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2016年 6月 1日公開
【連載終了】専門家がアドバイス なるほど!経理・給与
【アーカイブ記事】以下の内容は公開日時点のものです。最新の情報とは異なる可能性がありますのでご注意ください。
テキスト: 梅原光彦 イラスト: 今井ヨージ
健康保険法の改正により平成28年4月1日から「傷病手当金・出産手当金」を申請する際の計算方法が変わりました。計算方法が変わるということは給付額も変わる場合があるということ。そこで今回は変更の概要と注意すべきポイントなどを解説します。
目次
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傷病手当金は、業務外の疾病による休業期間中の生活を保障するための制度です。
支給に当たっては、以下の全ての要件を満たす必要があります。
(注)この3日は「待期期間」といって、賃金の支払いの有無にかかわらず支給されません。年次有給休暇等で賃金の支払いがある場合でも「待期期間」は成立します。なお、「待期期間」を超えて4日目以降の休んでいる日に対して傷病手当金は支給されます。
出産手当金は、女性労働者に対して産前産後休業期間中の賃金の補填(ほてん)として支給されるものです。
出産手当金の支給要件は、以下のとおりです。
なお、出産手当金は、産前産後休業期間中の仕事を休んでいる日について支給されます。
(注)妊娠4カ月(85日)以上であれば、正常分娩(ぶんべん)に限らず、早産、死産、流産であっても出産手当金等は支給されます。
その他、「出産・育児にまつわる社会保険関連の給付金」については、「『産前産後休業期間中の社会保険料』の巻」を参照ください。「『産前産後休業期間中の社会保険料』の巻」
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これまで傷病手当金と出産手当金は、その時点における標準報酬日額(注)を基に算定していました。しかし、平成28年4月1日からは、 過去12カ月の標準報酬月額を平均した額を基に算定することとなります。すなわち、従来は休んだ日に対して、「標準報酬日額」の2/3が支給されていましたが、新しい計算方法では「支給開始日以前12カ月間の各月の標準報酬月額を平均した額」 ÷ 30日×2/3に変更されたのです。なお、ここで言う「支給開始日」とは、最初に給付金が支給された日のことです。
(注)標準報酬日額とは、標準報酬月額(被保険者が事業主から受ける報酬をいくつかの区分された等級に当てはめて決定した「仮の報酬」)の30分の1に相当する額(10円未満四捨五入)です。
入社間もない方など、支給開始日以前の期間が「12カ月に満たない場合」には、
のいずれか、少ない方の額を使用して計算されます。
<支給金額>
a. 支給開始日の属する月以前の継続した各月(平成28年1月~6月)の各月の標準報酬月額の平均額
500,000円 × 6カ月 ÷ 6 = 500,000円
b. 当該年度の前年度9月30日における全被保険者の同月の標準報酬月額の平均額
280,000円 (協会けんぽ)
aとbを比べて低い方を使用 ⇒ 280,000円
280,000円 ÷ 30日 × 2/3 = 6,220円
上記の例の場合、改正前は、1日当たりの支給額は500,000÷30×2/3=11,113円でしたが、改正後は6,220円となっています。このように報酬が高い従業員が入社早々給付金を申請する場合など、給付金額は通常の報酬よりも著しく低くなるケースもあり、生活に支障をきたすことも考えられます。これまでのように簡単に支給額が算出できないため、従業員からの問い合わせの際には、注意が必要となります。
※転職前に加入していた健康保険組合と転職後の健康保険組合が同一である場合、離職していた期間が1カ月以内であれば転職前後の標準報酬月額を通算して計算します。
a. 平成28年3月1日~31日の支給額
360,000 ÷ 30 = 12,000円 × 2/3 = 8,000円
b. 平成28年4月1日以降の支給金額
支給開始日以前の12か月(平成27年5月~平成28年4月)の各月の標準報酬月額の平均額(300,000円 × 4カ月 + 360,000 × 8カ月) ÷ 12 = 340,000円 ÷ 30日 = 11,330円 (1円の位四捨五入)
11,330円 × 2/3 = 7,553円 (1円未満四捨五入)
平成28年3月31日以前から、給付金を受給されていた場合は、支給額が変更となるケースがあります。 上の例の場合、平成28年3月31日までの1日当たりの支給額は8,000円となっていますが、4月1日以降の支給額は、7,553円と低くなってしまいます。
そのほかの変更に注意!
これまで出産手当金が支給される場合、その期間については傷病手当金を支給しないこととなっていましたが、平成28年4月1日から、傷病手当金の額が出産手当金の額よりも多ければ、その差額が支給されることとなりました。
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