この記事は全2回シリーズの後編です。前編は下記よりご覧ください。
研修プログラムや学習教材を誰が用意するのかが課題
――前編では、まず企業が大きな目的を設定し、その達成に必要な知識をリスキリングで取り入れるという考え方を伺いました。ここからは具体的な学びの方法をお伺いします。
岸 前提として、リスキリングは社員全員が受ける必要はありません。前編で話したように、今の事業を分析して、目的を達成するためにデジタルを投入する部分が見つかったら、その領域に近い社員に優先して学んでもらうのが基本です。
あるいは、参加する社員を公募するのもよいでしょう。将来を考えて新しい知識を身に付けたいと考える人はいるはずです。会社がやってほしいことと個人の希望が一致するのは理想的な形であり、手を挙げてもらうのは有効なやり方と言えます。
重要なのは、あくまで最少人数で行うことです。また、多くの場合は本業の合間に学ぶ時間を確保するため、長期のプログラムは望ましくありません。私は、1日、もしくは半日×2回程度の研修プログラムが理想だと考えています。
――悩ましいのは、その研修プログラムや学習教材を「誰が用意するのか」という点です。
岸 DX推進部門がある企業は、そのチームが担当すればよいでしょう。該当する部門がない企業では、人事や社員教育を担当する部門が行うのがスムーズです。
外部に依頼するのも選択肢の一つです。ただし、丸投げしてしまうと思うような成果は上がらないかもしれません。あくまで目的と学ぶ領域の部分は自社で定めたうえで外部に相談するべきです。
また、外部機関を探す際は、信頼できる同業他社や社員の紹介、口コミを参考にするとよいでしょう。教育や研修を提供する機関は多数あるため、自社が本当に必要としている学びが得られないリスクをできる限り軽減して臨みたいところです。
ワークショップでの質問が大切に
――具体的な学びの方法についても教えてください。どのようなリスキリングのプログラムを行えばよいのでしょうか。