2017年 5月

仕事効率を上げるパソコン手帖

ビジネスが変わる? ビッグデータの基礎知識

テキスト/芝田隆広

最近ニュースなどでよく耳にする「ビッグデータ」。ビッグデータを活用すればビジネスが劇的に変化すると言われているが、実際にはどのようなメリットがあるのだろうか。今回は何かと話題のビッグデータの基礎知識を解説する。

今話題の「ビッグデータ」って何なの?

「ビッグデータ」という言葉はビジネスの世界では一般的になりつつある。では「ビッグデータ」とはそもそも何なのだろうか? 漠然と「大量のデータを分析すること」といった程度のあいまいな理解をしている人が多いだろう。

実際のところ「ビッグデータ」は、どのくらいの容量があれば「ビッグ」とするか決まっているわけではないし、書式なども決まっているわけではなく、明確に定義された言葉ではない。

ビッグデータについて、総務省の「平成24年版情報通信白書」では「事業に役立つ知見を導出するためのデータ」としている。要するに「今までとは桁違いの大量のデータを使ってビジネスにつながる」であれば、「ビッグデータ」と呼んでしまってかまわないだろう。

総務省の「平成24年版情報通信白書」ビッグデータとは何か

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ビッグデータと従来のデータの違い

ここまで読んで「なんだ、データが多いだけか?」と思った人もいるかもしれない。しかし従来のデータと、いわゆるビッグデータは量的・質的に異なる。主な違いを挙げていくと以下のようになる。

<従来のデータとビッグデータの違い>

項目従来型データビッグデータ
データ量従来の分析システムで取り扱えるよう、データ容量を合わせており、極端に巨大ということはない。具体的に「何テラバイト、何ペタバイト以上がビッグデータ」と決まっているわけではないが、扱うデータ量が今までよりも桁違いに膨大。
細かさ、多様性あらかじめデータ項目を設定しておき、それに合わせてデータを入力していく。項目にないデータは記録されない(例:Excelの表)。より細かく多彩な情報が含まれる(例:検索履歴、ネットショッピングでの利用履歴、SNSへの書き込み、画像、動画など)。
リアルタイム性データの収集が終わってから、定期的に分析を行うため、リアルタイム性には乏しい。ビッグデータの多くがネットを通じて収集されることが多く、データの更新や分析がリアルタイムで行われる。

ビッグデータと従来のデータでは「データ量」「細かさ、多様性」「リアルタイム性」などが異なる。

ビッグデータの特徴としてよく言われるのが「非構造化」という点だ。従来のデータは分析がしやすいように、商品名、個数、単価などといった具合にあらかじめ項目を設定しておいて、それに沿ったデータを集めていた。ビジネスで多用するExcelの表を思い浮かべると分かりやすいだろう。

これに対して「非構造化データ」の場合は、形式があらかじめ決まっていないものも含む。例えばネット上のSNSのテキストや画像、動画などといったものも、分析の対象としていく。今まで扱っていなかった情報も捨てることなく収集していくわけだから、必然的に容量も桁違いに大きくなってしまうわけだ。

構造化データと非構造化データ

最新のデータ分析では、数値化しづらかった「非構造化データ」を捨ててきた。ビッグデータではこのようなデータも収集・分析の対象としている。

このような今までとは量・質が異なるデータとなると、従来のような「Excelの表に入力してグラフにして……」といったやり方では分析できないし、リアルタイムで分析結果を知ることも不可能だ。そのためには専用のシステムが必要である。

細かく多彩な「巨大データ」と、それらのデータを収集・分析するための「システム」。この二つをセットにしたものが「ビッグデータ」と呼ばれていると言える。そしてそのようなデータの収集と分析を、比較的手軽に活用できる環境が普及してきたことで、ビジネスでも注目を浴びるようになってきたわけだ。

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こんなふうに使える! ビッグデータの活用例

それでは実際にビッグデータを使うとどのような効果があるのか。以下の活用例を見ていこう。

  • スーパー → 顧客の行動を分析して売り場を効率化

    店内に顧客の動きを分析するセンサーを設置。そのデータを分析し、顧客がどの陳列棚に手を伸ばす回数が多いか、店員の配置によって売り上げがどう変わるかなどを調査。

  • 金融 → Twitterのつぶやきを分析して顧客へ情報提供

    Twitterのつぶやきから株式市場に関するツイートを抽出。日経平均などの金融指標に対する影響を分析。またTwitterでつぶやかれている頻度の高い企業名や商品名を抽出し、口コミで話題になっている商品やサービスを発見することで、今後の株価上昇を予測し、機関・個人投資家に情報を提供する。

  • 飲料メーカー → 自動販売機の売り上げ向上

    飲料の自動販売機に視線の動きを調べるセンサーを取り付けて分析し、一番視線が集まるのはどの位置かを調べ、その位置に主力製品を配置して売り上げ増加につなげた。

  • カーナビ製造会社 → 走行データを渋滞解消に活用

    カーナビに通信機能を加え、会員の車両から走行データを収集・分析。渋滞を回避するルートを発見し情報提供する。

  • 家電メーカー → コールセンターの依頼内容から修理に必要な部品を割り出す

    コールセンターに寄せられた修理依頼の内容や機器のデータ、修理履歴などを収集。今後必要になる部品の数量を自動で割り出すことで、在庫管理の効率化につなげた。

  • 宅配便業者 → 不在情報を分析して再配達を削減

    伝票に記載された配送先情報を取り込み、どの時間帯だと不在が多いかなどを分析して、業務効率を低下させる再配達業務を削減する。

簡単にいくつか例を挙げてみたが、より細かなデータが手に入り、分析ができるようになれば、もっともっとさまざまな業務に活用することができるはずだ。

現在は「IoT」(Internet of Things=モノのインターネット)が話題となっており、さまざまなモノをインターネットに接続する試みが広がっている。IoTでは身に着けるものや家具など、あらゆるモノにコンピューターを内蔵し、インターネットを通じて情報を収集できるようになる。入手できるデータの幅が広がれば、それだけ新たな切り口での分析が行えるようになり、今までになかったビジネスチャンスを発見できるだろう。

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ビッグデータを使ううえでの注意点

ここまでビッグデータについて解説してきたが、扱う情報量が膨大であり、分析するためのシステムが必要になることから、一従業員が「さあビッグデータを活用しよう」と言ってすぐさま利用できるものではない。

まずはデータをどのように集めるのか、手に入れたデータをどうやって分析するのかを決める必要がある。またビッグデータは含まれる要素が多岐にわたるだけに、やみくもに分析しても、望むような結果は得ることはできない。分析用のシステムの構築にも専門知識が必要だ。

「自分の会社でも導入できないか」と考えるなら、まずは専門家のアドバイスを受けながらテストをしてみるといいだろう。大塚商会が提供している「経営支援サービスの個別サービス」では、無料で企業の保有するデータを機械学習プラットフォームで分析し、報告書を作成するサービスを行っている。このほか大量のデータを分析し、需要予測や予防保全に活用できるデータマイニングツールの提供も行っている。

大塚商会:「経営支援サービスの個別サービス」

大塚商会が提供する「経営支援サービス」では個別サービスとして、毎月5社限定で無料のデータ分析サービスを実施している。

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大塚商会:「データマイニングツール(機械学習)(法人向け)」

大塚商会の「データマイニングツール(機械学習)(法人向け)」では、ビッグデータを用いて需要予測や予防保全などに役立てることができる、データマイニングツールの導入をサポートしている。

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ビジネスを行っていく過程で蓄積されるデータは、企業の重要な財産だ。それをより賢く利用すれば、業績の向上や、業務の効率化に役立つ。せっかくの「財産」を眠らせないでしっかり活用しよう。

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