2025年 5月19日公開

IT用語辞典

エンボディドAI

制作協力:株式会社インプレス

読み方 : えんぼでぃどえーあい

エンボディドAI

エンボディドAI(Embodied AI)は物理的な身体を持つAI(人工知能)のこと。従来のほとんどのAIは、パソコンやクラウド上で動作してデータを処理する。エンボディドAIは、ロボットやスマートデバイスに組み込まれ、環境と相互作用しながら学習や判断を行う。「Embodied」は「具現化された」という意味を持つ。

エンボディドAIの物理的な身体の例として、カメラ、センサー、マイクなどがある。人間と同じように目(カメラ)で見たり、声(マイク)を使ったりして視覚・聴覚から情報を取得し、物理的な操作を行う。具体的には、倉庫でピッキングをするロボットが倉庫内の商品を識別し、最適なルートで移動しながら商品の仕分けをする、工場で人間の作業員と協力して組み立てを補助する協働ロボットなどが挙げられる。

エンボディドAIは、リアルな環境でデータを取得し、AI自身が試行錯誤しながら学習する。AIが身体を持つことで、ジェスチャーや表情、音声などを使って人と直感的なコミュケーションをとれる。人間にとって親しみやすい存在になり得る。これまでのAIが得意なデータ分析や予測と違って、エンボディドAIは実際の作業ができるため、さまざまな現場で活用が見込まれる。

エンボディドAIは、ハードウェアとソフトウェアの両方を開発するため、一般的なAIよりもコストがかかる。また、メンテナンスや修理の負担もある。人と直接関わる場合の安全性の確保も重要になる。利用拡大に向けて課題はあるものの、人手不足が深刻な介護、医療、物流、製造業などの分野を中心に、人と共存する技術として発展していくと考えられる。