveで、OneDriveのフォルダーを開いてみたところ。サーバー上のファイルをAndroidの各種アプリから開くことが可能だ

Android用OneDriveアプリ

このように便利なクラウドサービスだが、iCloudやOneDriveといった一般ユーザーも使う外部のサービスにデータを預けるのは不安という人もいるだろう。企業内で使うのであれば、大塚商会の「たよれーる どこでもキャビネット」のような法人向けのサービスの方が安心感は高い。

大塚商会「たよれーる どこでもキャビネット」

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外付けメディアを利用する

USBメモリーや無線LANで接続できる外付けHDDなど、外付けのメディアを利用する方法だ。最近ではスマートフォンのUSBコネクターに直結できるUSBメモリーなども販売されている。また無線LAN経由で接続できる、ポータブルHDDなどもある。

アイ・オー・データ機器「U3-DBL」シリーズ

写真はアイ・オー・データ機器「U3-DBL」シリーズ。USB3.0対応のUSBメモリーで、パソコン用とスマートフォン・タブレット用の2種類のコネクターを内蔵している。8GB、16GB、32GBモデルがある。

アイ・オー・データ機器「Clib bag(U3-IP)」シリーズ

アイ・オー・データ機器「Clib bag(U3-IP)」シリーズは、iPhoneやiPadに直接差せるLightningコネクター内蔵のUSBメモリー。16GB、32GB、64GBモデルがある。

バッファロー「HDW-PDU3-C」シリーズ

写真はバッファロー「HDW-PDU3-C」シリーズ。無線LANでスマートフォンやタブレットに接続できるポータブルハードディスク。1TBモデルと2TBモデルがある。

これらの機器の場合、容量が大きいのが一番のメリットといえる。スマートフォンの内部ストレージの容量が足りないといった場合は、このような外付けメディアにファイルを入れておけば、大量のファイルを持ち運べる。写真や動画などの大容量ファイルを持ち歩きたいといった場合には便利な方法といえる。

ただしこの方法の場合は、外付け機器を導入するための費用が必要となるほか、機器によっては無線LANなどの設定が必要になることもあるので、多少面倒な部分もある。

ここまで紹介したスマートフォンとパソコン間でのデータのやり取りについては、どの方法を使う場合でも、それぞれメリットとデメリットがある。その点を理解して自分の環境に合った方法を利用してもらいたい。

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