2023年10月25日公開

【連載終了】読んで役立つ記事・コラム

DX時代に効果的な企業広報(PR)とは

執筆:マネジメントリーダーWEB編集部

企業広報は、自社の理念や企業活動を広く知らせ、人々と信頼関係を築くことを目的として行われます。情報が氾濫するDX時代に確実に情報が伝わるPR方法をご紹介します。

1. 企業広報(PR)の基本

広報はPR=パブリック・リレーションズ(Public Relations)を和訳した言葉です。文字通り、企業活動を『広く報(しら)せ』て、社会と信頼関係を築いていくための業務となります。信頼関係を構築するためには、自社の経営理念や価値観、事業活動を幅広く、より多くの人々に正しく知ってもらうことが必要となります。

しかし、ホームページなどで自社の情報発信を行っても一部の関係者しか閲覧していない場合も多く、世間一般の認知度を向上させるためにはより積極的な広報活動を行う必要があります。そして、最も効果的に情報が広がるのはテレビ・新聞・雑誌などのマスメディアに話題として取り上げられることです。

そのために最初に行うことは、自社が発信する情報を簡潔に書面にまとめて、ニュースリリースとしてテレビ・新聞・雑誌などのメディア各社に送付することです。その結果、メディアにニュースリリースが取り上げられて取材を受ける場合は、効果的に紹介されるようにメディアと社内担当者をコーディネートし、取材内容に間違いがないか、自社のイメージ(ロゴ、コーポレートカラー)が正しく伝えられているかなどを確認します。取材を受けた内容が放映・掲載された場合はその効果を検証します。以上が、メディア向け企業広報の大まかな流れになります。
メディアで紹介されるために、ニュースリリースの書き方や情報発信のタイミングを工夫したり、ニュースバリューを高めるために○○大賞というようなイベントを実施したりする場合もあります。

企業活動が多くの人々に認知されることは、自社の売り上げ向上に貢献するだけでなく、人材採用や地域貢献、従業員のモチベーション向上など、企業が成長・発展するための大きな原動力となります。

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2. 広報と広告の違い

マスメディアへの掲載は、ニュースや記事などの情報として紹介される場合(無償)と、コマーシャルやチラシなどの宣伝として行う場合(有償)に大別されます。

広報業務

一般的に広報はニュースや記事としてマスメディアに取り上げてもらうことを目的として活動し、広告は自社商品の販売促進を目的として時間(テレビの場合)やスペース(新聞・雑誌・Webなどの場合)を買い取って掲載します。

広報の場合、情報を選定・発信するのはテレビ局・新聞社・雑誌社などのメディア(媒体社)側となります。そのため、企業は情報として扱ってもらうために、伝えたい情報内容を簡潔にニュースリリースとしてまとめ、それをメディアに送ります。メディアへの送付は、直接媒体社へ送る場合やPR会社に委託する場合などがありますが、最も多いと思われるケースは、PR会社のリリース掲載サイトの利用です。ここでは毎日さまざまな情報が掲載され、メディアの担当者は、その中から必要なコンテンツを選択して取材・掲載します。

毎日膨大なニュースリリースが送られてきますので、ニュースや記事として取り上げられるのは、社会的なインパクト(影響)の大きなものや、メディアがそれぞれの関心に沿ったものになる傾向が高く、実際に掲載される数はかなり限定されます。近年はニュースリリースを配信するPR会社のWebサイトに、送付したニュースリリースが掲載され、それをメディアの担当者が閲覧する形式が主流となっています。ここで注意したいのは、PR会社にニュースリリースが掲載されるのは、あくまでもスタート地点に立ったにすぎないということです。実際にメディアで紹介されることがゴールですので、PR会社のWebサイト掲載だけで安心しないようにしましょう。

前述しているとおり、メディアに取り上げられるハードルはかなり高いものがあります。そのため、メディアとの結びつきが強く、掲載ノウハウのあるPR会社を利用して掲載確率を高める方法もあります。この場合は、委託費用を含めて有償となりますが、一般的に広告宣伝費よりは低い予算で利用可能となる場合が多いようです。

広告宣伝業務

広告の場合は、企業が情報発信の主体となり、メディアの広告枠を買い取って自社の情報発信を行います。テレビ・新聞などのマスメディアの場合は、広告会社を通じて媒体枠を購入する形になります。通常は、告知したい製品・サービスのターゲットが興味・関心の高いメディアや時間帯・広告枠を購入し、広告制作と合わせて実施します。自社のアピールが自由にできますが、広告枠の購入には多額の費用が掛かります。そのため、予算化に当たっては、製品・サービスの売り上げ目標に従って算出し、広告出稿と売り上げ効果の検証も厳密に行われます。

広報と広告は、自社情報の発信という点は同じですが、広報の場合はメディアが主体となり、広告の場合は企業が主体となって情報発信が行われる点、そして掛かる費用も大きく異なります。また、インターネットが普及するにつれて、広報と広告の領域にとらわれない複合的な情報発信が行われる傾向にあります。

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3. SNS時代の広報業務

これまで、従来のマスメディア掲載を中心とした広報業務を紹介してきましたが、近年の主流メディアはSNS(ソーシャルネットワークサービス)に移行しつつあります。

SNSは多くの人が利用するメディアですが、コロナ禍以降は急速に利用者が増加しただけでなく、ビジネスの連絡ツールとして、企業利用も盛んに行われるようになりました。企業の情報発信の中核となるオウンドメディアと言われる自社ホームページとの連携も容易なので、これからますます利用が高まっていくと思われます。

SNS自体は誰でも簡単に扱えるメディアですが、企業広報として利用する場合は幾つかの注意が必要です。

1. ターゲット・内容でSNSを使い分ける

SNSを利用した広報で効果を上げるためには、伝えたい内容やターゲットによって利用するSNSを使い分けることです。コメント(テキスト)をメインにするのか、動画・写真・グラフィックを中心に伝えていくのかなど、それぞれのSNS視聴者に受け入れられやすい情報に加工して発信しましょう。

2. リアルタイムな情報

SNSの視聴者は、今見たいもの、今知りたいことを視聴するためにSNSを利用する傾向があります。企業の展示会やセミナーなどのイベント告知、テレビで取材された場合は放映告知など、多くの人に知らせたい最新情報の告知で活用されることをお勧めします。

3. コミュニケーションメディアとしての理解

SNSはコミュニケーションメディアとして、双方向を意識した情報発信が基本となります。マスメディアでは把握するのが難しい視聴者の反応が「いいね」の獲得やリアルタイムでの視聴者数の表示によって把握できます。

その一方で、不用意なコメントを掲載してしまうと瞬時に炎上して拡散され、社会問題化するリスクもあります。掲載内容のチェックは短時間にかつ慎重に行うことが必要です。

4. インフルエンサーの活用

広報効果をさらに高めるために、多くの視聴者を有するユーチューバーのようなインフルエンサー(多くのフォロワーを抱えるなど社会的影響力の高い個人の情報発信者)とコラボするケースも増えています。例えば、人気ユーチューバーが経営者と対談したり、製品を利用する模様を紹介したりすることで、多くの視聴者から共感を得るような情報発信が可能となります。

ただし、情報発信の主体がマスメディアという企業から個人に変わるため、インフルエンサー視点(ユーザー視点)での紹介となることを理解したうえで依頼する必要があります。インフルエンサーを起用して広報や広告活動を行う場合はもろ刃の剣となります。口コミとして販売促進効果が高くなる効果が期待される一方、個人の不適切なコメントや紹介の仕方によってブランドイメージが損なわれるリスクもあるからです。また、視聴者に広告と気付かせないで広告を行うステルスマーケティングとして、批判的に捉えられる場合もあるのでご注意ください。

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4. DX時代の広報を目指して

デジタル技術やネットワークの発展により、SNSは現在よりもリアルなコミュニケーションメディアとして、生活に欠かせないメディアとなってくるのではないでしょうか。

ここで求められるのは、企業と社会のコミュニケーション力です。このコミュニケーション力とは、従来のマスメディアのような1対多数ではなく、1対1のコミュニケーションです。広報担当者は、コンプライアンスの徹底、ブランドの保持、正確な情報発信を基本にインフルエンサー的な人間力が必要になってくるかもしれません。DX時代の到来を前にSNSコミュニケーターの養成を行い、企業と社会の信頼関係をより確固たるものにしていきましょう。

参考

経済産業省「経済産業省ソーシャルメディア運用方針(2023年3月)」(経済産業省のWebサイトが開きます)

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5. AIを活用した確度の高い分析結果を導き出す

dotData AI分析サービス

広告宣伝業務は、製品・サービスの売り上げ目標に従って算出し、広告に対する売り上げ効果の検証も厳密に行う必要があります。「dotData AI分析サービス」は、AIが膨大な量のデータ(ビッグデータ)を分析し、データの傾向を基に売り上げや見込み顧客などの予測・判別などを行うほか、分析結果を基に中小企業診断士からアドバイスも受けられる総合的なサービスです。時間と労力をかけて今まで人が行っていた分析作業をAIが代わって行うことで、スピーディーかつ確度の高い分析結果を導き出すことが可能になります。

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  • * 本記事中に記載の肩書や数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容などは公開時点のものです。

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