カーボンニュートラル
産業や家庭などから排出される温室効果ガスを削減するとともに、削減しきれない分を植物などによる吸収や地中への固定化、再利用などを行うことで、大気中の温室効果ガスをプラスマイナスゼロにすること。カーボンニュートラルが実現された社会を「脱炭素社会」と呼ぶ。地球規模で進行する気候変動への対策として、カーボンニュートラルの推進が求められている。
2015年に採択されたパリ協定では、世界共通の長期目標として、主に次のことが合意されている。
(1)世界的な平均気温の上昇を、産業革命以前に比べて2℃より低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求すること(2℃目標)
(2)今世紀後半に、温室効果ガスの人為的な発生源による排出量と、吸収源による除去量との間の均衡を達成すること
この実現に向け、120以上の国と地域が「2050年カーボンニュートラル」という目標を掲げている。
日本では2020年、当時の菅義偉首相が所信表明演説において「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする。すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言した。2021年10月に「地球温暖化対策計画」を改訂し、2030年度において2013年度比で温室効果ガス46%の削減、さらに50%削減に向け、挑戦を続けていくことを発表。その方策として、住宅や建築物の省エネ基準の適合義務付けの拡大、水素・蓄電池など重点分野の研究開発および社会実装の支援、脱炭素先行地域の創出などが決定された。しかし、石油や石炭などの化石燃料対策が不十分だとして、日本は国際的な環境NGOグループ「気候行動ネットワーク(CAN)」から「化石賞」を授与され続けている。