2021年 1月27日公開

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働き方の多様化とCI管理

執筆:マネジメントリーダーWEB編集部

企業イメージを具現化したCIは、社内の意識統一に寄与します。
テレワークなど勤務形態が多様化すると、社員としての自覚が希薄になるのではないかと懸念されています。CI(Corporate Identity)は企業イメージを統一し、社員の士気を高め、社内活性化を図ることに効果があります。

1. CIは会社の原点。社員がCIに共鳴することで一体感を創出

CIは、企業の存在意義や姿勢をシンボルマークやロゴ(デザインされた文字)として定め、社内外に広くアピールするものです。会社の名刺や封筒に描かれているものを思い浮かべる方が多いと思いますが、単なるマークではありません。これには企業の思いが凝縮されているのです。

CIの「I」はアイデンティティ(Identity)の略ですが、これはもともと哲学用語でもあり、正確な解釈が難しい単語です。分かりやすく「個人」の場合で例えると、自分自身の存在や考え方、個性を意味します。つまり、自分の意思や信念を貫くためには、自分のアイデンティティを確立しなければなりません。自分のアイデンティティが希薄だと、困難に直面したときに「自分は何のために行動しているのか」が分からなくなり、挫折してしまうこともあるでしょう。

企業は個人の集合体です。個人個人が同じ信念を持つことで、企業としての強みが発揮されます。そのために企業理念や行動規範などをシンボライズしたものがCIです。いつどんなときでも社員としての自覚と誇りを持って仕事を遂行するためには、社員をCIに共鳴させ、会社の原点を思い起こさせることが大きなポイントとなります。

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2. ますます高まるCIの役割

ほとんどの会社や組織では、会社や組織を象徴し、経営理念を表すシンボルマークやロゴが定められています。しかし、CIの運用管理となると千差万別です。CIを厳格に管理し、積極的にアピールする企業もあれば、単なる会社のマークとしてしか取り扱わない企業もあります。

事業活動の視点でCIの役割を考えてみましょう。一般消費者向けに商品やサービスの提供を行っている会社は、商品名のアピールが売れ行きを左右します。そして、商品の名前やイメージを広く効果的に伝えることはもとより、それらの商品やサービスを提供している会社がどのような会社なのかを広く知らしめる必要があります。従ってCIを厳重に管理し、幅広く活用することが重要です。

消費者から「○○社の製品だったら安心できる」「○○社が提供するサービスなのでクオリティが高い」などと一般に認知されるようになったら、CI戦略は成功です。消費者に喜ばれる商品を次々と生み出す企業として、企業全体の「ブランド価値」が高まります。CIのアピールと併せて商品開発力や技術力を高めることで、社内外に統一されたイメージが浸透しブランド力も高まるのです。

次に社員の視点でCIの役割を見てみましょう。社員が同じ企業理念を共有することは、一体感の醸成に役立ちます。企業の成長とともに社員数が増えるにつれて、社員がバラバラに行動するリスクが出てくるため、CIを厳格に運用して「組織の一員」として統制された行動をするように促します。スーツに着ける「社章(社員章)」はその代表的なものです。

CIの主な役割

(例)
企業理念:お客様を笑顔にして喜ばれる商品を提供する。そのために最大限の努力をする
コーポレートカラー:イエロー(幸福を象徴する色)

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3. CIの管理と運用

CIを構成する主な要素は以下のとおりです。

  • 企業理念(社会に対しての存在意義)
  • 企業価値(自社の特色と強み)
  • 企業使命(社会に対して果たす役割)
  • 企業精神(重視する心構え)
  • 企業ビジョン(企業が目指す方向性)

これらの要素を最大公約数的にシンボライズ(視覚デザイン化)したものが、シンボルマークやロゴになります。また視覚デザイン化するに当たっては、社風を反映した「コーポレートカラー」や「デザインされた文字」が加味されます。

CIの主な利用用途

このようにして作成されたCIは、とても重要な意味を持っています。またCIは会社のマークやロゴとしてさまざまな形で利用されます。

  1. 事務用品(名刺・封筒・便箋など)
  2. 商品やサービスのデザイン・ネーミング・ロゴ(パッケージ含む)
  3. 社名看板・広告看板・案内表示など
  4. 施設のデザイン(オフィス・店舗・工場など、内装含む)
  5. 広報宣伝物(会社案内・プレスリリース・商品カタログ・ノベルティなど)
  6. Webサイト(商品紹介や採用サイト、SNS公式チャンネル含む)
  7. ユニフォーム(作業着・Tシャツ・帽子・腕章・名札・記章など)

CIマニュアル

CIは、会社のマークやロゴとして企業活動のあらゆるシーンで利用されます。CIを何度も繰り返し目にすることで、イメージが蓄積されて記憶に残ります。社内外の多くの人の記憶に残ることで、「ブランドイメージ」が定着していくのです。

そのためCIは統一されたイメージを持つものとして表記する必要があります。会社のマークやロゴを印刷物などに使用する際には、あらかじめ「CIマニュアル」を作成して、位置や大きさ、カラー指定などについて規定どおりに正しく使用するよう徹底しましょう。

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4. テレワーク時代のCI管理は企業理念の共有がポイント

テレワークが普及するにつれて、CIの役割はますます高まっています。その大きな理由は、オフィスを離れて仕事をする機会が増え、会社としての一体感を保ちにくくなっている現状にあります。この課題を解消するために、CIで企業理念などの理解や啓発を図り、CIを通した「企業理念の共鳴・共感」を促進させましょう。

これは会社が大きくなるにつれて社員数が増え、活動エリアも国内外に広がっていく場合と同じです。会社組織が大きくなるほど、CI教育を徹底する必要があります。

CIのデジタル対応

CIについての教育研修も重要になりますが、その際にCIのデジタル化を図る必要があります。CIは名刺やパンフレットなどの印刷物を中心に使用されてきました。そのため容量の大きい高解像度のデータしかない場合があります。そのままではWeb用のデータとしては扱いにくいので、JPEGなどの保存形式に変換しておくと便利です。

メール対応

社内外で頻繁にやりとりするメールも、「フォント」と「署名」を統一します。メールの印象を統一するため、メールソフトも同じにすることをおすすめします。さらに、社員全員に同じ署名・書式テンプレートを配布して利用を促します。

リモート会議

リモート会議の際に利用するバーチャル背景を統一します。記者発表などで使用される「プレスボード」を模したものや、コーポレートカラーを重視したものなど所属企業が視覚的に一目で分かるものにしましょう。そのうえで見栄えがよく、社員が喜んで利用できるような洗練されたデザインをおすすめします。なぜなら、社員から「やぼったい」と評価されてしまうと使われなくなる可能性が高いからです。

社外の方と会議する場合はコーポレートカラーと企業ロゴやマークをデザインしたものを使用し、社内の会議ではコーポレートカラーと部署を表すデザイン、オンライン飲み会や雑談のときは遊び心のあるデザインなど、用途によって使い分けできるとよりよいでしょう。

動画対応

企業がSNSなどで自ら情報発信することは珍しくありません。そのような場合は、企業イメージを崩さないよう基本フォーマットを決めておく必要があります。最初は社外広報用と社内限定公開用ぐらいの大まかな分類から作成しましょう。

また、CIデザインも静止画用、動画用をそれぞれ作成します。特に動画の場合はシンボルマークやロゴのアクションをどういった仕様にするのか、音楽や企業名、メッセージのナレーションをサウンドロゴにするのかなどを決めておきましょう。

これらの制作は、専門的な知識や経験が必要となる場合があります。自社で対応できない場合は広告会社や制作会社に相談してみましょう。

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5. 働き方の多様化とCI管理~まとめ~

CIは、単なる会社のシンボルマークというだけでなく、社員の心をつなぐツールとしての役割が高まっています。さらに露出する機会を増やすことが大切です。

CIが認知され浸透するには、長い時間がかかります。そのため、頻繁にCIを変更することは好ましくありません。しかし、テレワークなどインターネットを利用して仕事を行うことが主流になり、CIの用途や利用頻度が高まっている今、自社のCIがデジタル時代に適合しているかを見直してみてはいかがでしょうか。現状どのような使われ方をしているのか、どのような課題があるのかを検証してみましょう。そのうえで経営者と社員、双方の意見を踏まえながら新しい時代にふさわしいCIを構築していきましょう。

CIの変更には、社内外の看板や広告宣伝物などを作り直す手間が生じます。これらの作業にはかなりの予算と労力がかかりますが、CIは長期間にわたり日常的に目にされるものです。そのため総務の仕事としては、社屋の移転やオフィスのリニューアルと並んでやりがいのある仕事といえるでしょう。機会があればぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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6. 大塚商会が、テレワークの導入をお手伝いします

手遅れということはありません。テレワーク導入開始は今こそ

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  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。

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