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2018年 8月 2日公開
【連載終了】専門家がアドバイス なるほど!経理・給与
【アーカイブ記事】以下の内容は公開日時点のものです。最新の情報とは異なる可能性がありますのでご注意ください。
テキスト/梅原光彦 イラスト/今井ヨージ
所有株式によって受け取る配当金は会計上、もしくは税務上、どのように処理すればよいのでしょうか。今回は配当を行うとき、そして配当を受けるときの手続きなど配当金にまつわる基本的な知識を解説します。
目次
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営業外収益として計上される受取配当金には、株式会社などから利益分配として受け取る配当金と、中小企業協同組合などの剰余金の分配として受け取る配当金などがあります。ここでは配当金の中でも一般的な前者の場合について説明します。
株式会社が獲得した利益を株主に還元する行為を配当といいます。そして株主に配当される利益(お金)が配当金です。
債務超過会社や欠損会社(注1)は配当するための原資(資金)がないため、そもそも配当ができません。原則、これまで積み立ててきた内部留保に剰余金がある法人だけが配当をすることができます。
会社が配当できる額については会社法で具体的に定められています。配当するということは会社の純資産の現預金が減るということなので、事業への影響も考えなくてはなりません。公認会計士や税理士と相談して、配当可能限度額を計算したうえで、限度額の範囲で適正な配当をしていくことになります。
一般的な配当可能限度額は下記の計算式となります。
「その他資本剰余金」の額+「その他利益剰余金」の額
「その他資本剰余金」とは資本剰余金のうち「資本準備金」以外の部分、「その他利益剰余金」とは全ての利益剰余金の中から会社法によって積み立てを義務付けられている「利益準備金」を除いた部分をいいます。
資本剰余金:株主からの出資などの資本取引から得た剰余金+資本準備金資本準備金:株主からの出資のうち、資本金に組み入れなかった部分
非上場の株式会社の場合、株主に配当をしないケースが多いといえます。非上場会社では、経営者と株主がイコールの場合が多く、そうしたオーナー株主にとっては税法上のメリットが少ないため、結果として配当をしないで資金を内部留保するケースが多いということになります。
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ここでは中堅・中小企業に多い非上場会社が配当をする場合の手続きについて説明します。
非上場会社が配当をする場合には、定款の規定に基づき株主総会・取締役会等の決議を得て、配当額を決定します。
配当金は所得税の対象となるので、会社は配当額から一律20.42%の源泉徴収税額(所得税+復興特別所得税)を徴収しなければなりません。そのうえで残りの額を株主に支払うと共に、配当金支払明細書・支払調書を発行(郵送)します。これによって株主は源泉徴収額が把握でき、自身の申告に利用できます。
会社は20.42%の源泉徴収税額を、配当金を支払った、もしくは送金した月の翌月10日までに、最寄りの金融機関または所轄税務署に納税しなければなりません。また、配当金が未払いの場合は、支払いが確定した日から1年を経過した日の属する月の翌月10日までに納税する決まりとなっています。
領収済通知書
配当金についての支払調書合計表を税務署提出用と会社控用に、支払調書(注2)を税務署提出用と支払いを受ける者用に、それぞれ作成します。
支払調書合計表
支払調書
原則、支払調書合計表と支払調書を、支払確定日または支払った日から1カ月以内に所轄税務署に提出しなければいけません。税務署はその情報に基づき、配当金の受取人を把握し、課税漏れを防止します。
会社が株主として他の会社から配当を受ける場合、もしくは親会社として非上場の子会社から配当を受ける場合、会計上は営業外収益として収入計上しますが、税務上は別表調整(注3)をすることで、全部または一部が益金不算入(非課税)となります。以下、国内配当金と国外配当金に分けて説明します。
会計上の処理
例えば配当金が10,000円の場合、源泉徴収税額を差し引かれた額で振り込まれます。
税務上の処理
配当金については、上記の区分により益金不算入(非課税)の額が決まってきます。例えば継続保有している完全子法人株式等に係る配当金を受け取る親会社は、別表調整をすることで配当部分に法人税等の税金が生じることはありません。また源泉徴収税額については、その親会社が法人税等の税金が生じる会社であれば、その法人税等に充当され、税金が生じない法人であれば税務署に申告することで還付されます。
例えば配当金が100ドル(1ドル=100円)であった場合には、外国税額を差し引かれた額(注4)で振り込まれます。
ここでは仮に外国税額は20%としておきます。
国外配当金の税法上の処理については、外国税額控除制度と外国子会社配当益金不算入制度の二つの制度があります。選択制なのでどちらか有利な方法を選択しましょう。ただし、例外規定が多い制度なので、公認会計士や税理士に相談されることをお勧めします。
日本国と租税条約を締結している国から支払いを受けた配当金にかかる外国税額を日本の税金から控除できる制度です。
日本の親会社が発行済株式等の25%以上の株式等を保有し、かつ、その保有期間が配当の支払い義務が確定する日以前6カ月以上継続されている場合には、その配当金の95%が益金不算入(非課税)となる制度です。ただ、オーストラリア等の一部の国の配当金については対象外となるケースもあります。
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