2023年 1月16日公開

IT用語辞典

電子帳簿保存法

制作協力:株式会社インプレス

読み方 : でんしちょうぼほぞんほう

電子帳簿保存法

電子帳簿保存法とは、経理部門で作成する決算書などの帳簿書類や、取引に伴って発生する注文書や請求書などの国税関係帳簿書類を電子データで保存する要件を定めた法律。正式名称は「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」である。高度情報化とペーパーレス化の促進を目的として1998年に施行され、これまでに数回改正が行われ、2022年1月にも改正が行われた。

帳簿書類を電子データで保存することは、経理業務の効率化、コストの削減、テレワークの推進、オフィスの省スペース化、セキュリティの強化などのメリットがある。しかし反面、システム導入のコストがかかる、システム障害などのリスクがあるといったデメリットも存在する。

今回の改正での変更点として、主に次のことが挙げられる。
(1)事前承認手続きの廃止
電子データで保存する際、事前に税務署長から承認を得る必要があったが、令和4年1月1日以後に保存するものから事前承認が廃止された。
(2)タイムスタンプ要件の緩和
タイムスタンプとは、ある時点での電子データの存在を証明するもの。改正前は3日以内に原本へ自署してタイムスタンプを付与する必要があったが、付与期限が最長約2カ月7日以内に変更された。また、電子データの修正や削除などを確認ができるシステムに保存するときは、タイムスタンプの付与を省略できる。
(3)適正事務処理要件の廃止
電子データとして保存する際、電子データと紙の書類を照合する適正事務処理が必要だったが廃止された。また、紙の書類の保存も不要になった。
(4)検索要件の緩和
電子データを保存するときに検索機能とする要件が、取引年月日(そのほかの日付)、取引金額、取引先のみになった。
(5)訂正削除履歴の廃止
帳簿の訂正や削除を行う際に必要とされた訂正・削除の履歴が不要となる。

緩和や廃止により負担が軽減される一方、不正には重加算税が+10%となる措置が適用されるなど、緩和と厳格化を兼ねた改正となっている。