2021年 5月25日公開

【連載終了】仕事効率を上げるパソコン手帖

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やってはいけない! Excelべからず集

ライター/芝田隆広

  • PC

Excelは言わずと知れたビジネスの必携ソフト。非常に高機能なだけにさまざまな使い方ができるが、使い方を間違えるとトラブルや二度手間の原因となってしまう。そこで今回は「Excelのやってはいけない使い方」をまとめてみた。

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自分ルール厳禁! Excelのやってはいけない使い方

Excelは、さまざまな計算、表やグラフの作成、データ分析などなど、オフィス業務に欠かせないソフトだ。多機能でさまざまな使い方ができるが、中には「これはやめておいた方がいい」という使い方をしている人もいる。

もちろん自分だけが利用する場合や、一度しか使わないファイルであれば、自分流、つまり「自分ルール」でも問題ない。

ただ、業務となると他者とファイルを共有したり、取引先などに送付したりすることが多い。その場合、「自分ルール」で作られたファイルでは他人には理解や操作がしづらく、余計な手間を掛けさせてしまうことがある。

また、自分だけで利用する場合でも「後から利用する」ということを考えずに作成してしまうと、再利用する際に非常に面倒になってしまう場合も多々あるので要注意だ。以下で紹介するような使い方はなるべく避けるようにしよう。

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(その1)ファイル名やシート名が標準のまま

対処方法→内容の分かる名前に変更しよう

Excelでファイルを新規に作成し「名前を付けて保存」を行うと、標準ではファイル名が「Book1.xlsx」となる。またWindows 10の環境下で、フォルダ上で右クリックして「新規作成」を選択してExcelファイルを新規作成すると、「新規 Microsoft Excel ワークシート.xlsx」というファイルが作られる。

このままにしておくと、ファイル名を見ただけでは中にどんなデータが入っているか分からないため、内容を表すファイル名に変更しよう。またExcelファイル内で複数のシートを利用するときも標準のシート名「Sheet1」「Sheet2」……ではなく、内容を表すものにしておいた方が良い。標準のままだとそのシートに切り替えないと中身が分からない。

「クリックするだけなのでそのくらいいいだろう」と思うかもしれないが、必要なデータを探すため、複数の「Book1.xlsx」を開き、さらに「Sheet1」「Sheet2」などのシートをいちいち開いていく……と考えると結構な手間になることが分かるだろう。

Excelでファイルを新規保存すると、標準では「Book1.xlsx」というファイル名になる。面倒くさがらずに内容が分かりやすいファイル名を入力しよう

シートについても「+」ボタンで新規シートを作成すると「Sheet1」「Sheet2」「Sheet3」といったシート名が設定される。シート名の上で右クリックして「名前の変更」を選択し、中身が分かる名前に変更した方が後から見た際に分かりやすい

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(その2)後から変更される可能性のある数値の直接入力

対処方法→計算式の数値はなるべくセル参照にする

例えば、Excelを使って「商品の本体価格と消費税込みの価格を計算する」というケースを想定してみよう。下記の表のようにB列に本体価格を記入し、セルC2に「=B2*1.1」と入力すれば、税込価格が表示される(消費税率10%の場合)。後はC列にC2をコピー&ペーストしていけば、C列全てに各行の税込価格が入る。

一度だけ計算できればいいのであれば構わないが、税率などの数値は変更される可能性がある。将来的に税率が変更された場合は、その数値を含む全セルを修正しなくてはならなくなってしまう。そこでこのような数値についてはなるべくセル参照にしておこう。

税率のように将来変更される可能性のある数値を、セル内に直接手打ちするのはNG

この場合に覚えておきたいのが「絶対参照」というテクニック。下記の表の例ではセルF1に「1.1」を入力する。セルC2は「=B2*F1」にしてしまいがちだが、C2の内容をC3以降にペーストすると、C3は「=B3*F2」、C4は「=B3*F3」という具合にF2、F3といった数値の入っていないセルを参照してしまう。

これを防ぐために通常は「F1」と書くところを「$F$1」にする。こうするとペーストしたとき、C3以降も税込価格を計算する割合部分はセルF1を参照してくれる。

これは非常に簡単な例だが、もっと長い計算式や数値が多くなると混乱の元となるので、なるべくセル参照で処理する習慣を身に付けておこう。

セルの絶対参照を使った計算。本体価格に対する税込価格の割合をセルF1に入れ、「$F$1」で参照して計算を行う。例えば消費税率が15%になったら、セルF1を「1.15」にすれば、C2~C6の計算結果にも反映される。1箇所だけの変更で済むので手間が省略できるわけだ

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(その3)無駄なセルの結合

対処方法→セルを結合しない or 書式設定で対応

Excelでは、複数のセルを結合して一つのセルにする「セルの結合」という機能がある。これは「見栄えの良い表を作る」という目的では便利なのだが、「データを処理する」という観点からすると、「百害あって一利なし」な機能だ。

「セルの結合」を行うと、「項目ごとのコピー&ペーストがしづらくなる」「並べ替えができない」などさまざまな不便が生じてしまうのだ。

どうしても「複数のセルの中央に文字を配置したい」という場合は、複数セルを選択し右クリックして「セルの書式設定」を選ぶ。そして「配置」で「横位置」を「選択範囲内で中央」にすれば、セルを結合せずに複数セルの中央に文字を配置できる。

Excelの「セルを結合」機能を使うと見た目はきれいだが、いろいろ不便な点も多い。例えば上の表で、「2021/3/2」のコピー用紙の項目の行だけ選択したいと思っても、セルが結合されているため2行まとめてしか選択できない

またこのような表で、日付で並べ替えを行いたいといった場合も、結合しているとエラーが出てしまう

データの処理という点から考えると、このようにセルの結合は行わず、1セルに1データを入力していく方がはるかに便利だ

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(その4)数値に単位を付けて入力 or 数値と単位を別に入力する

対処方法→「表示形式」を利用する

Excelのセル内の数字に、通貨や長さ、重量などの単位を付けることはよくある。その際、セル内に単位を付けて「12000円」などと入力した場合、そのデータは文字列と見なされてしまいSUM関数で合計を出すなどの計算が行えなくなってしまう。また、単位だけを別セルに分けて記入するなどといったことも非効率だ。

セル内の数字に単位を付けたいからといって「12000円」といった具合に入力すると文字列扱いにあって計算が行えない。単位を別セルで入力するのも同じデータしか入っていない列ができてしまうので無駄だ

この場合はExcelの書式設定機能を使おう。単位を付けたいセルを選択したら、右クリックして「セルの書式設定」を選択する。ここで「表示形式」で「ユーザー定義」を選択し、以下のように設定すればセル内の数字は数値扱いのまま、単位付き表示が可能となる。

セルを選択して右クリックし「セルの書式設定」を選択する。「\12,000」などにしたい場合は、「表示形式」タブの「通貨」で設定すれば良い。また「12,000円」のように末尾に単位を付けたい場合は「ユーザー定義」で「種類」を「#,###円」にする

単位が追加された。「円」が付いているが中身は数値扱いなので、合計など計算も行える

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(番外編)Excelを文書作成や図の作成に使う

▲場合によってはあり

冒頭でも述べたとおり、Excelは非常に高機能なソフトだ。そのため非常に多彩な使い方がある。中にはなんでもかんでもExcelでやってしまうという人も少なくない。例えば、Excelを文書作成ソフトとして使ったり、図版を作成するために利用したりする人もいる。

ただExcelは「表計算」ソフトであり、あくまで表を作って計算を行う、データ処理のためのソフトだ。ワープロ代わりにしたり図を作成したりといった、本来の使い方以外の利用法は「邪道」と見る向きもある。

この手の利用法では、一時期ネットで話題になった「Excel方眼紙」がある。これはExcelの行と列の高さを調節して、各セルが正方形になるよう設定しておいて方眼紙にするというもの。付箋紙のように図やテキストボックスを貼り付けることもできる。

本来の「表計算」という意味ではあまり好ましくはないが、レイアウトはしやすいし、実際に使ってみると結構便利なのは確かだ。1セルに1文字ずつ入力をする原稿用紙のような使い方は避けた方が良いものの、個人用で使うだけや、印刷用文書をスピーディーに作る、ロジックの上下関係・包含関係を整理するといった場面に限定するのであれば利用価値はある。

Excel方眼紙を簡単に作るには「A」の左、「1」の上にある三角形のボタンをクリックして、セルを全選択状態にする

そして行と列のサイズを調整してセルが正方形になるようにする。「高さ:15.00(20ピクセル)」などと出るので、このピクセル数を縦横同じにすれば、正方形のセルができあがる

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他人と共有すること・後から編集することを考えて作成しよう

ここまでいろいろと挙げてきたが、ビジネスで使う場合の基本は「他人と共有する」「後から編集する」ことを前提にワークシートを作成するということだ。

そのために重要なのは、「何も考えずに作り始めない」ことだ。他人や未来の自分が利用し、データの分析などを行うことを考慮すれば、ワークシートの作り方は変わってくる。なんとなくセルを埋めていくのではなく、どういう構成にすれば見やすいか、編集しやすいかを考えたうえで、Excelファイルを作り始めよう。

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