2018年 5月 9日公開
2021年 6月28日更新

読んで役立つ記事・コラム

【アーカイブ記事】以下の内容は公開日時点のものです。
最新の情報とは異なる可能性がありますのでご注意ください。

企業のパワハラ対策

執筆:マネジメントリーダーWEB編集部

パワハラのない健全な企業環境の構築を目指して。
社員への無理な要求、高圧的な態度、いじめなどの行為はパワーハラスメント(パワハラ)と呼ばれ、当事者だけでなく会社の信頼も失う重大なリスクです。パワハラの対策について解説します。

1. 企業のパワーハラスメント対策

職場におけるパワハラは社会的にも厳しく非難されるため、パワハラ防止に取り組む企業は増える傾向にあります。

しかし、平成28年に厚生労働省が行ったパワハラに関する実態調査によると、パワハラの予防・解決に取り組んでいる企業の比率は全体の約半数となる52.2%にとどまっています。特に従業員数の少ない企業での取り組みが低い結果となっています。

平成28年度 厚生労働省委託事業「職場のパワーハラスメントに関する実態調査報告書(概要版)」(厚生労働省のWebサイト<PDF>が開きます)

目次へ戻る

2. パワハラの概念とは

職場のパワハラとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える、または職場環境を悪化させる行為をいいます。

これには、上司から部下に行われるものだけでなく、先輩・後輩間や同僚間、元請け企業と下請け企業など、さまざまな優位性を背景に行われるものも含まれます。

パワハラの概念について、詳しい内容を確認する

厚生労働省は、平成24年3月、職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告の資料として、「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」をとりまとめています。

職場のパワハラの概念については、以下資料の最後のページ、別紙「職場のパワーハラスメントの概念と行為類型」を参照してください。

職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議について(厚生労働省のWebサイト<PDF>が開きます)

パワハラの行為とは(例)

職場のパワハラとは、具体的にどのような行為を指すのでしょうか。
厚生労働省では、上記パワハラの定義に基づき、以下の6パターンに分類しています。

1.身体的な攻撃
暴行・傷害
2.精神的な攻撃
脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言
3.人間関係からの切り離し
隔離・仲間外し・無視
4.過大な要求
業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害
5.過小な要求
業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと
6.個の侵害
私的なことに過度に立ち入ること

これらの行為パターンは、分かりやすく整理したものです。実際のパワハラは、複合的であったり、職場環境などにより上記のパターンに含まれない行為もあったりしますのでご留意ください。

パワハラ行為としての考え方

1は、業務の遂行に関係するものでも「業務の適正な範囲」に含まれません。
2と3は、原則として「業務の適正な範囲」を超えるとパワハラ行為として考えられます。
4~6は、何が「業務の適正な範囲」を超えるかは業種や企業文化の影響を受け、具体的な判断も行為が行われた状況や行為が継続的であるかどうかによって左右される部分があるため、各企業・職場で認識をそろえ、その範囲を明確にすることが望ましいです。

目次へ戻る

3. パワハラによる影響

パワハラは、パワハラを受けた本人の士気、メンタルの双方にマイナスの影響を及ぼしますが、周囲の社員も士気が低下する、職場環境が悪くなり退職率が上がる、職場の悪評が広がるなど、悪影響が波及する可能性もあります。

また、法的責任を問われた場合、パワハラを容認する会社として社会的評価が下がる影響を及ぼします。

被害者に与える影響

  • 士気の低下、能力発揮に支障が出る。
  • 心の健康を害することがある。

企業に与える影響

  • 職場風土が悪くなる。
  • 本人のみならず周りの士気が低下する。
  • 解決に時間と労力を要する。
  • 被害者の職場復帰にも時間と労力を要する。
  • 加害者や企業の法的責任が問われることがある。
  • 事件が公になれば、企業の評価は一気に落ちる。

目次へ戻る

4. パワハラに効果のある取り組み

パワハラの予防・解決に向けて取り組んだ企業の調査によると、管理職・一般社員への教育・研修、アンケート調査による「パワハラの実態把握」が大きな効果を上げています。

パワハラを行う側は、相手や周囲にどのような影響を与えているのか認識していない場合が多いようです。また、普段のコミュニケーションが取れていない場合もパワハラとして受け止められる可能性があります。

このような状況をなくすために、パワハラ予防に向けての意識向上を教育・研修で促すことが重要です。また、アンケートによる実態調査は、実態を把握するだけでなく危険信号を察知し予防につなげるための有効な資料として活用できます。

  • * 出典:厚生労働省、平成28年度 厚生労働省委託事業「職場のパワーハラスメントに関する実態調査報告書(概要版)」、p.17を元に作成。

実態調査の結果によると、取り組みを行った企業では、その副次的な効果として、「管理職の意識の変化によって職場環境が良くなる」「職場のコミュニケーションが活性化し、風通しが良くなる」「管理職が適切なマネジメントができるようになる」など、全体の「意識向上」による活性化した職場への変化がうかがえます。昨今の企業トレンドとなっている「働き方改革」の一環として推進されることをおすすめします。

  • * 出典:厚生労働省、平成28年度 厚生労働省委託事業「職場のパワーハラスメントに関する実態調査報告書(概要版)」、p.16を元に作成。

目次へ戻る

5. 参考資料

パワーハラスメント対策導入マニュアル(第4版)(厚生労働省のWebサイト<PDF>が開きます)

目次へ戻る

6. パワハラの実態を把握するには

「SMILE V / eValue V コミュニケーション」のアンケート機能を活用!

「SMILE V / eValue V コミュニケーション」のアンケート機能は、アンケートの作成から公開、集計、報告までの一連の作業をご支援します。

レポート機能を利用し、リアルタイムでの回答集計を表示したり、全社的に公開することも、関係者間のみで共有することも可能です。

パワハラの実態を把握し、予防を行う施策として、アンケート機能をぜひご活用ください。

  • * 本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。

目次へ戻る