【お知らせ】がんばる企業応援マガジン最新記事のご紹介
インターネットの電話番号「IPアドレス」を理解しよう
IPv6の難しい説明の前に、まず手持ちのパソコンでInternet ExplorerなどのWebブラウザを起動して、以下のURLを開いてみてほしい。
Yahoo!JAPAN
http://124.83.187.140/
すると、おなじみの「Yahoo!JAPAN」のホームページが表示されたはずだ。
注:環境によっては閲覧できない場合もあります。
ここで「あれ?Yahoo!ってhttp://www.yahoo.co.jp/じゃなかったっけ?」と思う人もいるだろう。ここで注目してもらいたいのが「124.83.187.140」という数字の並びだ。この数字の並びのことを「IPアドレス」という。
「数字の羅列なので訳が分からない」と思うかもしれないが、これは要するにインターネットにおける電話番号だと思えばよい。インターネットにつながっているコンピュータには、それぞれこのIPアドレスが割り振られている。そこで「インターネット上のコンピュータにアクセスしたい!」と思った時は、IPアドレスを入力して宛先を指定するわけだ。電話を使って相手と話したい時に、相手の電話番号を入力するのと同じことだ。
なお「http://www.yahoo.co.jp/」と入力してもWebページが表示されるのは、「ドメインネームサーバ(DNS)」というサーバのおかげだ。インターネットのサーバに接続する時は、IPアドレスを指定するのが本来のやり方なのだが、数字の羅列であるIPアドレスは覚えにくい。
そこでDNSが「http://www.yahoo.co.jp/へのアクセスがあったら、124.83.187.140につなぐ」という翻訳を行ってくれているのだ。これは携帯電話の「電話帳」機能のようなものと考えればよいだろう。電話帳の場合、電話番号をいちいち覚えるのは面倒なので、例えば、「ヤフーさん」という名前を選択すれば、電話番号を呼び出せる。DNSもそれと同じことをしてくれているのだ。
- * 画像をクリックすると大きなサイズでご覧いただけます
Webブラウザで「http://www.yahoo.co.jp/」を開いてみたところ。「Yahoo!JAPAN」のホームページが表示される。
次に、「http://124.83.187.140/」をWebブラウザで開いてみた。こちらも同じホームページが表示される。この場合「124.83.187.140」が、「Yahoo!JAPANのWebサーバのIPアドレス」ということになる。
目次へ戻る
インターネットの普及でIPアドレスが足りなくなる!?
この「IPアドレス」だが、現在一般的に使われている「IPv4」という方式では、「0~255の3ケタ数字を、ピリオドで区切って4個並べる」という形式になっている。各数字は0~255の範囲まで利用できる。つまり、理論的には255×255×255×255で、43億個のアドレスを作ることができる。
昔、インターネットがあまり普及していなかったころは43億個で十分まかなえると考えられていたのが、現在はこれでは足りなくなってきている。ただでさえ現在の世界人口は60億を超えており、一人1個のアドレスを持つと43億個では足りない。さらに、最近ではパソコンだけでなく、スマートフォンや携帯ゲーム機など、インターネットにつながる機器が増えているため、「一人1個のアドレス」どころか「一人につき複数個のアドレス」を必要とする時代になってきているのだ。
先ほど「IPアドレスはインターネットにおける電話番号」と言ったが、電話番号がすべて埋まってしまったら、新しい電話は増やせない。同じようにIPアドレスが完全に埋まってしまうと、新しいWebサーバを立ち上げたり、新規の携帯電話などでインターネットにつなげられなくなったり、といったことが起こりかねない。
「IPv4」環境下でのIPアドレスの不足については、Windows 95と共にインターネットが普及したころから「いずれ直面する問題」と言われていた。これまでは会社の倒産などで使われなくなったアドレスを再利用し、なんとか乗り切ってきたが、2011年にはアジア太平洋地域でのIPv4アドレスの在庫が事実上枯渇し、いよいよ待ったなしの状況に突入しつつある。
IPアドレスの説明図
目次へ戻る
IPアドレスの枯渇を解消する「IPv6」
「IPアドレスの不足」を根本的に解消するためには、最終的にはIPアドレスを増やすしかない。そこで導入が進められているのが、今回のテーマである「IPv6」(アイピーブイシックス)だ。これは「Internet Protocol Version 6」の略称で、要するに「インターネット(Internet)を利用するための手順(Protocol)の6代目(Version 6)」を指している。
それでは実際にIPv6の実例を見てみよう。会社やプロバイダなどの通信環境が既にIPv6対応済みであれば、Windows 7/8のInternet Explorerを使ってIPv6のアドレスでアクセスできる。試しに、以下のURLにもアクセスしてみてほしい。
インターネット接続サービスαWeb会員サイト
右上の部分に「connected via IPv6」という画像が表示されていたら、そのパソコンはIPv6対応済みだ。もし「connected via IPv4」と表示される場合は、現在の環境はIPv6に対応していないということになる。IPv6に対応している環境であれば、以下のURLをWebブラウザで開いてみてほしい。
Google
http://ipv6.google.com/
これは「Google」のホームページのIPv6版だ。IPv6対応環境でないとこのサイトは表示されない。
IPv6に対応したコンピュータのIPアドレスは、
2001:0db8:bd05:01d2:XXXX:1fc0:0001:0002
のように、「16進数の4ケタ数字を、カンマで区切って8個並べる」という形式になっている(XXXXの部分にも本来は16進数で4ケタの数字が入る)。これで作成できるIPアドレスは「43億の4乗」となる。「約340澗(カン)個」という聞いたこともないよう桁数になるわけだが、要するに「ほぼ無限」と考えておけばよい。
- * 画像をクリックすると大きなサイズでご覧いただけます
Webブラウザで「http://www.alpha-web.ne.jp/」にアクセスしてみよう。IPv6ネットワーク経由でこのホームページを見ていれば「connected via IPv6」となる。
IPv4ネットワーク経由でこのホームページを見ていれば「connected via IPv4」となる。
参考:http://www.alpha-web.ne.jp/about_ipv6/index.htm
IPv6対応環境で「http://ipv6.google.com/」を開いてみた。これは「Google」のIPv6版だ。このようにIPv6への対応は徐々に進みつつある。
目次へ戻る
IPv6になって変わること
現在のインターネットは、まだIPv4がメインとして利用されている。上記のGoogleのIPv6版はIPv6対応環境でしか接続できないが、これは現状ではむしろ例外的なパターンだ。すでにIPv6対応済みのサーバのほとんどは、IPv4のIPアドレスも持っており、IPv4/IPv6どちらでも接続できるようになっている。
しかし、今後IPv4アドレスが本格的に足りなくなってきたら、IPv6アドレスしか持たないコンピュータも増えてくるはずだ。IPv4に対応していないパソコンや通信環境では、IPv6アドレスしか持たないコンピュータにアクセスできない。例えば、「最新スマートフォン向けに提供が開始された動画サイトが、IPv4環境では視聴できない」ということが起こり得るわけだ。
また、IPv6に移行するメリットは「IPアドレスの枯渇を回避できる」ことだけではない。IPアドレスを事実上、無制限に使えるようになることで、インターネットをより自由に活用できるようになるのだ。
現在のIPv4では、「一つのIPアドレスをさらに細かく分けて使う」ということがIPアドレスの数を節約している。会社などでは部署ごとに電話番号が用意されているが、各自の机の電話機を個別に呼び出すときは、その会社内でしか使えない「内線番号」を利用する。それと同じことがネットワークでも行われているのだ。
IPv4において、外部からもかけられる「電話番号」に当たるのが「グローバルIPアドレス」。社外からは利用できない内線番号に当たるのが「ローカルIPアドレス」だ。これだと、例えば「会社にある自分のパソコンにアクセスしてファイルを取り出す」といったことをしたい場合、「共用の番号は知っていても内線番号を知らないのでパソコンにアクセスできない」という事態が生じてしまう。
これがIPv6になると、IPアドレスを自由に使えるため、LAN内にあるパソコン1台1台にグローバルIPアドレスを割り振れる。またパソコンだけでなく携帯電話やゲーム機、音楽プレイヤー、家電製品などなど、多種多彩な機器に固有のIPアドレスを割り振れる。IPv6が普及すれば、例えば外出先からスマートフォンで自宅のパソコンを操作するなどといった操作が、今までよりもはるかに簡単な手順で行えるようになるのだ。
IPv6対応環境と未対応環境におけるインターネット利用時の違い
目次へ戻る
Windows XPでIPv6を利用する
IPv6を利用するためには、自分の使っているパソコンなどの端末がIPv6に対応している必要がある。さらに、プロバイダなどの接続回線や、ルータといったLAN機器、さらにアクセスする相手先もIPv6に対応している必要がある。
OSについては、Windows 7/8であれば標準状態でもそのままIPv6が有効になっている。
Windows XPもService Pack1以降は、IPv6に対応している。こちらも標準ではIPv6が無効となっている。以下の手順で有効化する必要がある。
Windows XP(SP1)以降でIPv6を有効にするには、まずコントロールパネルの「ネットワークとインターネット接続」から「ネットワーク接続」を開く。
次に「ローカルエリア接続」を右クリックして「プロパティ」を選択する。
「ローカルエリア接続のプロパティ」が表示されたら「インストール」をクリックする。
このような画面が表示されたら「プロトコル」をクリックして、「追加」ボタンをクリック。
「Microsoft TCP/IP version 6」をクリックして「OK」をクリック。これでIPv6が有効になる。
インターネットは現在のところまだまだIPv4が主流で、全体がIPv6環境に移行するのは、まだしばらく先のことになるだろう。しかし、いずれは必ずIPv4アドレスが足りなくなるのは目に見えているし、不足した際に慌てて対応するのでは思わぬトラブルに巻き込まれることもある。まだ、先ほどのIPv6対応Webページを開けないような環境であるならば、早めに対応を進めていくとよいだろう。
目次へ戻る
【お知らせ】がんばる企業応援マガジン最新記事のご紹介