1. 勤怠を正しく把握する
正しい給与計算を行うための準備として欠かせないのが、正しい勤怠管理です。作業着に着替える時間や朝礼など、作業の準備行為や後片付けの時間、かかってくるかもしれない電話や来客を待つ手待ち時間は、原則として勤務時間に含まれます。勤務時間とそうでない時間をきちんと切り分けて管理することが、正しい勤怠管理を行う第一歩になります。
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2. 労働時間の端数処理を正しく行う
時間外労働、休日労働、および深夜業のおのおのの労働時間管理は1分単位が原則です。とはいえ、1分単位の労働時間管理は困難であるため、「労働者の不利にならないような計算を行う」ことを前提に事務簡便のため切り捨て、切り上げの処理が認められているケースもあります。
| 1日の労働時間 | 1カ月の労働時間(累計) |
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原則 | 1分単位で管理 | 1分単位で管理 |
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例外 | 5分未満、10分未満、15分未満などを切り上げて5分、10分、15分などとすることは可能。ただし、満たないものを切り捨てて計算することはできない。 | 便宜上、1時間未満の端数がある場合、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を切り上げることは可能(通達による。1988年3月14日 基発150)。 ただし、5分単位、10分単位、15分単位で端数処理を行う場合は、通達にその取り扱いが示されていないため、おのおのの単位未満の端数を切り上げて計算することが望ましい。 |
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3. 減給の制裁は就業規則に定める
労働時間の端数処理の原則は、個人的な事情で遅刻、早退する場合にも適用されます。そのため、例えば遅刻した時間は7分であるのに対して、30分の労働時間を減らしその分の賃金カットを行っている場合には注意が必要です。なお、このような場合において、就業規則や賃金規定に「減給の制裁」の記載がある場合は違法ではありません。
- 原則:遅刻、早退などは、1分単位で控除
- 例外:平均賃金の1日分の半額、月給などの10分の1を超えない範囲で、就業規則に定める懲戒・制裁処分の一つである「減給の制裁」として控除するのであれば、実際の労働の提供がなかった限度を超える賃金控除も違法ではない。
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4. タイムカード打刻のルールも必要
タイムカードや出勤簿は、賃金計算のためだけではなく、いつ職場に到着し、いつ職場を出たのかを管理する、いわば労働安全配慮のためのツールでもあります。そのため、打刻した時刻を常にそのまま賃金計算に反映させなければならないわけではありません。とはいえ、タイムカードの打刻と実際の始業終業時刻に大きな乖離(かいり)があるのは望ましくないため、会社が早朝出勤や残業の指示をしていない場合、タイムカードは勤務開始の直前や業務終了後、速やかに打刻する、といったルールもあると良いでしょう。
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5. 週休1日の週の取り扱いに注意する
1週間の休みが1日しかない場合、その週の最後の出勤日に1週間の所定労働時間の累計が既に40時間以上となる場合は、その超えた部分について割増賃金の支払いが必要となります。労働基準法で定める法定労働時間は、1日8時間、1週間で40時間であり、これを超えて働かせる場合には、法定時間外労働の割増賃金(1.25倍)が必要となります。具体的には、以下のとおりです。
1日の所定労働時間が8時間の場合
8時間×週6日勤務=48時間となり、週6日働く場合は週の法定労働時間を超えるため、その週の最後の出勤日に働いた分は全て法定時間外労働の扱いとなり、割増賃金の支払いが必要です。
1日の所定労働時間が6.5時間の場合
6.5時間×週6日勤務=39時間 となり、週6日働く場合であっても週の法定労働時間を超えないため、割増賃金の支払いは不要です。
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6. 間違った残業代計算、ちりも積もれば……になる前に
労働基準法の改正で、2020年4月以降に支払われた賃金債権の消滅時効は、2年から3年に延長されました。そのため、万が一未払い残業代があった場合のリスクは以前に比べてかなり上がったといえます。これを機に、自社の残業代計算が間違っていないか、あらためて確認してみてはいかがでしょうか。
- *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。
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