2023年 9月26日公開

【連載終了】仕事効率を上げるパソコン手帖

Wi-Fi 6Eって何? 次世代規格Wi-Fi 7も…最新無線LAN規格を知る

ライター/芝田隆広

  • PC

スマートフォンなどの普及もあり、無線LAN(Wi-Fi)は既に職場でも家庭でも必須のものとなってきた。そしてその技術もどんどん進歩している。そこで今回は、最新の無線LANにおけるキーワードをまとめていく。

1. 最近のWi-Fi製品のトレンド

無線LANはすっかり「あって当たり前」のものとなった。スマートフォンやノートPC、タブレットはもちろんのこと、スマートスピーカー、スマート家電など、あらゆる場面で広く利用されている。それに合わせ、無線LANの技術も年々新しくなってきている。

そこで今回は、無線LANに関する最新の事情をまとめていくわけだが、「Wi-Fi 6まで」については本連載の2019年9月の記事「Wi-Fi 6、メッシュWi-Fi、MU-MIMO……最新無線LAN用語に詳しくなる」でまとめているので、そちらを参照してほしい。

Wi-Fi 6、メッシュWi-Fi、MU-MIMO……最新無線LAN用語に詳しくなる(2019年9月)

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2. 6GHz対応でより快適になった「Wi-Fi 6E」

最近のWi-FiルーターやノートPCなどの新製品を見てると、「Wi-Fi 6E対応」をうたっている製品が増えてきており、気になっているという人も多いだろう。それでは「Wi-Fi 6」と「Wi-Fi 6E」は何が違うのだろうか。

最近は「Wi-Fi 6E」対応をうたう製品を見かけることが増えてきた。こちらはエレコム製ルーター「WRC-XE5400GS-G」のパッケージ

Wi-Fi 6Eの正式な規格名称は、以下の表にも示すとおり「IEEE 802.11ax」。つまりWi-Fi 6と同じだ。規格上の最大通信速度はどちらも約9.6Gbpsとなっている。それでは何が違うのかといえば、Wi-Fi 6Eでは対応する電波の周波数帯に「6GHz」が加わっている点だ。

Wi-Fiの比較

 Wi-Fi 4Wi-Fi 5Wi-Fi 6Wi-Fi 6E
リリース2009年2013年2019年2020年
規格名IEEE 802.11nIEEE 802.11acIEEE 802.11axIEEE 802.11ax
最大通信速度600Mbps6.9Gbps9.6Gbps9.6Gbps
周波数帯2.4GHz/5GHz5GHz2.4GHz/5GHz2.4GHz/5GHz/6GHz

最近ではWi-Fiを利用する機器が増加しているため、従来の2.4GHz/5GHz帯の周波数帯は混雑してしまって、速度が低下するという問題が起きがちだった。そこで高速な通信を必要とする機器用として、新たに6GHz帯を利用することにしたわけだ。

最新スマートフォンやノートPCは6GHz帯で大量のデータを高速にやりとりし、Wi-Fi対応プリンターやスマート家電など通信速度がそこまで重視されない機器は従来の2.4GHz/5GHz帯……というような住み分けを可能にしたのがWi-Fi 6Eだ。例えていえば、自動車の一般道が2.4GHz/5GHz帯、高速道路が6GHz帯というイメージでとらえればいいだろう。

Wi-Fi 6Eを利用するには、ルーター側の対応はもちろんのこと、接続する機器側もWi-Fi 6Eをサポートしている必要がある。最近ではWi-Fi 6E対応PCは徐々に増えつつある。またスマートフォン・タブレットでも、iPhone 14は未対応だが、2022年10月発売の「iPad Pro」はWi-Fi 6E対応済み。Google「Pixel 7」が12月のアップデートでWi-Fi 6Eに対応した。今後も対応機種は増加すると思われるので、新規機種を購入するときはぜひチェックしてみてほしい。

Wi-Fi 6E対応製品は各社から発売中だ。写真はバッファロー製Wi-Fi 6E対応ルーター「WNR-5400EX6/2S」

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3. Wi-Fi 7の登場はいつ? その特徴は?

Wi-Fi 6、Wi-Fi 6Eと来れば、気になるのが次世代の規格「Wi-Fi 7」だ。Wi-Fi 7(規格名IEEE 802.11be)は、これまでのWi-Fi規格よりも大幅な高速化が施される予定となっており、現在は技術面での試験などの調整が行われている段階だ。

Wi-Fi 7の周波数帯はWi-Fi 6Eと同じく2.4GHz/5GHz/6GHzに対応予定。さらに最大通信速度は、Wi-Fi 6Eの9.6Gbpsから一気に5倍近くなる46Gbpsに引き上げられる予定だ。このほかより多くの端末で、より安定した通信が可能となると言われている。

従来よりもかなり強力なWi-Fi 7だが、実際の製品が出始めるのは2024年あたりと予想されており、本格的な普及は2025~2026年あたりからと見られる。まだまだしばらく時間があるので、現在無線LAN環境のアップグレードを考えている人はWi-Fi 6Eなどを考えるのが現実的だろう。

「Wi-Fi 7対応」をうたう製品自体は、未発売ながら既に発表されているものもある。TP-Linkは他社に先駆けてWi-Fi 7対応製品を発表しており、こちらはその中の一つ、Wi-Fi 7ルーターの「Archer BE900」

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4. メッシュは標準規格のEasyMesh対応製品が増加中

Wi-Fiでよく聞く悩みとして「通信がつながりづらい」というものがある。特にテレワーク環境などで、「リビングでは接続できるが自室ではたびたび接続が切れる」などといった現象に遭遇した人も多いだろう。無線LANルーターと距離が離れていたり、家具などの障害物にジャマされたりして電波が弱くなると、接続が不安定になるのだ。

そんな接続の不安定さを解消するため、最近人気を集めているのが「メッシュネットワーク」対応の無線LANルーターだ。メッシュネットワークでは、離れて設置された複数のメッシュ対応機器間で相互に通信をすることで、より幅広い範囲を構築できる。

メッシュ対応の無線LANルーターは、登場初期はメーカー独自規格を採用したものが多かった。現在も、ASUSは「AiMesh」、TP-Linkは「OneMesh」などといった具合に、独自規格のメッシュシステム対応ルーターを販売している。独自規格のメッシュシステムの製品だと、他社のルーターと組み合わせた形でのメッシュネットワークを構築することができない。

そこで業界団体「Wi-Fi Alliance」がメッシュシステムの標準規格として策定したのが「EasyMesh」だ。既にバッファローはメッシュ対応の全製品でEasyMeshを採用。NECのAtermシリーズや、NETGEAR、Linksys、TP-Linkの一部製品でもEasyMeshへの対応が進んできている。

EasyMesh対応製品なら、他社の製品との組み合わせでもメッシュネットワークを構築可能なので、製品選択の幅がより広がる。今後メッシュ環境を構築するためのルーターを選択するのであれば「EasyMesh」対応製品を選ぶのがオススメだ。

メッシュ標準規格の「EasyMesh」対応の製品は増えてきている。写真はバッファロー「WSR-5400AX6S」

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