2012年 8月 1日公開

仕事効率を上げるパソコン手帖

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Windows 7を高速化するカスタマイズテクニック

テキスト/芝田隆広

パソコンを長く使っていると「処理が遅い」「動作がもたつく」と感じることはけっこう多い。このような場合、もちろんメモリを増やしたり、CPUなどのパーツをより高速なものに交換したりといったことをすれば速度の改善は望める。しかし会社などのパソコンでは、そのようなハード的な対策を打つのは難しい。しかし実は、Windowsは設定次第で、お金をかけずに体感速度をだいぶ向上させることができるのだ。今回は、手軽に設定でき、かつパソコンをキビキビ動作させるためのテクニックを紹介する。

パソコンはどうして遅くなるの?

パソコンを使っていて「遅い」と感じる場合、非常に多種多様な原因が考えられる。ユーザの環境によって原因は千差万別なので、「これが原因」とはなかなか特定しづらい。ただ、大ざっぱに分けるとハードウェア的な要因と、ソフトウェア的な要因が考えられる。

ハードウェア的な要因とは、搭載しているパーツが遅いことによるものだ。例えば「CPUが古くて低速」とか、「搭載しているメモリ容量が少ない」などなど。また「ハードディスクが故障している」などといったトラブルも考えられる。このような場合は、パーツの増設・交換・修理などを行うことになるので、費用もかかるし、知識がある程度ないとすぐには実行できない。

今回は、主にソフトウェア的な要因、特にOSの設定が原因になっている場合とその対処法を解説する。ここで紹介するのは、すぐに実行でき、環境によってはかなり大きな効果を発揮するものばかりだ。

Windows 7には、ここで紹介する以外にもさまざまな設定項目があり、うまく設定を行えば体感速度を改善できる。ただしシステムの細部に至るカスタマイズは、環境によっては不具合を発生させる場合もあるので、バックアップなどをきちんと行ってから試してみてほしい。

「コントロールパネル」の「Windowsエクスペリエンス インデックス」の確認を表示すると、そのパソコンのだいたいの性能を判定することができる。スコアの範囲は1.0~7.9の範囲となっており、数値が低い項目があった場合はハードウェアの増設なども考えたほうがいいかもしれない。

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画面表示を地味にして表示を高速化

Windows 7では、さまざまな「画面の見映えを良くするための仕掛け」が用いられている。普段なんとなく使っていると気がつきづらいかもしれないが、例えばアプリケーションなどのウィンドウを開くとき、ウィンドウが最初は小さく、徐々に大きく表示されるようなアニメーションが使われている。

このような仕掛けは「視覚効果」と呼ばれているが、これを実現するためにCPUやビデオなどのマシンパワーが使われている。視覚効果はあれば見た目には楽しいが、作業をするためには必要不可欠なものではない。よりすばやい動作を実現したい場合は、いらない機能をオフにしてしまおう。

設定を行うときは、「システムのプロパティ」の「詳細設定」を呼び出す。具体的な手順は以下の画面を参照してほしい。ここで「パフォーマンスを優先する」に設定すれば、視覚効果のほとんどがオフになる。「カスタム」を選択して、オフにする視覚効果を選択することも可能だ。

またWindowsのデスクトップテーマを「Windows クラシック」にするという手もある。「Windows クラシック」では、ウィンドウの角が丸くなくなるなど、画面デザインがよりシンプルなものとなり、体感速度は向上するので、「ビジネスライクな地味な画面でも良い」という人は試してみるといいだろう。

まず「コンピューター」を右クリックして「プロパティ」を表示するか、スタートメニューの「コントロールパネル」で「システムとセキュリティ」→「システム」を選択する。すると左のようなウインドウが開くので、左側のメニューから「システムの詳細設定」を選択する。

「システムのプロパティ」が表示されたら「詳細設定」タブの「パフォーマンス」欄にある「設定」をクリックする。

「視覚効果」タブで「パフォーマンスを優先する」に設定すると、ウィンドウのアニメーション表示などの視覚効果がオフになり、体感速度が向上する。慣れてきたら「カスタム」にして、オフにする視覚効果を選択するのもいいだろう。

デスクトップで右クリックして「個人設定」を選択し、「テーマ」を「Windows クラシック」にすると、ウィンドウデザインなどは地味になるが、その分画面表示が速くなる。

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メモリが足りないときはUSBメモリで補う

パソコンで動作が遅い原因の大きなものとして「メインメモリ不足」がある。メインメモリとはパソコンに搭載されている部品の一つで、OSが作業を行うときに、一時的にデータを展開する場所だ。

オフィスに例えるなら、メインメモリは「デスクの机の上」のようなものだ。ハードディスクは「デスクの引き出し」に当たる。何か作業するときは、引き出し(HDD)から書類や文房具など(データ)を取り出し、それを机の上(メインメモリ)に広げてから作業を行う。このとき机の上のスペースが狭かったり、別のものでいっぱいだったりすると作業がしづらい。メインメモリについても、空き容量が少ないとパソコンが作業をしづらくなり、速度が低下するのだ。

Windows 7を快適に使うためのメモリ容量の目安は2GBといわれているが、環境によってはそれより少ないこともあるだろう。根本的な解決策はメモリを買ってきて増設することだが、そのための費用が出ない場合もある。そんなときは「ReadyBoost」という機能を使うことで、USBメモリを、メインメモリの補助として使うことができるのだ。

ReadyBoost機能は、USBメモリを装着したときに表示されるメニュー、もしくは「コンピューター」でUSBメモリのアイコンをクリックして「プロパティ」を表示して設定することができる。USBメモリは、パソコンに内蔵されているメインメモリよりは速度が遅いが、ある程度はメモリ不足による速度低下を改善することができる。

なお低速なUSBメモリだと、ReadyBoost用として利用することができない。新たにUSBメモリを購入するときは、パッケージや製品情報のWebページを見て、ReadyBoost対応製品かどうかをチェックしておこう。

ReadyBoost機能を使うときは、USBメモリを装着したときに表示されるメニューから「システムの高速化」を選択する。

「コンピューター」でUSBメモリのアイコンを右クリックして「プロパティ」を選択しても、ReadyBoost機能の設定を呼び出せる。

USBメモリのプロパティ画面が表示されたら「ReadyBoost」タブで、「このデバイスを使用する」にチェックを入れ、USBメモリのうちどのくらいの容量をReadyBoost用に使うか設定する。これによってメモリ不足をある程度解消できる。

USBメモリが低速な製品だとReadyBoostには利用できず、このような画面が表示される。USBメモリを選ぶときはReadyBoost対応製品にしておくといいだろう。

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スタートアップを整理して高速化する

Windowsのスタートメニューには「スタートアップ」という項目がある。ここに登録されたアプリケーションは、Windows起動時に自動で実行される。しかしスタートアップを見てみると、アプリケーションのインストール時に自動で登録されたものや、あまり使っていない機能などが含まれている場合もある。このようなものは削除してしまうと、起動時の時間を短くすることができる。

また最近ではアプリケーションが、Windows起動時に自動アップデートのチェックなどを行うことも多く、これで余分な起動時間が使われている場合もある。いちいちチェックを行うと起動が遅くなるので、自動チェックをオフにしておくのも手だ。ただしアップデートにはセキュリティ関連のものも含まれるので、自動チェックをオフにした場合は、時々手動でのチェックを行うようにしよう。

スタートアップの内容を確認する場合は、スタートメニューで「スタートアップ」にカーソルを合わせ、右クリックメニューで「開く」を選ぶ。

もし大して使わないアプリケーションが登録されていたら、削除してしまうといいだろう。ここに登録されているのはショートカットなので、アプリそのものがアンインストールされるわけではない。

各種アプリの自動アップデートなどをオフにしてしまうのも手だ。例えば「Adobe Reader X」であれば、「編集」→「環境設定」の「アップデーター」で、「アップデートのダウンロードやインストールを自動的に行わない」にチェックを入れると、自動アップデートがオフになる。

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ハードディスクが遅くなってきたら最適化で解消

パソコンを長く使っていると、ハードディスクに「断片化」という現象が発生する。ハードディスクの中身は円盤状になっていて、外周から順番にデータが記録されていく。このデータを「ヘッド」という部品を使って読み取っていく。

パソコンを長く使っていて、何度もファイルを消したり書き込んだりすると、一つのファイルが細かく分割されて、連続していない状態でハードディスクに書き込まれてしまう。分割された状態のファイルを読み書きしようとすると、ハードディスクのあちらこちらをヘッドが移動しなくてはならないので、速度が低下する。これが「断片化」という現象だ。

この「断片化」を解消するのが「最適化」(デフラグ)だ。パソコンを使っていて「ファイルの読み書きが遅い」と感じたら、「ディスクデフラグツール」を使って最適化を行ってみるといいだろう。

ディスクの最適化(デフラグ)を行うときは、まず「コンピューター」でドライブのアイコンを右クリックし「プロパティ」を選択する。

ドライブのプロパティ画面が開いたら「ツール」タブで「最適化する」ボタンをクリックする。

最適化したいドライブを選択し「ディスクの分析」をクリックすると、ディスクの断片化状況をチェックできる。「ディスクの最適化」ボタンをクリックすると、デフラグが始まる。

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マイクロソフトの公式診断ツールで自動設定

ここまで解説してきたように、Windows 7は設定次第で高速化することができる。今回は紹介しなかったが、より詳しいユーザならば、もっと詳細にシステムの設定を行うことも可能だ。とはいえいちいち設定画面をチェックしていくのは面倒という人もいるだろう。そういう人は、マイクロソフトが配布している「診断ツール Fix it」を使うことで、高速化設定をまとめて行うというのもいいだろう。

マイクロソフトサポート検索 「診断ツール Fix it」でソフトが配布されているので、ダウンロードして実行すれば、手軽にWindows 7の高速化設定を行うことができる。

マイクロソフトサポート検索 「診断ツール Fix it」をWebブラウザで開き「今すぐ実行」ボタンを押すと、「診断ツール」のインストーラファイルのダウンロードが行われる。

ダウンロードしたファイルを実行するとこのような画面が表示されるので、「同意する」ボタンをクリックする。

パソコンの分析や対策を行うには、「問題を検出して、解決方法を表示する」をクリックしよう。

そのパソコンにおいて、速度低下の原因となっていると思われる問題点があれば表示される。あとは「次へ」ボタンを押して、メニューに従って対策を進めていけばいい。

マイクロソフトサポート検索 診断ツール Fix it

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