2022年 7月12日公開

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「改正育児・介護休業法、始まる! Part.2」の巻

テキスト/梅原光彦 イラスト/今井ヨージ

2022年10月1日から改正育児・介護休業法の「産後パパ育休」と「育児休業の分割取得」が施行されます。対応に当たってどんな点に注意すればよいのか、前回に引き続き、改正育児・介護法のポイントを整理しました。

10月改正後の育児休業制度

政府は男性の育児休業取得率(2020 年度で12.5%)を2025 年の目標値(30%)に近づけるべく、育児・介護休業法の改正を行いました。2022年4月1日施行の改正に続き、10月1日施行の改正では、夫婦が協力して子育てを行い、かつ仕事との両立も可能なワークライフバランスの実現を目指しています。配偶者が復職するタイミングなど、職場や家庭の事情に合わせた運用が期待されます。

下の表は10月改正後の育児休業の概要です。育休とは別に、子の誕生直後に最大4週間とれる「産後パパ育休」が創設され、男性がより柔軟に育休を取れる仕組みに整えられました。

 現行の育休制度2022年10月1日以降
  育休制度産後パパ育休
期間原則、子が1歳
(最長2歳まで)
原則、子が1歳
(最長2歳まで)
子の生後8週間以内に4週間まで
分割取得原則不可2回まで分割可2回まで分割可
申請期限原則1カ月前まで原則1カ月前まで原則休業の2週間前まで
休業中の就業原則就業不可原則就業不可労使協定の締結により就業可能
(条件あり)

以下、主な改正のポイントを紹介していきます。

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育児休業の分割取得が可能に

まずは10月1日施行の改正で育児休業の分割取得が可能になりました。
改正前と改正後の変更点は次の通りです。

【改正前】一部例外を除き分割取得は不可

これまでの制度では、「パパ休暇」(注1)を利用した場合のみ2回目の取得が認められていて、それ以外は分割して育休を取得することはできませんでした。保育所に入所できないこと等を理由に、最長で子が2歳までの延長が認められていますが、その間業務から離れることによるキャリアのブランクが心配になります。また、延長についても「1歳からの延長」「1歳6カ月からの延長」と開始時点が限定されるため、夫婦が途中交代するといった臨機応変の対応が難しい状態でした。

  • (注1)子の生後8週間以内に父親が育休を取得すると、子が1歳までの間に2度目の取得が可能となる制度。

【改正後】分割取得が可、育休開始日も柔軟に

これまで同じ子について原則1回だった育児休業の取得回数が2回まで取得(分割取得)できるようになります。これにより夫婦で育休を交代できる回数が増え、より柔軟な対応が可能になります。特に男性は、産後パパ育休と育児休業を組み合わせれば最大4回の分割取得が可能です。さらに、1歳以降の延長でも育休開始時点が柔軟化され、途中交代が可能となりました。なお、改正に伴い、「パパ休暇」は廃止となりました。

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育児休業の再取得が可能に

1歳到達日後の育児休業の再取得についても改正がありました。

【改正前】育休の再取得は不可

1歳から1歳6カ月までの育児休業、1歳6カ月から2歳までの育児休業(保育所入所不能等の場合の「延長育休」)について再取得は認められませんでした。

【改正後】事情があれば再取得は可

特別の事情がある場合は再取得が可能になりました。

  • (注)第2子以降の産前産後休業、育児休業の開始により、育児休業を一度終了したものの、それぞれの休業の対象となる子等の死亡などにより休業が終了した場合は、再度の申し出が可能となります。

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「延長育休」の取得時期が柔軟に

保育所が見つからないなど子育てができる環境が整っていない場合に育休が延長できる制度では、育休開始日が選びやすくなりました。

【改正前】延長育休の開始日は2択のみ

延長育休の開始日は、「子の1歳到達日の翌日」と「1歳6カ月到達日の翌日」のみ可能でした。

【改正後】開始日は2択+αに

上記に加えて、配偶者の育児休業終了予定日の翌日以前の日も可能となりました(配偶者が子の1歳到達日の翌日または1歳6カ月到達日の翌日から育児休業をしている場合)。妻の育児休業終了日までに夫が育児休業を取得すれば、夫の育休開始日は「子の1歳到達日の翌日・1歳6カ月到達日の翌日」に限らないということです。従って延長育休についても、妻と夫が仕事のタイミングを見ながら交代で育児休業を取得することが可能となりました。

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産後パパ育休の創設

男性の育児休業取得の推進を図る目的で、現行の育休制度とは別に「産後パパ育休」が創設されました。

産後パパ育休(出生時育児休業)とは

男性の育児休業取得を促進するため新設された「出生時育休制度」のことです。産後パパ育休については、雇用環境整備、個別周知・意向確認とも、2022年 10 月1日から義務化されます。出生時育児休業中の就業に関する一定の事由等を理由とする解雇その他不利益な取り扱いも禁止されています。
雇用環境整備(注2)については、法を上回る措置(4項目の内複数項目)を講じること等で、産後パパ育休の申し出期限を1カ月前までに延長できる制度もあります。企業にとっては2週間前の申し出よりも1カ月前の申し出の方が準備もしやすいことでしょう。その意味でも環境整備の充実を検討するのが望ましいといえます。

  • (注2) 「雇用環境整備」については以下のバックナンバーを参照ください。

「改正育児・介護休業法、始まる!」の巻

産後パパ育休のポイント(1)

通常の育児休業とは別に、子の出生日から8週間以内に、最大2回に分割して通算4週間を限度として取得ができます。

産後パパ育休のポイント(2)

「長い間現場を離れられない」という業務上の問題と「収入減」という経済上の問題が、育児休業取得をためらう要因となっていました。産後パパ育休では、労使協定の締結により、一定の範囲内で休業期間中も就業できるようになりました。

現行制度か?新制度か?

改正後の新制度でも、育休制度と産後パパ育休は区別され、どちらかのみを取得することも、両方を組み合わせて利用することも可能です。では、どんな時に産後パパ育休を、どんな時に現行の育休を取得したほうがよいのでしょうか。

→短期間での取得を望む場合は産後パパ育休を

例えば、妻の里帰り出産で休業、産後休暇終了前に里帰りからのお迎えに休業。これで産後パパ育休を2回取得することとなります。この後、1歳までの間に2回の育児休業が取れます。妻と同時に育児休業を取得することで、「パパ・ママ育休プラス」で1歳2カ月まで取得可能です。これを利用して、妻の職場復帰サポートに夫が育児休業、といったかたちで育児休業が取得できます。

→長期間継続的に取得を望む場合はこれまで通りの育児休業を

もちろん、出産直後から妻と一緒に育児休業を取得することも可能です。また妻と夫が入れ替わって取得することも可能となります。

出生時育児休業給付金の創設

産後パパ育休の創設に伴い雇用保険の改正も行われ、出生時育児休業給付金が創設されます。産後パパ育休の期間中は、一定の条件を満たしていれば、社会保険料の免除と出生時育児休業給付金の支給を受けることができます。

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社会保険料の免除範囲

育児休業中の社会保険料(健康保険・厚生年金保険)の免除範囲が次のように変更されます。

【改正前】月末に育休取得の場合のみ免除

月末に育児休業を取得している場合は、当月分の給与および賞与の社会保険料が免除となります。

【改正後】同月内14日以上休業であれば免除

給与:改正前の要件に加えて、月末に休業していなくても同月内に14日以上休業していれば保険料免除の対象となります。
賞与:月末に休業していても、1カ月を超える期間の休業とならない場合は、保険料免除の対象とはなりません。

従って賞与支給月の育児休業取得の場合には注意が必要です。一部、「月末数日休業しても賞与の保険料は支払わなくて済む」といったネット情報がありますが、改正後は新たな要件を満たしていなければ保険料を負担することとなります。

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まとめ

今回の改正法施行で、育児休業は男性も取る、女性も分割して取るとなると、これまでのように女性がメインで育休を取って男性が時々それを補佐するという考え方から、男性も女性も仕事を持ちながら一緒に育児をするという育児休業の在り方に変わっていくことでしょう。
こうした変化のなかで企業においては、社員がプライベートを理由に休業や休暇の申し出がしやすい環境整備、雰囲気づくりが求められます。ただし、突然の育休取得は企業にとってもダメージとなります。男性の育休は当たり前という時代にシフトしていくなか、企業にとっては誰が休んでも柔軟に対応できる仕組みや、ブランクを生みにくく復職しやすい職場づくりが今まで以上に求められるといえるでしょう。

10月に創設される産後パパ育休

休業の定義産後休業をしていない労働者が、原則出生後8週間以内の子を養育するためにする休業
  • *「子」の範囲は、労働者と法律上の親子関係がある子(養子を含む)のほか、特別養子縁組のための試験的な養育期間にある子や養子縁組里親に委託されている子等を含む。(通常の育児休業と同じ)
対象労働者
  • 産後休業をしていない労働者(日々雇用を除く)
    主に男性が対象だが、養子等の場合は女性も対象。
    配偶者が専業主婦(夫)でも取得可能。
  • 有期雇用労働者は、申し出時点で、子の出生日または出産予定日のいずれか遅い方から起算して8週間を経過する日の翌日から6カ月を経過する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかでない者に限る。
  • 労使協定の締結により対象外にできる労働者
    (1)入社1年未満の労働者。
    (2)申し出の日から8週間以内に雇用関係が終了することが明らかな労働者。
    (3)1週間の所定労働日数が2日以下の労働者。
対象期間子の出生後8週間以内に4週間(28日)まで。
取得可能日数
  • * 原則出生日から8週間後までの間だが、出産予定日前に子が生まれた場合は、出生日から出産予定日の8週間後まで、出産予定日後に子が生まれた場合は、出産予定日から出生日の8週間後まで。
  • * 企業独自の育児目的休暇(法定の休暇を除く)が、出生時育児休業(産後パパ育休)の取得日数以外の要件を満たすものであれば、当該休暇の日数も含めて4週間が確保されればよいと解される。
回数
  • 分割して2回まで。
  • 分割する場合は、初めにまとめて申し出ない場合、事業主は後から行われた申し出を拒むことができる。
上記回数以上
の取得
3回以上は取得できない。
  • * 育児休業と異なり、特別な事情による3回目の取得の定めはない。
4週間を超える
延長等
出生後8週間を超える休業や取得期間4週間(28日)を超える休業はできない。
(4週間を超える期間等は通常の育児休業を取得。)
休業中の就業労使協定を締結している場合に限り、労働者が合意した範囲で休業中に就業することが可能。

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ライター紹介

梅原光彦

ライター歴30年超。新聞、雑誌、書籍、Web等、媒体を問わず多様なジャンルで書き続ける。その一つが米原万里著『打ちのめされるようなすごい本』に取り上げられたことが勲章。京都在住。

飯野正明(いいのまさあき)

プロフィール

東京都社会保険労務士会中央支部所属。1969年生まれ。社労士業務歴31年目の経験と知識を活用して、労務問題における「相談者の用心棒」として活動中。

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