この記事は全2回シリーズの後編です。前編は下記よりご覧ください。
信頼関係を構築するための雑談で意識すべき三つのポイント
――著書『世界の一流は「雑談」で何を話しているのか』の中では、成果につながる「本質的な雑談」をするためのスキルやコツが披露されています。特に重要なポイントをご紹介いただけますか。
ピョートル 先ほど(記事前編)、個人と個人の間にラポールを作るために、「相手に好奇心を持つこと」「相手に集中すること」が必要だとお話ししました。これを前提として、相手をよく知るために、具体的に注目すべきポイントをお伝えしましょう。
ポイントは三つあります。一つは「価値観」、その人が大切にしていることです。例えば「週末は何をしていますか」と質問すれば、家族と過ごすのか、友人と交流するのか、その人の価値観を表す手がかりを得られます。
二つ目は「信念」、その人が何を正しいと考えているかです。仕事の進め方、向き合い方などを端的に聞くだけでも、その人が持っている信念が見えてくると思います。三つ目は「希望・期待」です。その人が何を求めているのかを探っていきます。
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これら三つは相手から聞き出すだけでなく、相手に自己開示をするために、自分自身の中でも明確にしておく必要がある。
出典:『世界の一流は「雑談」で何を話しているのか』よりJapan Innovation Review編集部で作成
ただし、一度の雑談で得た情報で「この人はこういう人だ」と、決めつけるべきではありません。今月は資格試験があって勉強ばかりしている人も、来月には試験が終わって余暇を大事にしているかもしれません。そのときによって人の状態は変わるので、雑談を通してお互いに関係性を微調整していく必要があります。
そういう意味で、部下の状態に目を配らなければならない、マネジメントの立場にいる人にとっては、雑談は特に不可欠なツールだと言えるでしょう。
リモートワークは関係性構築の障壁にはならない
――コロナ禍以降、リモートワークが普及する中で、雑談のかたちは変化していると思いますか。