1. 人はなぜストレスを感じるのか?
「ストレス」は本来機械工学の用語で、外部から物体に圧力を加えた時に、物体内に生じるひずみ、ゆがみのことです。これが医学用語としても使われるようになり、人間が外部から刺激を受けた時に生じる緊張状態のことを表すようになりました。
外部からの刺激はさまざまですが、以下の三つに分類することができます。
- 環境的要因
天候や騒音、におい、汚染、有害物質などの生活環境によるもの - 身体的要因
病気、疲労、睡眠不足、アレルギーなどの体調に関するもの - 社会的要因
会社や取引先、家族・親戚・友人などの人間関係、経済状況など社会的に発生するもの。最近多くなっているのは、インターネットなどの情報過多(情報による一喜一憂などの刺激)によるストレスです。
人間は生きていく上で外部との接触を避けることはできないので、常に何らかのストレスを抱えていることになります。特に就職や進学、結婚など生活環境や人間関係が大きく変化する時は、ストレスが蓄積される大きな原因となりますので注意が必要です。
ストレスが限界に達した時のサイン
では、ストレスがたまるとどのような症状が出るのでしょうか。以下に代表的な症状を列挙しました。このような症状が出てきたら要注意です。
身体に表れる主な症状
- 痛み:頭痛、胃痛・腹痛、腰痛など
- 睡眠:寝つきが悪い、短時間で目が覚める
- 食欲:食欲がなくなる、絶えず空腹感がある
- 排せつ:下痢、便秘
- その他:めまい、耳鳴り
……など。
こころに表れる主な症状
- 不安や極度の緊張、イライラして怒りっぽくなる
- 情緒不安定
- 気分の落ち込み、やる気の喪失
- 人付き合いを避ける
……など
ストレスが原因となって罹患(りかん)する病気はメンタル系の疾患だけでなく、がんや心臓などの循環器、胃潰瘍などの消化器・内臓疾患など、生活習慣病といわれる病気など、ありとあらゆる病気があります。つまりストレスは万病のもととなっているのです。早めにストレスサインに気が付いて、休息を取ったり通院したりしてこころと身体のケアをするように心がけましょう。
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2. ストレスをコントロールする三つの方法
ストレスはさまざまな病気の原因となっていますが、ストレスがもたらす緊張や不安を解消するために努力する(頑張る)源となることもあります。例えば、試験勉強など「落第したらマズイ」とプレッシャーがかかることで必死に勉強することなどです。人間は社会生活をする上で絶えずストレスにさらされていますので、ストレスを適切にコントロールしていくことが必要なのです。企業で活用できる主なストレスコントロール方法をご紹介します。
ストレスチェック制度の有効活用
労働安全衛生法により従業員が50人以上いる事業所では、年1回全ての従業員に対してストレスチェックを行うことが義務付けられています。この制度によって高ストレスと判断された場合は、従業員の希望を確認した上で、産業医、専門医などの医師による面接指導を行い、必要に応じて業務内容の転換、労働時間の短縮など適切な就業措置を講じなければなりません。
これは、あくまでも法的措置による施策ですが、企業によっては事業所の規模や人数にとらわれず、ストレスチェックの実施も年1回ではなく、年4回などの頻度で行い、早めに変化に気づき対処できるように取り組む企業もあります。義務だからとネガティブに捉えるのではなく、積極的に活用して従業員を守ることをお勧めします。
アンガーマネジメント
ストレスの大きな原因はイライラそして怒りです。アンガーマネジメントは怒りのコントロールとも呼ばれています。怒りはマイナス感情を他人にぶつけることとなります。そのため、自分自身だけでなく相手にも高いストレスを与えることとなります。
職場において怒りの感情を爆発させることは、人間関係の悪化を招きハラスメントにつながる行為となります。
特に注意が必要なのは上司が部下を叱る時です。上司は教育のつもりで怒鳴っていても、部下が本質的に理解しなければ単なるどう喝にすぎません。「何が悪くてどうすれば良くなるのか」ということを理解させるためには、部下の価値観や特性を見極めた上で改善点を伝える必要があります。これを行うために、怒りの感情をコントロールする方法がアンガーマネジメントです。
アンガーマネジメントで有名なのが「6秒ルール」です。怒りが込みあげてきたら6秒待って怒りを静めるのです。単に6秒カウントするだけでなく、深呼吸しながら数える、水を飲む、その場から移動する(休憩室やトイレに行く)、時間など他のことに意識を向ける、好きな言葉や「落ち着こう!」などを心の中で繰り返してみてください。怒りの感情をコントロールして冷静・理性的に対処することで、自身のストレスも減少し相手にストレスを与えることもなくなります。この方法は、日常生活の中で繰り返して実践することで身に付くといわれていますので試してみてはいかがでしょうか。
マインドフルネス
ストレスを軽減する方法として導入する企業が増えているのがマインドフルネスです。マインドフルネスはこころのエクササイズと呼ばれ、寺で行われる「座禅」や女性に人気の「ヨガ」に近い瞑想(めいそう)法です。瞑想と聞くと宗教的なイメージを抱く方もいると思いますが、宗教とは関係なく、ありのままの自分の状態に気づくことが第一となります。
マインドフルネスは、静かな環境で行うと良いとされていますが、慣れてくると通勤電車の中など、どんな場所でもできるようになります。実践効果として、ストレス軽減だけでなく集中力を高める効用があるといわれています。そのため、新入社員研修のプログラムとして採用している企業もあります。
マインドフルネスの瞑想法(例)
- 姿勢を正して座る
背筋を伸ばして座り、足を組んで(あぐら、正座)視線を下に落とす。手を合わせて合掌のポーズでもOK。 - 呼吸を整える
呼吸を整え、頭の中に自然に浮かぶ思いとこうしなければならないという作為的な考えを区別する。 - 呼吸への集中
浮かんでくる思いは、判断など深く追うことをせず呼吸に集中することを繰り返す。
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3. ストレスフリーな企業風土作りと総務部門の役割
ストレスの少ない企業風土を作ることで、社員が健康でいきいきと活躍できる企業となります。このような企業を作るためのポイントは「経営者」です。
ストレスを感じない働き方の第一の要因は「夢の実現」です。夢や目的に向かって突き進んでいる時はストレスを負担と感じません。例えば、スポーツでも「金メダルを取る!」といった夢や目標があれば、高い負荷の掛かる練習も「金メダルを取るために必要なステップ」と思うようになります。経営者の夢や目的を従業員と共有することがストレスの少ない企業風土作りの土台となります。
その上で、
- 隠しごとのない、コンプライアンスが徹底した職場
隠ぺい行為は正常なコミュニケーションを阻害するため、人間関係の劣化を招き、結果として休職者・離職者の増加の可能性が高まります。 - 相手を思いやり助け合う職場
感情ではなく理性で考えることで、何が必要なのか、どうすれば良いのかを判断し、お互いに補完する関係になることが理想的な環境です。 - プライベートの尊重、ワークライフバランスの実践
プライベートの充実は仕事にも良い影響を与えます。オンとオフの切り替えがスムーズにできるように就労環境の充実を促進しましょう。
働き方の多様化が進むと、さまざまな価値観を持った人々が同じフィールドで活躍するようになります。共通の目的に向かって助け合う企業風土は生産効率の向上を実現します。このカギを握るのは企業の総務部門です。経営者の意向をくみ取り、従業員に周知を図ります。同時にストレス軽減のための施策を実践し快適な就労環境を維持・メンテナンスを行います。
ストレス軽減の第一歩は「自分と他人の価値観は異なることを肝に銘じる」です。異なる価値観を持った人々が集う企業において経営目標など、共通の価値観を作ることが、これからの総務部門の大きな役割となるのでしょうか。
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4. 従業員の健康を守り、生産性向上の実現をサポート
健康経営・健康管理支援 Universal 勤次郎 ヘルス×ライフ
ストレス・健康リスクの要因に応じた労務環境の改善・ワークライフバランスを推進し、経営者と社員が「健康」で働ける職場作り。それが「生産性向上=業績向上」の柱となります。「Universal 勤次郎 ヘルス×ライフ」は、心身・働き方・生活データを一元化・分析し、的確な健康増進施策が可能になります。健康経営の取り組み方針を明確化できるため、損失コストの削減から「生産性向上・業績向上」へと導きます。
健康経営・健康管理支援 Universal 勤次郎 ヘルス×ライフリモート支援ツール
- *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。
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