2021年 2月10日公開

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諸規定の見直しのポイント

執筆:マネジメントリーダーWEB編集部

社会環境の変化に対応した迅速な規定の見直しが必要。
2020年はコロナ禍で働き方や企業の在り方、生活様式が大きく変化しました。テレワークが増加するなど働き方の変化に伴い、諸規定が現状と乖離(かいり)していないかを確認し、必要があれば速やかに改定を行いましょう。

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1. 業務規定の見直しについて

企業で定めている諸規定は、企業を取り巻く社会環境の変化や企業自体の状況変化(業容の拡大・縮小など)に応じて常に点検を行い、現状に適したものにしておく必要があります。現状に合わないものを放置しておくと、規定そのものが形骸化し、会社の信頼性が損なわれる事態になりかねませんので十分注意する必要があります。

規定の見直しのポイント

1. 法律の改正

法律が改正される場合は、法案の成立時点で規定内容の変更作業を開始します。法律が施行される前に規定の改正を行い、社内周知します。近年働き方改革の関連法案の施行が相次いでいますので注意が必要です。

2. 社会状況の変化

少子高齢化による労働人口減少やデジタル化の拡大など、企業を取り巻く社会状況は徐々に変化してきました。しかし、コロナ禍によって変化が急激に加速しています。特にテレワークに関する規定は、就業規則から手当までを、新設も含め幅広く見直す必要があります。

3. 経済状況(物価)の変化

各種手当や見舞金などの金額に関わる規定の見直しは、社員の生活に影響するので速やかに行う必要があります。手当などは他社事例を参考にしたり、市場価格を調査したりするなど社員が納得できる金額を検討しましょう。また、慶弔見舞金は金額だけでなく、支給対象範囲や個々の状況によるランク付け等の見直しも同時に行う必要があります。

4. 企業内の状況変化

会社の業容の拡大・縮小や業務内容の変化に応じて規定の見直しを行います。基本的には経営計画に沿って規定を見直し、経営計画を達成するために必要なルールを検討していきます。検討会議は総務+現業部署が一緒になり、多角的に行うことをおすすめします。そして、経営計画で定めた目標をクリアするためには新たな規定が必要となる場合もあります。その際、現場の課題や社員の意見を踏まえたうえで規定を作ると、スムーズな運用につながります。

企業を取り巻く環境変化に対応する見直し以外に、トラブルシューティングによる見直しも重要です。突発的に発生する事故や不祥事の原因究明と未然に防ぐための規定の見直しは、可及的かつ速やかに行わなければなりません。また、規定に反する行為が頻発する場合は規定そのものを見直してみる必要があります。

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2. テレワークに関連する規定の見直しポイント

テレワークは、オフィスや工場、店舗などの企業施設で働くことを前提とした従来の労働の概念を大きく変える新しい働き方です。そのため導入に当たっては幅広い規定の見直しや新設が必要になります。

就業規則

就業規則の変更、もしくはテレワークに関する就業規定を従来の就業規則に付則として追加します。テレワークの頻度が少ない場合(週1~2回程度)は付則で対応できますが、本格的にテレワークを導入する場合は就業規則の改定を検討してください。また、就業規則の変更は労働基準監督署への届け出が必要となります。

諸手当の見直し

在宅勤務時の通信費やPC・プリンター・コピー機・FAX の使用料、携帯・スマホの通信費などをテレワーク手当として支払う場合は、申請方法や金額を規定します。また、長期的にテレワークを行う場合、通勤交通費(定期代)の規定も見直す必要があります。

最近はカフェスタイルのコワーキングスペースやビジネスホテルをシェアオフィスとして利用するケースも増えていますので、それらの利用規定も検討しましょう。将来的には遠隔地での居住など住宅手当の見直しが必要になるかもしれません。

文書のデジタル化

在宅勤務でも必要な資料をすぐ取り出せるように、原則として社内文書は全てデジタル化する旨を規定します。加えてデータの保管、利用、アクセス、守秘義務などをルール化します。また、紙の文書(過去の契約書など)のデジタル化も推進します。

申請規定

各種申請がオンライン処理できるように申請・決裁方法を見直します。ここでポイントになるのが「押印・捺印の廃止」と「オンライン決裁」です。印鑑の廃止と承認決裁のオンライン化はセットで検討します。さまざまなやり方や便利なシステムがありますので、自社に適したシステムの導入と規定の見直しを行い、「ハンコのための出社」をしなくても済むようにしましょう。

勤務環境の規定

新型コロナウイルス感染拡大防止(マスクの着用・検温・手洗いとうがいの実施・ソーシャルディスタンスの確保など)のため勤務環境の規定を見直します。ソーシャルディスタンスの確保はデスクの配置や会議室、休憩室のレイアウトにも関わります。今後もパンデミックの状況は刻々と変化しますので、状況の変化にあわせて規定を柔軟に見直していくことも必要です。

セキュリティ規定

在宅で作業する場合の情報セキュリティ規定を見直しましょう。特にコロナ禍により急いでテレワークを実施した企業では、リスクにつながる課題を検証し、情報流出などの事故が起きないよう規定を整備・強化してください。

そのほかにも、テレワーク関連の規定には健康管理に関わる福利厚生や副業なども挙げられます。テレワーク実施に当たり問題となることを洗い出して、規定の見直しを行いましょう。

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3. 規定改定の周知

社内規定を改定する場合は全社員にその旨を周知します。その場合には、「○○規定第○条を改定しました」という形式的なものではなく、改定による変更点とその意図をできるだけ詳しく説明してください。また、大幅な改定を行う場合は説明会や研修(オンラインも含む)を行い、実施スケジュールを含め詳細に周知します。その際には社員からの質疑にも対応するようにしましょう。

業務のデジタル化の流れは社内だけでなく、社外に関係することも多々あります。とりわけ契約書のデジタル化や見積書・請求書をオンライン化する場合です。社外への案内は丁重に行い、状況次第では役職者が相手先に出向き協力要請を行うようにしましょう。

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4. IT技術でテレワーク環境の構築をサポート

就業場所を選ばない働き方を実現するには、社外にいても社内と同じように新しくした規定書にアクセスできなければ意味がありません。そのために、社外から社内のネットワークにアクセスできるようにする、文書を電子化・共有化するなど、IT技術を利用した業務体制の改善が必要です。

  • *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。

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