2022年10月26日公開

【連載終了】読んで役立つ記事・コラム

働き方の多様化に対応した健康管理とは

執筆:マネジメントリーダーWEB編集部

従業員が健康で元気に活躍することは企業存続のための基本です。働き方の多様化や感染症のまん延など疾病リスクが高まる中、企業による従業員向け健康管理の重要性が日々高まっています。

1. 健康管理は企業・組織の義務

秋は1年の中でも過ごしやすい季節といわれ、スポーツイベントも数多く開催されています。そのためか、毎年9月は「健康増進普及月間」(厚生労働省)、10月は「健康強調月間」(健康保険組合連合会)など、健康意識啓発のためのさまざまな取り組みがなされています。

企業にとって従業員が健康で元気に働くことは、高品質の製品・サービスの提供や顧客満足度を高めることにつながり事業発展の礎ともなります。裏返すと、疾病は従業員のリスクとなるだけでなく、企業にとっても戦力損失のリスクとなるのです。そのため労働安全衛生法では、医師による健康診断の実施やストレスチェックなど、企業が従業員の心身の健康を守ることを義務(努力義務含む)としています。また、労働契約法でも企業は従業員の生命や身体の安全を確保するように配慮することを定めた安全配慮義務が規定されています。

安全配慮義務のポイント

対象:同じ環境で働く全ての従業員(雇用形態に関わらない、海外勤務者も対象。出向・派遣など、直接雇用契約を締結していない場合も含む)

安全配慮義務の概要

  1. 労働環境
    • 労働時間の管理徹底(時間外労働の抑制管理)
    • 設備・環境の安全性確保(安全装置の設置、事故の予防など)
    • ハラスメント防止(ルール整備・教育など)
    • コミュニケーション環境の整備
  2. 健康管理
    • 衛生管理担当者の配置(保健師、産業医などの健康管理専門職の配置など)
    • 健康診断の実施
    • メンタルヘルス対策(ストレスチェック、カウンセリング、従業員教育、情報提供など)

安全配慮義務で規定されていることは、健康管理の最低限の内容と理解してください。環境の変化とともに常に新たな健康リスクが発生しています。従業員に健康被害が発生しないように、最新情報の収集と罹患(りかん)回避・防止対策が整えられるようにリスクマネジメントを徹底することが重要です。

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2. 環境の変化に対応した健康管理法とは

近年は、気候変動による夏の猛暑や感染症の流行など生活環境の変化が大きくなっています。また働き方の多様化など就労環境の変化もあります。環境の変化はストレスや、それにともなう疲労により体調を崩す可能性が高まります。このような健康リスクから従業員を守るためにはどうすれば良いのでしょうか。

健康管理の基本は、働きやすい環境の確立です。

  1. 労務管理
    過度な残業や休日出勤による過重労働とならないように労働時間、休日、人員配置、業務量を適正に保ちます。
  2. 健康管理
    健康診断やストレスチェックの結果を踏まえて、疾病の把握、予兆の発見、予防措置を産業医などの専門家を交えて対処します。場合によっては担当業務の変更や勤務時間の短縮などの労働軽減措置を行います。
  3. 看護・治療
    病気やけがをした際、早期の治癒を図るために、適切なサポートを行います。特にメンタル系疾患では、周囲が病気に気づかない場合や対処法が分からないことも多いので、部署や関連する担当者への適切な周知が必要になる場合もあります。カウンセリングはじめ継続したサポート体制を確立しましょう。

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3. 多様な働き方と健康管理

テレワークなどの多様な働き方が広がっています。業務効率の向上やワークライフバランスの実現など多くのメリットがあるテレワークですが、健康管理では注意が必要なポイントがあります。例えば、オフィスに出勤していれば「顔色が悪い」「元気がない」など、上司や同僚が直接目視で体調変化に気づくこともありますが、在宅勤務の場合は本人が申告しないと気づかない可能性があります。また、残業や休日出勤の管理も同様です。注意を促す上司が直接指示・管理するのが難しい環境となります。そのため、従業員自身の判断で残業してしまうなど、隠れ残業が増えるリスクもあります。テレワークは通勤の疲労をなくす有効な手段なのですが、通勤による日常との切り替えがなくなるという弊害もあります。これにより仕事と生活の境界が曖昧になり、過重労働やストレス発生の原因になる場合もありますので注意が必要です。

テレワーク時に発生する労務管理上の課題は、直接把握することが難しいため潜在化する可能性があります。そのため、気づいた時には従業員の疾病増加、それにともなう人員不足や生産効率の低下など大きなリスクとなることもあるのです。

これを回避するためにはどうすれば良いのでしょうか。この解決策のポイントは、勤務実態の可視化と円滑なコミュニケーションの実施です。PCの稼働状況を把握して出退勤を遠隔管理するシステムも増えてきました。客観的に労務状況を管理するシステムを導入するなど、テレワークなどの遠隔勤務状況をリアルに把握することが重要です。同時に、リモート/対面のミーティングをバランスよく定期的に実施するなど、適正なコミュニケーションを取るためのルールを規定し実践しましょう。メンタルケアを含む体調管理をきめ細かく行うことで、病気の予防と疾病の早期発見/早期回復が可能となります。

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4. 福利厚生による健康管理

テレワークで課題となっているもう一つの健康課題は「運動不足」です。大都市圏における満員電車による通勤は、疲労とストレスの要因となる大きな問題でした。テレワークはそれがなくなるため、従業員からは喜ばれる施策となっています。しかし、一方で運動不足から生じる「テレワーク太り」も問題となっています。出社する場合は、通勤時だけでなく打ち合わせに行ったり、食事に出掛けたりするなどで意外と歩いています。これは無意識に軽い運動をしていることにもなっているのです。

テレワークでは、自宅内だけの動きとなる場合が多いので、どうしても運動不足になってしまいます。ここで気を付けたいのが「生活習慣病」のリスクです。これを避けるために注目されているのが、スマートフォンアプリを利用した「歩数ランキング」です。ジョギングや散歩の機会を作るために、歩数を計測してランキング化することです。ランキングすることで運動量が自他ともに一目瞭然となります。もちろん、体調不調時や深夜などの無理を避けることや過度な歩き過ぎを自重することが前提です。また、動画配信などで定時に簡易なストレッチのビデオを流すなど、椅子に座りっぱなしとならないようにする工夫をしている企業もあります。

これまでは、社員旅行や忘年会といった福利厚生策が行われてきましたが、みんなのアイデアと工夫で健康管理の機運を高め、効果がでる施策を検討してみてはいかがでしょうか。

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5. メンタルヘルス対策・健康管理をワンストップで実現

健康管理の実務に全面対応 ストレスチェック実務安心パック

ストレスチェックの実施をはじめ、企業に求められる総合的なメンタルヘルス対策・健康管理の実務をワンストップでカバーするオールインワンパッケージです。労働諸法令と実務の専門家である社会保険労務士の目線で、ストレスチェックの実務について、法令に完全に準拠するよう必要な業務を洗い出してマニュアル化。すぐに自社の業務で使える規定・書式をパッケージ化しました。従業員がいきいきと活躍できる環境を作るため、トータルにサポートします。

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  • *本記事中に記載の肩書や数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容などは公開時点のものです。

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