2024年 8月20日公開

一歩先への道しるべ ビズボヤージュ

四国西南地域12市町村と大塚商会が災害連携協定を締結

企画・編集・文責 日経BP総合研究所

今までにない規模の、愛媛・高知両県にまたがる広域相互支援で災害に立ち向かう

2023年8月14日、愛媛県の宇和島市役所で「災害時における相互応援及び支援協力に関する連携協定」の締結式が行われた。この協定は、災害発生時に、愛媛県・高知県の12市町村と大塚商会が迅速かつ円滑に連携し、被災した自治体を支援することを目的としたもの。当日は、愛媛県5市町と高知県7市町村のトップと両県の立会人が顔をそろえ、大塚商会も参加して協定の締結式が行われた。

* 本記事は「一歩先への道しるべ(https://project.nikkeibp.co.jp/onestep/)」の記事を再掲載しています。所属と肩書は取材当時のものであり、現在とは異なる場合がございます。

大塚商会の提案により新たな広域連携の取り組みが始動

愛媛県南西部に位置する宇和島市。江戸時代には伊達十万石の城下町として栄え、豊かな自然の中、独自の文化を育んできた。「遊子水荷浦の段畑」に代表されるリアス海岸が織りなす風光明媚な景色の中、現存12天守の1つに数えられる宇和島城や「闘牛大会」などの伝統行事が知られ、養殖本マグロの「だてまぐろ」や真珠・真鯛の養殖などの産地としても名高い。

愛媛県宇和島市遊子地区の「遊子水荷浦の段畑」

締結式と同日に開催された「宇和島定期闘牛大会 お盆場所」の様子

一方で、宇和島市は、度重なる自然災害に見舞われてきた地域でもある。2018年に発生した「平成30年7月豪雨」では、市内各所で浸水被害や土砂災害が多発。13人の尊い命が失われたほか、市内全世帯の2割を超える約6500世帯が断水状態となった。また、今後想定される最大震度7以上の南海トラフ巨大地震では、最大6m超の津波が地震発生から約1時間で宇和島港に到達すると想定されている。

宇和島市は、今回の連携協定締結にあたり、愛媛県側の幹事自治体として中心的な役割を果たしている。協定を締結した自治体は、愛媛県の5市町(宇和島市、西予市、松野町、鬼北町、愛南町)と、高知県の7市町村(宿毛市、土佐清水市、四万十市、四万十町、大月町、三原村、黒潮町)。いずれも四国の西南部に位置し、南海トラフ巨大地震では甚大な被害が想定される地域である。

各市町村ではこれまでにも、大規模災害を見すえた防災対策を急ピッチで進めてきた。とはいえ、近年は災害が激甚化・頻発化する中で、個々の自治体だけでは十分な災害対応が難しいという認識が高まっていた。

協定締結の話が持ち上がったのは、大塚商会が、企業版ふるさと納税制度を活用して災害対策資機材等を寄付し、「広域的な災害対応に役立てていただきたい」と上記12市町村に呼びかけたのが発端だ。

大塚商会は2020年から、創業60周年記念事業の一環として、非常用LPガス発電機「RAYPOWER 3kVA」やポータブル水再生プラント「WOTA BOX」、水循環型手洗いスタンド「WOSH」などのBCP(事業継続計画)対策製品を全国の14自治体に寄贈してきた。

断水時でも避難所のインフラとして活用できる「WOTA BOX」と屋外シャワーキット