デファクトスタンダード
「事実上」を意味するラテン語の「de facto」と、英語の「standard」と組み合わせて「事実上の標準」を意味する。国際機関や標準化団体などによる公的な標準ではなく、市場競争を勝ち抜いた結果、事実上の標準と見なされるようになった製品や規格のこと。これに対し、JIS(日本産業規格)やISO(国際標準化機構)など、公的な標準化団体での合議により認証された規格を「デジュールスタンダード(De Jure Standard)」と呼ぶ。
デファクトスタンダードの成立には、市場による競争原理が大きく影響する。実際の競争にはさまざまな要素が複雑に作用するため、必ずしも技術的に優れた規格だけが生き残るとは限らない。規格を採用するメーカーやユーザーをいかに多く獲得するかが勝負を分けるため、複数の企業が連携することもある。例えば、家庭用ビデオデッキにおけるVHSとベータマックスの競争が代表的である。パソコン向けOSの「Windows」、パソコンのキーボードの「QWERTY配列」、インターネット上の通信プロトコルである「TCP/IP」などもデファクトスタンダードの例といえる。