2018年 4月10日公開

【連載終了】専門家がアドバイス なるほど!経理・給与

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「契約社員のルールが変わる!」の巻

テキスト/梅原光彦 イラスト/今井ヨージ

  • 経理

2018年 4月から契約社員との労働契約が、一定の条件の下で有期契約から無期契約へ変更されます。この「無期転換ルール」と呼ばれるルール変更によって何が変わるのでしょうか。4月以降、社員の権利を侵害することのないよう、そして新たなルールに対応できるよう基本的な知識を理解しておきましょう。

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無期転換ルールとは

日本では多くの人が契約社員、パートタイマー、アルバイトなどの形での有期労働契約、すなわち期間に定めのある働き方をしています。そのことには企業側・労働者側の双方にメリットもあるのですが、雇用が不安定であることや労働条件や待遇面で正社員と比べて格差がある……などの問題が指摘され、労働契約法が改正されました。このときに労使双方のメリットを目指して定められたのが「無期転換ルール」です。

無期転換ルールの基礎知識

一定の条件の下で、有期労働契約が無期労働契約に転換される新たなルールのことです。2012年の改正労働契約法で定められました。

具体的にいうと、以下の条件の下で、契約社員、パートタイマー、アルバイトなど有期契約で雇用されている労働者が求めれば、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換されるというものです。

  1. 同一の使用者(企業)との間での契約であること
  2. 有期労働契約の期間が通算で5年を超えること
  3. 有期契約労働者からの申込があること

契約期間が1年の場合、5回目の更新後の1年間に、契約期間が3年の場合、1回目の更新後の3年間に無期転換の申込権が発生します。なお、通算契約期間は、2013年 4月1日以降に開始した有期労働契約からカウントします。新たなルールが労働市場に与える影響は大きく、また2013年から起算してルールが適用される5年を超えるのが2018年ということから「2018年問題」と呼ばれています。

無期転換ルールの概要(厚生労働省 有期契約労働者の無期転換ポータルサイト内画像を参考に制作)

注意! 無期転換社員≠正社員

無期転換ルールにより無期雇用に切り換わった社員(以下「無期転換社員」)と正社員とは別物であることに注意してください。無期転換ルールにより、契約期間は有期から無期になりますが、その他の労働条件まで正社員のそれと同じになるわけではないのです。原則として契約期間以外の労働条件は変更されません。その意味で、無期転換社員は、正社員でも有期契約労働者でもない、新たな雇用の形ともいえるでしょう。労働者にとって無期転換社員になることのメリット・デメリットは、次のように考えられます。

メリット

  • 契約期間が終わるという不安がなくなる
  • 正社員並みの重い責任を負うことなく仕事が続けられる
    (責任の違いは給与や退職金といった処遇で調整されることになります)

デメリット

  • 有期契約のときに比べて、仕事の内容が重くなる可能性がある
  • 無期転換社員として固定化されることで、正社員への転換がしにくくなる可能性がある

有期契約労働者とは

一般的に契約社員、パートタイマー、アルバイトなどと呼ばれる社員です。1年か6ヵ月位の有期労働契約を結ぶか、または反復更新している人がこれにあたります。会社によっては準社員、パートナー社員、メイト社員、サムタイマー社員など多様な呼び名の雇用形態を設けている場合があります。しかし、その名称が何であれ、契約期間に定めのある労働者は全て有期契約労働者であることに変わりはなく、すべて「無期転換ルール」の対象となります。

また、派遣社員の場合は、派遣元の企業が無期転換ルールへの対応義務を負うことになります。

厚生労働省 「有期契約労働者の無期転換ポータルサイト」

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無期転換の申込

使用者である企業は無期転換ルールへの対応に迫られます。経営者にとっては雇用調整がしづらくなる可能性が出てくるので、これまで以上に計画性と覚悟をもって社員の雇用問題を考える必要が出てきます。無期転換ルールにのっとって有期労働契約を無期労働契約に転換してもらうことは労働者の権利なので、企業側はそれを拒むことはできません。

無期転換申込権

無期労働契約への転換を申し込む権利のことです。有期契約労働者が使用者(企業)に無期転換の申込をすると、無期労働契約が成立します。無期転換の申込をするかどうかは労働者の自由な意思に任されます。自動的に転換されるわけではありません(注1)。

  • (注1)会社によっては自動的に無期転換される制度を設けている場合もあります。

無期転換の申込があった場合

無期転換の申込を使用者は受け入れることになります。給与や待遇等の労働条件については、原則として直前の有期労働契約の際の労働条件がそのまま引き継がれることになります。

無期労働契約になる時期は

申込時の有期労働契約が終了する日の翌日から、無期労働契約となります。例えば、2013年 4月1日に開始した有期労働契約を反復更新して、2018年 3月31日に通算契約期間が5年となる労働者が、2018年 4月1日から1年間の有期労働契約を締結し、この契約期間中に無期転換の申込をした場合、2019年 4月1日から無期労働契約となります。

無期転換の申込がない場合

有期労働契約が通算で5年を超えて更新し、無期転換申込権が発生した場合であっても、有期契約労働者がその契約期間中に無期転換の申込をしなければ、有期労働契約のまま仕事を続けることになります。この場合、労働者は新たな有期労働契約の初日から末日までの間、いつでも無期転換の申込ができます。

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無期転換ルールの特例(例外)

無期転換ルールには次のような特例(例外)が設けられています。

1) 高度専門職の場合

専門的知識等を有する有期労働者は、事業主から支払われると見込まれる賃金の額が年間1075万円以上である場合、無期転換に至る期間が最大で通算10年とされます。

2) 継続雇用の高齢者の場合

定年に達した後、引き続いてその事業者に雇用される有期労働者については、定年後雇用期間は無期転換の通算期間に算入されません。

ただし、高齢者の場合、高年齢雇用安定法の規定に沿った高齢者雇用推進者の選任など、雇用管理措置に関する計画の認定申請が必要です。従って、前提として特別措置の内容を記載した労働条件通知書を整備する必要があります。

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無期転換ルールへの対応

無期転換ルールによって無期雇用が増えれば、これまでのように人手が欲しいときだけ雇用するというやり方が難しくなることは間違いありません。しかし、だからといって、無期転換ルールを避けるために雇い止めをすることは許されない可能性が高いでしょう。それよりも、無期転換ルール開始をきっかけに、中長期的な人材戦略の一環として、無期転換しようとする社員の処遇をどうするかが重要です。原則どおり契約期間以外の労働条件は転換前と同じままにするか、あるいはほかの労働条件も引き上げるか、さらには正社員(多様な正社員(注2)を含む)に昇格させるかなどを検討して人事制度を整理し、それに合わせて労働条件や就業規則の整備を行うことをお勧めします。

  • (注2)多様な正社員とは、いわゆる正社員(従来の正社員)と比べ、配置転換や転勤、仕事内容や勤務時間などの範囲が限定されている正社員のことをいいます。正社員と非正規雇用労働者との二極化を緩和するために導入が推奨されています。

なお、厚労省は以下のような無期転換ルール導入の支援策をご用意しています。

[支援策の例]

  • 無期転換制度の導入手順などを紹介するハンドブック等を作成
  • 無期転換ルールも含めた「労働契約等解説セミナー」を全国で約300回開催
  • 「多様な正社員」や「無期転換ルール」についてのシンポジウムを開催
  • 正社員化などを行った事業主に対するキャリアアップ助成金を拡充
  • 無期転換制度や「多様な正社員」制度の導入の参考となるモデル就業規則を作成
  • 無期転換制度や「多様な正社員」制度の導入を検討する企業へのコンサルティングを実施

詳しくは厚労省「有期契約労働者の無期転換ポータルサイト」をご参照ください。

厚生労働省「有期契約労働者の無期転換ポータルサイト トップページ」

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