2022年 9月27日公開

仕事効率を上げるパソコン手帖

実はけっこう分かりづらい? USB最新用語を学ぶ

ライター/芝田隆広

  • PC

USBは幅広く使われている身近なインターフェイスだ。しかしよく知っているようで、案外知らないのがUSB。いつの間にか新規格が登場していたり、それぞれに細かいバージョンがあったりして分かりづらい。そこで今回はUSB関連の最新用語について解説していく。

1. 簡単に見えて実は複雑! USBをあらためて勉強しよう

USBといえば、電子機器間の接続に使われるインターフェイスとしては、最も身近なものの一つだろう。

そんな身近なUSBだが、最近の機器のスペックを見ていると「USB 3.1(Gen2)」だの「USB PD」だの、目新しい用語を見かけることが増えてきた。これらの用語について理解していないと製品選びもままならない。そこで今回はUSB関連の最新用語について解説していく。

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2. USB 3.0/3.1/3.2、Gen1、Gen2……USB 3.x規格を整理する

USBはこれまで、1996年に最初のバージョンである「USB 1.0」が登場してから、1.1→2.0→3.0……と進化してきた。USB 2.0までは基本的に速度アップがメインで、ざっくり「バージョンが大きいほど速くて快適」と理解していればOKだった。

これがUSB 3.0以降(以下USB 3.x)になって、一気にややこしくなった。USB 3.xには現在USB 3.0、3.1、3.2の3バージョンが存在する。各バージョンの最大転送速度は、以下となっている。

  • USB 3.0:5Gbps
  • USB 3.1:10Gbps
  • USB 3.2:20Gbps

ここで面倒なのがUSB 3.1登場時、前のバージョンであるUSB 3.0(5Gbps)を「USB 3.1 Gen 1」と言い換え、新しい10Gbpsの規格を「USB 3.1 Gen 2」と表記するルールにしたことだ。さらにUSB 3.2登場時に、USB 3.0を「USB 3.2 Gen 1」、10GbpsのUSB 3.1を「USB 3.2 Gen 2」と言い換え、20Gbpsの規格を「USB 3.2 Gen 2x2」とした。整理すると以下の表のようになる。

USB 3.xの各バージョンにおける呼称 
転送速度USB 3.0での呼称USB 3.1での呼称USB 3.2での呼称
5GbpsUSB 3.0USB 3.1 Gen 1USB 3.2 Gen 1
10GbpsUSB 3.1 Gen 2USB 3.2 Gen 2
20GbpsUSB 3.2 Gen 2x2

5GbpsのUSBの呼称が「USB 3.0」「USB 3.1 Gen 1」「USB 3.2 Gen 1」の3通り。10Gbpsの呼称が「USB 3.1 Gen 2」「USB 3.2 Gen 2」と2通りの表記が存在するというわけだ。

どの表記を採用するかはメーカーごとにまちまちなので混乱してしまうが、まとめると以下のように覚えればいい。

  • USB 3.0と「~ Gen 1」は同じ
  • 「Gen 2」は「Gen 1」の2倍の10Gbps
  • 「Gen 2x2」は「Gen2」の2倍の20Gbps

転送速度が5/10/20Gbpsのいずれかにあたるかをしっかり確認してから、製品選びを行ってほしい。

「USB 3.0」と「USB 3.1/3.2 Gen 1」は同一。ショップによって表記はまちまちなのでご注意を

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3. 次世代の主流USB4

「USB4」は2019年にリリースされたUSBの最新規格。最近になって対応製品が登場しつつある。

USB4では最大転送速度が従来の20Gbpsから40Gbpsへとアップ。コネクターについてはUSB Type-Cへと統一された。後述するUSB PD規格もサポートし最大100Wでの高速充電が可能。またDisplayPort互換の映像出力も可能となっており、USBケーブル1本をハブにつなぐだけで、データのやりとりやディスプレイへの接続が行えるようになっている。

要約すると「高速なデータ転送」「急速充電」「ディスプレイ表示」が可能な、高機能&多機能インターフェイスになっているといえる。

細かな点だが、USB 3.xまでは「USB」とバージョン番号の間にスペースが入っていたが、USB4ではスペースがなくなっている。このほか「USB 3.2」のような小数点以下の表示は行われない予定となっている。

USB4ではコネクター形状がType-Cに統一された。USB4ケーブルには転送速度20Gbpsのものがあり、コネクター部分に「20」「40」の表記が施されている。この写真だと40Gbpsだ。

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4. USB4と一緒? 高速データ転送規格「Thunderbolt 4」

「Thunderbolt 4」は、インテルとアップルが共同開発した高速データ転送のための規格で、ケーブルはType-Cを用いる。USB4と同じく「40Gbpsの高速データ転送」「ディスプレイ出力」「USB PD(100W)による急速充電」をサポートする。

USB4はThunderboltの前バージョン「Thunderbolt 3」と互換性があり、Thunderbolt 4はUSB4規格に準拠しつつ性能をよりアップしたものとなっている。総合的に現状では「Thunderbolt 4」が性能的に「全部入り」の最上位規格となっている。

Thunderbolt 4対応のType-Cケーブルであれば、USB 3.x/4、Thunderbolt 3のすべてに対応しているので、1本持っていると何かと便利だ。

ANKER製Thunderbolt 4対応ケーブル。コネクターはType-C。稲妻風のThunderboltマークと、Thunderboltのバージョンを表す「4」の文字が印刷されている

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5. 乱立する急速充電のための規格…注目は「USB PD」

USB充電の分野で、最近話題となっているのが急速充電だ。最近のスマホやタブレットはバッテリー容量が大きくなってきたが、容量が大きくなれば、当然のことながら充電時間も長くなる。それを解消するために急速充電の必要性が高まってきたのだ。

急速充電を行うには、「充電を行うデバイス(スマホなど)」と「充電機」が、同じ規格をサポートしている必要がある。ここで厄介なのが、急速充電のための規格が山のように乱立していることだ。

例えば、Apple「Apple 1.0A/2.1A/2.4A」、Qualcomm「Quick Charge」、サムソン「Super Fast Charging」などなど。「A社のスマホとB社の充電機を接続しても急速充電は行えない(通常の速度での充電になる)」ということがあったのだ。

そこで最近注目されているのが、USB急速充電の共通規格である「USB PD」だ。USB PDならば、スマホ・充電機のメーカーが違っても、各製品がUSB PDをサポートしていれば急速充電が行える。

USB PDでの急速充電を行う場合には、充電を行うデバイス側と充電機のワット数の組み合わせに注意しよう。例えば充電機側(送り側)が60Wでの充電に対応していても、スマホ側(受け側)上限が45Wなら、45Wでしか充電ができない。

ケーブルも要注意だ。充電に使うUSB Type-Cケーブルには、対応電流が3Aのものと5Aのものがある。3Aのものは60W(20V/3A)、5Aのものは100W(20V/5A)が上限。スマホと充電機がともに100W対応でも、3Aのケーブルを使っていると60Wまでしか使えない。

「サンワサプライUSB PowerDelivery対応AC充電器(PD60W・GaN) ブラック ACA-PD84BK」

ここまで紹介してきたとおり、USB関連の用語はさまざまなものが登場している。用途が広がるのに伴い、バリエーションが増え分かりにくくなってもいる。この機会にUSBの最新用語を確認し、製品選びの参考にしていただければ幸いだ。

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