2019年11月26日公開

仕事効率を上げるパソコン手帖

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ビジネスチャットツールで多人数での仕事を円滑に

テキスト/芝田隆広

  • PC

ビジネスの現場では、複数人のメンバーの共同作業で一つのプロジェクトを進めていくシーンは多い。そんなときに便利なのが「ビジネスチャット」だ。今回はビジネスチャットとは何か、どんな場面で役に立つか、どんなツールがあるのかといった、ビジネスチャット導入に必要な知識を紹介する。

電話やメールはもう古い! 共同作業に求められる要素とは

同報メールしたのに相手がメールを見落としていた――仕事をしていてそんな経験をしたことがある人は多いだろう。複数人で一つの仕事をしていると、ちょっとした連絡ミスが原因で、大きな問題が生じることはままある。

昨今は、一つの仕事を社内の複数部署や社外と協力して行うことも多いが、このような共同作業をうまく進めるには、以下のような要素が必要となってくる。

情報の共有

多人数で一つの作業を進めるためにまず必要なのは、メンバー全員が共通認識を持つこと。納期などのスケジュールだけでなく、別のメンバーの作業の進捗(しんちょく)状況を把握したり、必要なファイルの共有をしたりできることが望ましい。

即時性

複数人で意見を持ち寄る場合に、いちいち会議を行うのはスケジュール調整が面倒だし、時間もかかる。意見交換の時間を短縮できれば、それだけ業務が迅速に進む。

履歴や検索性

共同で作業を進めるときには「言った言わない」が問題になりがち。過去の議論の履歴はきちんと残しておきたいし、そのやりとりの中から必要な情報を素早く検索できることも重要だ。「各メンバーに情報が行き渡ったか」の確認もできると望ましい。

外出先や遠隔地からのアクセス

プロジェクトメンバーは常に同じ場所にいるとは限らない。メンバーが出張中だったり外出したりしているときや、別の支社や他社のスタッフと作業する場合にも円滑な連絡が求められる。

これらの要素を考え合わせると、従来の電話やFAX、メールでは不都合が多いことが分かるだろう。そこで、これらの問題点を一気に解決する手段として注目を集めているのが、今回紹介する「ビジネスチャット」だ。

共同作業時における従来の連絡手段の問題点

 電話FAXメール
情報の共有電話でのやりとりの内容を他メンバーと共有するのが難しい。スケジュールやファイルの共有もできない。メンバー全員にFAXをするのは手間がかかるし、紙の書類もたまる。スケジュール・ファイル共有も難しい。同報メールで情報は共有できるが、メールが多数になると管理が煩雑となる。
即時性一対一での討論の即時性は高いが、多人数での意見交換には不向き。FAX用の書類作成が面倒だし、送受信に時間がかかる。まとまった意見を交わすには適しているが、討論などのメールが多数になると見づらくなる。
履歴や検索性電話の音声データを残すのは手間がかかるし、検索もしづらい。紙の書類で履歴は残るが、必要な情報がどのFAXに記されているかを検索するのは面倒。検索は簡単に行えるが、相手がメールをちゃんと読んだかの確認はしづらい。
外出先や
遠隔地からの
アクセス
携帯電話で連絡は取れるが、通話は移動中だと取りづらい傾向も。海外など、場所によっては連絡が取りづらい。FAX機のある場所でないと受け取りづらい。外出先や遠隔地からのアクセスは可能。社外などでメールを見ることができるかは環境による。

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共同作業を快適にする「ビジネスチャット」

「ビジネスチャット」とは、「多人数でのプロジェクトを円滑に進めるための機能」を集めたグループウェアの一種だ。通常はサーバーにデータが保存され、WindowsやMac、スマートフォンのアプリやWebブラウザーから利用できる。主な機能としては以下のようなものがある。

チャット機能

主に短文で会話するための機能。「LINE」などのチャット機能をイメージするといいだろう。メンバー複数人が同時にログインして、グループで会話を交わすことができる。リアルタイムでチャットをするので即時性が高いだけでなく、チャットのログ(履歴)は後からでも閲覧できる。在席していなかったユーザーでも、後から状況を確認可能だ。

ビデオ、音声通話機能

電話(テレビ電話)と同様に、音声や映像を使って会話ができる機能。打ち合わせのほか、メンバー同士の交流という面でも役に立つ。ネットを使った無料通話なので電話代の節約にもなる。

掲示板機能

連絡事項などのまとまった情報を掲示しておける機能。チャットだと情報の流れが速すぎるし、相づちなどの余剰な情報も入るため、メンバー内でのコンセンサスをまとめておくには掲示板を利用した方が便利だ。

スケジュール、プロジェクト管理機能

メンバー間のスケジュールをカレンダー上に表示したり、作業ごとの進捗(しんちょく)を記入・閲覧したりができる機能。複数のチームで作業を同時並行して進めている場合は、プロジェクト管理機能を使うと便利。

共有機能

ファイルを共有する機能。メンバーごとにファイルを別々に保存するのではなく、一元的に管理したい場合にも役立つ。

このほか連絡先を共有・管理したり、一対一でのダイレクトメッセージ(メールに近い)機能も備えていたりする場合が多い。また掲示板やチャットの既読確認なども可能なビジネスチャットであれば、「連絡が周知されているか」という確認もしやすい。

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使わなければ損! オススメビジネスチャット4選

ビジネスチャットは最近注目を集めており、多数のサービスが登場している。ここでは、その中でも人気のある4種のビジネスチャットを紹介していく。

LINEユーザーにも親しみやすい「LINE WORKS」

チャットツールとしておなじみの「LINE」をベースにしたビジネスチャット。チャット機能のほか、無料通話、アドレス帳機能や掲示板、カレンダー機能などを備える。

また「LINE WORKS」ならではの特徴としては、スマートフォンのコミュニケーションツールである「LINE」のユーザーともチャット可能であることが挙げられる。特に若い世代は「LINE」を使い慣れているユーザーが多いため、すんなり使い始められるだろう。

「LINE WORKS」の無料お試しはこちら

LINE WORKS(https://line.worksmobile.com/jp/)

Office 365同梱のビジネスチャット「Microsoft Teams」

マイクロソフトが開発したビジネスチャットツールで「Office 365」に同梱されている。チャット、音声・ビデオ通話、Web会議、ファイルの共有、Officeアプリでの共同作業などを行うことができる。無料版については「Office 365」に加入していない企業でも利用可能だ。

大塚商会 たよれーる Office 365(Office 365に、日本企業向けの手厚いサービス&サポートをセット)

Microsoft Teams(https://products.office.com/ja-jp/microsoft-teams/group-chat-software)

20万社以上の導入実績を誇る「Chatwork」

手軽に利用できるビジネスチャット。20万社以上の導入実績がうたわれており、チャット機能やタスク管理、ファイル共有、ビデオ通話・音声通話機能を備える。

Chatowork(https://go.chatwork.com/ja/)

世界中で使われているビジネスチャット「Slack」

海外でも一般的に使われているビジネスチャットツール。テキストチャット機能、音声通話・ビデオ通話、ファイル共有のほか、履歴の検索などの機能も便利。またSlackから外部のクラウドサービスを操作できるアプリを組み込むなど、カスタマイズ性にも優れている。

Slack(https://slack.com/intl/ja-jp/)

今回紹介したビジネスチャットは、どのサービスも十分な機能を備えている。どれを使い始めるかは悩むところだが、「LINE」を使い慣れている人が多い環境であれば親和性の高い「LINE WORKS」がオススメだ。また「Office 365」を契約しているのであれば「Microsoft Teams」も手軽に導入できるだろう。いずれのサービスも無料で利用できるプランがあるので、まずは少人数で試してみると良いだろう。

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