2022年11月 9日公開

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副業から複業へ!

執筆:マネジメントリーダーWEB編集部

副業を認める企業が増え、副業を収入補塡(ほてん)だけでなく自己実現のためのステップとして活用することが可能になってきました。副業のメリットと課題について解説します。

1. 働き方改革と副業

かつて副業は、本来の業務に支障が生じる、企業秘密の漏えいリスクがあるなどの理由で禁止している企業が多くありました。しかし、少子高齢化による深刻な労働力不足やIT技術の進展などにより働き方改革が提唱され、副業に対して関心が高まっています。

副業を希望する従業員の数は年々増える傾向にあります。2020年以降は、コロナ禍によるテレワークの浸透や不況・物価高騰などの要因で副業を希望する働き手がさらに増加すると思われます。

  • * 出典:総務省「就業構造基本調査」2017年版を元に作成

企業においても人材不足が緩和されるメリットだけでなく、従業員の離職防止にも効果があるなど、副業を行う働き手の活用を図るために副業を認める企業が増加傾向にあります。働き方の多様化を念頭に、企業間の副業をイメージしたのが下図です。企業は不足する人員とスキルを獲得し、従業員は現職に在籍しながら興味のある仕事をして収入を増やすという相乗効果が期待できます。また、企業間だけでなく平日は会社で働き、週末は飲食店や農業に従事することも可能です。

さらに、副業のメリットを雇い入れる企業側と働き手である従業員側それぞれの視点でまとめると、以下のようになります。

副業:企業(経営者)のメリット

  1. 労働者が社内では得られない知識・スキルを獲得することができる。
  2. 労働者の自律性・自主性を促すことができる。
  3. 優秀な人材の獲得・流出の防止ができ、競争力が向上する。
  4. 労働者が社外から新たな知識・情報や人脈を入れることで、事業機会の拡大につながる。

副業:従業員(働き手)のメリット

  1. 収入を増やすことで、生活の質を向上させたり、将来の活動資金を蓄えたりすることができる。
  2. 現職に在籍しながら興味のある仕事に従事できる。
  3. スキルや経験の幅を広げるなど自主的なキャリア形成が可能となる。
  4. 本業を継続しながら、起業や転職のトライアルや準備ができる。

一方、本業+副業となるため過重労働や健康など、従業員自身が気をつけなければならない課題があります。企業も副業を行う従業員の労務管理や健康管理をどのように行うか、副業先に人材が流出しないか、情報やノウハウの流出リスクなど課題や不安もあります。

参考

厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン 2022年改訂」(厚生労働省のWebサイト<PDF>が開きます)

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2. 副業の管理

前述している通り、副業の大きなリスクは過重労働です。複数の事業場で働くことは、それだけ勤務時間が長くなる可能性が高くなります。それぞれの事業場で就労状況を管理することが必要となります。厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」では、以下の手順が推奨されています。

1. 副業のルール化=就業規則の改定
副業申請の際に、副業の就労状況報告など勤務実態が把握できるようにルールを定めます。

2. 労働時間の通算
副業の場合は、労働時間は通算となります。副業・兼業の内容に基づき、自社の労働時間と副業・兼業先の労働時間を通算し、時間外労働時間を確認します。労働時間の管理モデル例は以下のようになります。

先に労務契約を締結した企業をA社、後に労務契約を締結した企業をB社とした場合、後のB社が時間外賃金を支払う形となります。両社の労働通算時間が、時間外労働の上限規制(単月100時間未満、複数月平均80時間以内)の範囲内で両社それぞれの勤務時間を設定します。いずれにしても、従業員の健康を第一に考えて両者で勤務時間を考慮することが望まれます。

3. 副業の健康管理
副業が企業の指示で行われる場合は、企業が副業先と協議の上従業員の健康管理を行います。従業員の意思で副業を行う場合は、従業員の自己管理が基本となります。ただし、従業員が健康を損なうことは両社にとって支障をきたす事態となりますので、そのような事態を避けるために、従業員の自己申告だけでなく企業間で労務管理の情報の提供を行うなどの取り決めを行いましょう。

参考

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3. 副業から複業へ

副業は収入を補填するために行われていましたが、働き方の多様化によって単に収入を得るだけでなく、将来に備えてのチャレンジする機会として行動する人が増えています。

これまでは、やりたい仕事が自社でできない場合は転職するのが一般的でした。これからは勤務先に軸足を置きながら自分のやりたい仕事にチャレンジすることも可能となります。これからは、副業という単なるサイドビジネスではなく、自分の夢を実現するために複数の仕事を行う「複業」を実施して充実したライフスタイルを実現してみてはいかがでしょうか。

企業もこのようなチャレンジを応援することで、自社に軸足を置いてスキルアップする自立した従業員を育成しましょう。これが人財となり他社をリードする活気ある企業を実現します。副業=多様な働き方の一例と位置付けて、対処方法を検討していきましょう。

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4. 多様な働き方に対応する勤怠管理システム

Universal 勤次郎

働き方改革にともなってワークスタイルが多様化、従来の勤怠管理の方法では正確に把握することが難しくなっています。「Universal 勤次郎」は、労務管理と健康管理とをシームレスにつなぐオールインワンソリューションです。打刻方法は運用、ロケーションに合わせて自由な組み合わせが可能。さらに最大約4万6,000通りのシフトパターン登録が可能で、シフト勤務をはじめ、時差出勤やフレックスにも対応します。働き方に「見える化」をもたらすことで、労働生産性向上をサポートします。

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  • * 本記事中に記載の肩書や数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容などは公開時点のものです。

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