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2016年 9月 1日公開
【連載終了】専門家がアドバイス なるほど!経理・給与
【アーカイブ記事】以下の内容は公開日時点のものです。最新の情報とは異なる可能性がありますのでご注意ください。
テキスト: 梅原光彦 イラスト: 今井ヨージ
毎年9月になると社会保険料が見直されます。今年、平成28年は健康保険の上限が見直され、賞与の保険料についても同様に健康保険の上限額が改定されています。そこで今回は変更の概要と注意すべきポイントについて解説します。
目次
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毎年9月になると社会保険料(10月支払い給与から)が見直されます。これは、算定基礎届の結果が反映されるのが9月となっているのと、厚生年金の保険料率引き上げが9月となっているからです。
つまり毎年9月からは、
「算定基礎届で標準報酬月額が見直される」+「厚生年金保険料率UP」(注)
ということになります。
(注)平成16年の法改正により、厚生年金保険料率は平成29年9月まで毎年アップされることになっています。
ただし、算定基礎届で変更の対象とならない人もいます。この場合でも、料率UP で厚生年金は変更されるので、どんな人でも厚生年金保険料は変わるのです。
さらに今年は、健康保険の料率の上限が見直されました。また、賞与の保険料についても健康保険の上限額が変更となっているので注意が必要です。
なお、社会保険料の基本についてはバックナンバーを参照ください。
「社会保険料の基本知識」の巻
「社会保険算定基礎届」の巻
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平成28年4月1日から、健康保険の標準報酬月額の等級が3等級追加されて50等級が最高等級となっています(表1)。これに伴い、報酬月額が1,235,000円以上の高額所得者の健康保険料を変更することが必要です。
<表1: 「改定により追加された等級」>
この標準報酬月額の上限の改定に際しては、事業主からの届け出は不要であり、現在届けられている報酬額に応じて、自動的に標準報酬が改定されました。
例えば、昨年の4、5、6月の報酬が平均「1,500,000円」であった場合、
改定前 「47等級:1,210,000円」(平成27年9月の健康保険の標準報酬月額) ↓改定後 「50等級1,390,000円」(平成28年4月の健康保険の標準報酬月額)
というふうに改正前の上限である47等級から、改定後は「1,500,000円」の報酬に合わせて50等級へと自動的に変更されたのです。
随時改定(注)の届け出を行う場合は月額変更届が必要となります。
例えば、報酬「1,200,000円」の方が平成28年1月に「1,300,000円」に昇給し、その後3カ月の報酬の平均が「1,300,000円」である場合は、平成28年4月改定として月額変更届を提出しなければなりません。平成28年4月から「49等級:1,330,000円」に改定されるからです。もしこれが、1カ月前の平成27年12月の昇給であれば、改定月にかからず、月額変更届の提出は不要となります。今年(平成28年)4月以降に随時改定を行う場合は注意が必要です。もちろん、今年の算定基礎届提出の際には、改定後の標準報酬月額で届け出ることを併せて確認してください。
(注)昇(降)給等の固定的賃金の変動に伴って標準報酬月額が大幅に変わったときは、毎年の定時決定を待たずに標準報酬月額を見直します。この見直しによる決定を随時改定と言います。
今年は、健康保険の料率の上限が見直され、賞与の保険料についても健康保険における標準賞与額の累計額の上限が変更されています(表2)。
標準賞与額とは年3回以下支払われる賞与について1,000円未満を切り捨てた額のことで、この標準賞与額に保険料率を乗じて計算した額が賞与にかかる保険料です。このときの保険料率は、毎月の給与にかかる保険料率と同率となっています。
<表2: 表1変更後の「標準賞与額の上限」(厚生年金は従前のまま)>
事業主から労働の対償として受ける報酬は金銭だけではありません。現物で支給されるものについても「報酬」に含めなければなりません。
現物で支給される食事や住宅は、厚生労働大臣が都道府県ごとに告示で定める標準価額に基づき、通貨に換算したうえで、報酬に算入します。この標準価額についても平成28年4月に見直されている都道府県が多いので、所在する都道府県での改定の有無を確認のうえ、標準報酬月額に反映させる必要があります。
参照:厚生労働省サイト「『厚生労働大臣が定める現物給与の価額の一部を改正する告示』の概要」
食事、住宅以外のものについては、時価を報酬に算入します。例えば、通勤手当の代わりに、定期券や回数券を現物で支給する場合は、その全額を報酬として算入することになります。
なお、被保険者から費用の一部を徴収する場合は、標準価額から被保険者からの徴収額を差し引いた金額を報酬に算入します。ただし、食事の場合は、被保険者が標準価額の2/3以上負担している場合は、報酬として取り扱いません。
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