分散型クラウドストレージ
複数のコンピューターや、ネットワーク拠点にデータを分散して保存するクラウドストレージの仕組みを、分散型クラウドストレージと呼ぶ。従来のクラウドストレージは、特定の企業のデータセンターにデータを保管する中央集権型の仕組みを採用していた。そのため、サーバーが故障したり、ハッキング攻撃に遭ったりしたときの被害が大きいという課題があった。また、大規模なデータセンターの運営には相当なコストがかかるという欠点もある。
分散型クラウドストレージは、ブロックチェーンの技術やP2P(ピア・ツー・ピア)ネットワークを活用し、複数拠点にデータを分散させる。これにより、一部のノード(コンピューター)がダウンしてもデータ消失のリスクが低い。また、暗号化されたデータが保存されているため、情報漏えいのリスクも抑えられる。
拡張性の高さも分散型クラウドストレージの特徴の一つである。データを分散するノードを追加すれば、比較的容易に容量を拡張できる。ただし、柔軟なリソースの拡張が期待できる反面、ノード管理が複雑になりやすい懸念もある。また、並列処理によって高速にデータを取得できるが、複数のノードと通信するためネットワーク遅延の影響を受けやすいという特徴もある。一般的にはリアルタイムで大量のデータを処理するよりも、データを長期間保存する用途に向いている。データの種類や用途に応じて最適な分散型クラウドストレージを選択することが求められる。