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2018年 2月13日公開
【連載終了】専門家がアドバイス なるほど!経理・給与
【アーカイブ記事】以下の内容は公開日時点のものです。最新の情報とは異なる可能性がありますのでご注意ください。
テキスト/梅原光彦 イラスト/今井ヨージ
予期しないタイミングで突然……ということもあるのが税務調査です。もちろん適切に経理処理を行っていれば問題はないのですが、「調査」という言葉に不安を感じるのはよくあること。いざというときに慌てることのないよう、税務調査についての基礎知識を知っておきましょう。
目次
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税務調査とは、税務署、県税事務所、市役所の職員が納税者(法人・個人事業主)に対して一定の基準に従って関係書類をチェックし、聞き取りなどを行う調査のことです。税務署などの徴税機関は「申告納税方式」の補完として、この税務調査を行います。すなわち、申告内容が正しいかどうかを帳簿などで確認し、申告内容に誤りが認められた場合や、申告する義務がありながら申告していなかったことが判明した場合には、是正が求められます。
納税者が税額を計算して役所に書類を提出するやり方を申告納税方式、逆に徴税機関が計算して納税者に税額を通知するやり方を賦課課税方式といいます。日本の税法は原則、申告納税方式を採用しています。
税法は幅広い実務に対応するため、あえて曖昧(あいまい)に規定されている場合があります。その点が徴税機関と納税者との間に解釈の差の生じる原因となり、俗にいう「見解の相違」となります。
徴税機関が税額を計算し、これを納税者に通知する賦課課税方式については、税額を徴税機関が示しているのですから税務調査の必要はないと思われがちです。しかし、徴税機関は納税者が提出する基礎資料をもとに税額を算出するため、その資料内容が実態とかけ離れていることがないかどうかチェックするための税務調査が必要となる場合があります。
納税者である法人が課税される税金とその方式は以下の通りです。
1) 申告納税方式
2) 賦課課税方式
3) 源泉徴収制度
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一般的に税務調査で多いのが法人税・消費税に関するものです。この調査により補完される法人県民税、法人事業税、法人市民税について税務調査が行われることは(実務的には)ありません。
事業年度において発生した課税所得(≒当期純利益)に対して一定の税率を乗じて計算される税金です。
原則として、事業年度中に顧客(納入先)から預かった仮受消費税から、仕入先に対して支払った仮払消費税の差が納税額となります。
法人税の税務調査は通常2日間程度行われます。調査では、主に総勘定元帳と提出した申告内容のチェックが行われます。税務当局は調査に先立って、必要な情報を収集し、それらを整理してから税務調査に臨む場合があります。例えば、取引の履歴(資料せん(注1))、取締役の個人所得(確定申告や年末調整書類)、取締役の財産(確定申告時に提出する財産債務調書)、外国為替の取引履歴などについての情報です。銀行に対して個人通帳の資金の流れを問い合わせすることもあります。税務当局が収集した情報と聞き取り調査の結果との間に乖離(かいり)や矛盾がある場合には、その点を重点的に調査される可能性があります。
税務調査前までに下記の資料やデータ、書類を準備しておきましょう。
上記については、ファイリング整理を行い、総勘定元帳に記載されている仕訳番号と証票番号とを分かりやすくリンクさせておくことがベストです。
経済取引などに関連して作成される契約書などの文書にかかる税金のことです。どんな文書にいくらの印紙税がかかるのかは法律で定められています。具体的には「印紙税法別表第一の課税物件表」(国税庁「印紙税の手引」に掲載)に揚げられている20種類の文書のうち一定の非課税文書(国や地方公共団体が作成した文章など)を除いたものに課税されます。
(国税庁「印紙税の手引き」より)
印紙税の調査は、一般的には法人税の税務調査に合わせて行われます。税務署職員が契約書等をチェックし、課税文書に該当するものがあれば、そこに貼られた印紙の額が適正かどうかを精査します。
印紙税の調査で実際に多い指摘事項は下記のようなケースです。
会社が給料や報酬などから天引きする形で徴収を行う所得税のことです。印紙税の調査と同じく税務署の職員が法人税の税務調査に合わせて調査を行います(注2)。取引に応じて源泉税が課税されるかどうかが判断されるため、税務署で配布している「源泉徴収のあらまし」に従い、適正に源泉徴収を行いましょう。
取引の実質的内容により源泉徴収されるかどうか判断されます。例えば請求書等の明細が源泉徴収されないような取引であったとしても、実質的にどうなのかが判断されます。
固定資産税は、土地、社屋、償却資産などの固定資産の所有者に課税される地方税です。毎年1月31日までに、賦課期日である1月1日時点において法人が所有している一定の資産に対して固定資産税が課税されます。納税者である法人が市町村に対してまず「償却資産申告書」と「種類別明細書」を提出し、これをもとに市町村が税金を計算する賦課課税方式をとっています。
市町村は、法人が管理している固定資産税台帳と種類別明細書の記載内容の差異に着目し、本来申告すべき資産があるかどうか調査します。特に、中堅・中小企業者等に適用される「少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」(取得価額が30万円未満である減価償却資産は所得金額の全額を一括経費として算入することができるとする特例)を使って経費計上(注3)しているものは、固定資産税法では種類別明細書に計上するよう定められています。その処理が適正になされているかどうかが判断され、修正申告が求められるケースが数多く見られます。
(注3)「費用? 減価償却? 中小企業の資産購入」の巻を参照
事業所税は、一定の規模の個人や法人に課される地方税です。事業税とは違い、全て自治体ではなく、東京都や政令指定都市、人口30万人以上の都市など(注4)が課す税金となっています。
事業所税には、資産割と従業者割があります。下の表にあるように、中小企業などの場合は免税点以下になる法人がほとんどで、対象となる一部の法人が申告することになります。
標準的な事業所税の構成表
(参考)事業所税の課税団体一覧(平成29年1月1日現在)(ア) 東京都(区部)(イ) 地方自治法第252条の 19第1項の市(20市)札幌市、仙台市、さいたま市、千葉市、横浜市、川崎市、相模原市、新潟市、静岡市、浜松市、名古屋市、京都市、大阪市、堺市、神戸市、岡山市、広島市、北九州市、福岡市、熊本市(ウ) 首都圏整備法に規定する既成市街地を有する市(3市)川口市、武蔵野市、三鷹市(エ) 近畿圏整備法に規定する既成都市区域を有する市(5市) 守口市、東大阪市、尼崎市、西宮市、芦屋市(オ)人口30万以上の政令で指定する市(47市) 旭川市、秋田市、郡山市、いわき市、宇都宮市、前橋市、高崎市、川越市、 所沢市、越谷市、市川市、船橋市、松戸市、柏市、八王子市、町田市、 横須賀市、藤沢市、富山市、金沢市、長野市、岐阜市、豊橋市、岡崎市、 一宮市、春日井市、豊田市、四日市市、大津市、豊中市、吹田市、高槻市、 枚方市、姫路市、奈良市、和歌山市、倉敷市、福山市、高松市、松山市、 高知市、久留米市、長崎市、大分市、宮崎市、鹿児島市、那覇市
合計 76団体
各市町村の職員が現地を調査し、非課税部分を精査していきます。資産割では、福利厚生施設である休憩室、食堂、喫煙室、体育館、保養所、更衣室等の非課税面積の精査が行われます。従業者割では、免税点の判定と従業者給与総額とで差異があるパートタイマー・中途退職者の集計違いについて指摘されるケースが多く見られます。また、グループ会社がある場合には、みなし共同事業(注5)において納税義務が発生する恐れがあります。
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