2021年10月18日公開

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仕事と育児の両立がもっと身近に、当たり前に

著者:岩野 麻子(いわの あさこ)

仕事も育児も大切にしたい人が増えている。
最近、採用時に実感するのは、「仕事」と「家庭生活」をともに大切にしたいという30代、40代の方が男女ともに増えてきているということです。これを企業にとって逆風と捉えず、両立できる環境をいち早く整えることで優秀な人材を採用できるチャンスと捉えてみてはいかがでしょうか。

1. 育児・介護休業法の改正

少子高齢化に伴う人口減少下で、男性の育児休業取得率はわずかに上昇したものの、依然として取得期間は短く、伸び悩んでいます。こういった課題に対し、改正育児・介護休業法が2022年4月1日より施行されることとなりました。

男性の出生時育児休業の新設

今までも法律上認められていた「パパ休暇」に加え、子の出生直後に柔軟に取得できる男性向けの育児休業が新設されました。

 改正後改正前
出生時育児休業の新設従来の「パパ休暇」に加え、原則として休業の2週間前までに申し出ることにより、子の出生後8週間以内に、4週間まで取得が可能。また、分割して2回取得することもできる。1カ月前までの申し出で、原則として子が1歳(最長2歳)になるまで取得可能(いわゆる「パパ休暇」)。
休業期間中の就労労使協定を締結している場合に、労働者と事業主の個別同意により、事前に調整したうえで休業中に就労することも可能。就労を前提としていない。
育児休業給付の取り扱い
(雇用保険法)
育児休業給付の対象となる。休業前から、休業期間中の一部就労を予定している場合には「恒常的・定期的な就労」とされ、育児休業給付の対象外となる。

育児休業を取得しやすい雇用環境整備等の義務付け

企業側には、育児休業を取得しやすい職場の雰囲気づくりにつながるような取り組みなどの環境整備や、労働者への個別の働きかけが義務付けられることとなりました。

 改正後改正前
育児休業しやすい職場環境の整備研修、相談窓口、制度や取得事例の情報提供等のうち、いずれか複数を行う義務規定なし
労働者への個別の働きかけ本人または配偶者の妊娠・出産の申し出をした労働者に対し、育児休業制度を個別に周知し、取得の意向の確認を行う義務個別周知の努力義務のみ

育児休業の分割取得、そのほかの改正点

今回の改正により、育児休業取得が柔軟になった分、実務上は煩雑な対応が必要になる部分もありますので注意しましょう。

 改正後改正前
育児休業の分割取得等育児休業を分割して2回まで取得可能とする。また、保育所待機等の理由で休業を延長する場合について、開始日を柔軟化し、各期間途中でも夫婦交代を可能(途中から取得可能)とする。原則分割不可。ただし、パパ休暇(子の出生後8週間以内に父親が育休取得した場合には再度取得可)あり。
休業延長時は、各期間(1歳~1歳半、1歳半~2歳)の初日しか夫婦交代できない。
育児休業取得状況の
公表の義務付け
従業員1,000人超の企業は、育児休業取得状況の公表を義務化。「プラチナくるみん」認定企業のみ公表
有期雇用労働者の
育児休業取得要件の緩和
(1)継続雇用期間が1年以上の要件は廃止(ただし、労使協定の締結で、入社後1年未満の者は引き続き除外可能)。(2)は変更なし。以下の要件あり。
(1)継続雇用期間が1年以上
(2)子が1歳6カ月までの間に契約が満了することが明らかでない
保険料免除の取り扱い
(健康保険法・厚生年金保険法
2022年10月1日~)
従来の要件に加え、月内に2週間以上の育児休業を取得した場合にも当該月の保険料を免除する。
(賞与に係る保険料については1月を超える育児休業を取得している場合に限り、免除の対象とする)
保険料負担が免除される期間は、育児休業等開始月から終了予定日の翌日の属する月の前月(育児休業終了日が月の末日の場合は育児休業終了月)まで。

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2. 仕事のキャリアを継続しながら、子供の成長を身近で感じることも可能に

育児の負担をどちらかの親が一方的に担うのではなく、時には父親、時には母親と夫婦が協力し合って育児参加できる環境がもっと身近になると良いなと思います。特に今後の男性の育児休業については、企業側の環境整備をどれだけ推進できるかにより、取得率や取得期間は大きく変わってくるでしょう。テレワークの推進なども一助となり、仕事のキャリアを継続しながらも育児参加できる環境が整うと良いですね。

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。

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