2022年 4月27日公開

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初めての総務【第11回】庶務業務とは

執筆:マネジメントリーダーWEB編集部

庶務業務は縁の下の力持ち、企業活動の潤滑油として機能する。
庶務業務は総務の原型となる仕事です。全社の業務を円滑に運営するために必要な事務作業、間接業務全般を行います。近年は、業務効率向上のカギとなる業務として注目を集めています。

1. 庶務業務ってどんな業務?

多くの会社や部署には、庶務を行う担当者が存在しています。しかし、実際にどんな業務を行っているのかを理解している人は少ないのではないでしょうか。その理由は、庶務業務の業務が多岐に及んでいるからです。もともと、総務も経理や人事を含めて会社の主たる事業以外の総て(すべて:* 常用外)の業務を行う部署として誕生しました。庶務の「庶」も、「いろいろ」という意味です。つまり、総務も庶務も事業活動で発生する、各種書類・伝票の処理から備品管理、来客対応などのさまざまなサポート業務を行っています。

一般的に総務は会社全体を総合的にサポートする部署として存在し、庶務は各部署単位でサポートする総務的スキルを持った担当者として配置されています(総務課=庶務課としている企業もあります)。会社の業態や、部署の特性によって派生する間接業務は異なりますが、庶務業務の具体的な内容は以下のようになります。

  • ドキュメントの作成
    事業に必要なデータの入力や申請書などの書類、社内外に提出する資料を作成します。作成だけでなく必要な部数を出力し、装丁も行う場合もあります。
  • 各種伝票処理
    業務で発生する請求書や領収書などの伝票処理や総務や経理・人事と連動して、出退勤の管理や休暇申請、交通費の申請・仮払いなどの小口経費処理などを行います。
  • 文書管理
    契約書の管理や各種資料の仕分け、保存(ファイリング)を行います。文書のデジタル化により、サーバーに保管している資料の整理・整頓を行う場合もあります。
  • 受付対応
    来客の対応、電話や問い合わせなどのメール対応、郵便物の仕分けなど、外部との一次対応を行います。
  • 備品管理
    複合機などの共用設備や用紙・トナーなどの備品を管理します。コピー用紙の欠品などは業務に支障を及ぼす場合もありますので、在庫管理も重要な要素となります。
  • 施設管理
    会議室などの共用施設の利用申し込みや部署フロアの清掃や整頓を行います。
  • その他
    出張などの交通・宿泊手配、あいさつ時の手土産購入などを代行する場合もあります。

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2. 庶務業務は雑務ではない

上記のように、庶務業務は多岐にわたりますが庶務=雑務ではありません。雑務は、売り上げ(=本来業務)に直接関係のない細かな業務を意味するといわれています。例えば、オフィスのゴミ処理や備品の補充などです。しかし、ゴミ屋敷化したオフィスや用紙切れの複合機で円滑な業務を行うことは困難です。

また、庶務業務を行う人がいない場合、従業員が自身で伝票処理や文書作成、小口現金の精算処理、備品の管理などを行うこととなります。そのため、本来業務+庶務業務となり残業・休日出勤や業務効率の低下を招く可能性が生じます。いわゆるブラック企業化するリスクが生じるのです。

ゴミ処理や整理整頓は「環境整備」、コピー用紙の補充は「備品管理」というように、どんな仕事でも雑務とするのではなく、業務目的と役割を明確にすることが大切です。庶務業務は定義が曖昧な業務が多いため、それぞれの業務を分析して目的と効果を視覚化しましょう。

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3. 庶務業務に必要なスキルとは

このように多岐かつ不定形な業務を担うのが庶務ですが、庶務業務を行うためにはどんなスキルが必要なのでしょうか。

  • コミュニケーションスキル
    庶務は事務として黙々とデスクワークをするイメージを持つ方も多いかもしれません。しかし、来客の対応や電話・メールの対応、各部署との折衝などコミュニケーションが必要なシーンは多いのです。ビジネスマナーや言葉遣いをしっかりと身につけましょう。
  • 観察力・臨機応変スキル
    会社や部署の状況を観察し、何が必要かを先んじて感じるスキルを持つ庶務担当者がいれば、業績が拡大する可能性があります。いわゆる「気働き」や「手際」の良い庶務担当者です。言われてから動くのではなく、先読みのできる人だとも言えます。これができれば会社や部署の業務がスムーズに進行します。また、固定概念にとらわれることなく臨機応変に対応していくことも必要です。顧客の一次対応など庶務業務は企業活動の基本につながる業務が多いため、ちょっとした改善や工夫が大きな効果をもたらすこともあります。
  • コンピューターリテラシー
    文書や資料の作成、伝票処理など、庶務業務の多くはPCとネットワークを活用する業務となっています。
    企業や部署の庶務を行う上では、基本的なPCスキルは欠かせません。その上でコミュニケーションスキルと臨機応変な対応力があれば万全です。テレワークなどの多様な働き方が浸透するにつれて、リアルなサポートからバーチャル環境でのサポート業務が増えてきます。また、複合機の管理やシステム不具合発生時に初期対応を行うこともありますので、PCとネットワークの基本的なスキルは習得しておきましょう。

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4. 庶務業務のこれから

企業活動を裏方として支える庶務業務は、円滑に業務活動を行う上で必要不可欠な業務です。そして、今、話題のDX化(デジタルトランスフォーメーション化)を成功させるポイントは庶務業務といわれています。煩雑な伝票処理や文書の作成・管理は企業全体に共通する業務です。庶務業務をデジタル化することで業務処理のスピードがアップし、業務効率・生産性が向上する可能性が大きいのです。

まずは、庶務業務をデジタル化することで高い生産性を実現する企業を目指してみてはいかがでしょうか。

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5. 総務でできる業務効率の向上方法

総務部の複合機活用方法

総務の業務は企業によってさまざまですが、契約関連や、福利厚生の対応、備品・消耗品の管理など、多岐にわたることがほとんどです。さまざまな書類を扱う中で、印刷物はどのように扱うのが業務効率化につながるのか、総務に適した管理方法や実現のポイントなどをご紹介します。

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。

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