屋内測位技術とは
屋内や地下街など、「GPS」(全地球測位システム)の電波が届かない場所でも現在位置を測位できる技術のこと。
従来利用されてきた主な屋内測位技術として、下記のようなものがある。
(1)ビーコン(BLE)
複数のビーコンから受信したBluetooth電波強度から、三点測位によって現在位置を推定する。モノ側にBeaconを携帯し、スマートフォンやタブレットを受信装置として活用することで、動体の管理に役立てることも可能。
(2)Wi-Fi
複数のWi-Fiアクセスポイントから受信した電波強度の違いから、三点測位によって現在位置を推定する。Wi-Fi電波の受信可能な屋内ほか、ビル陰など十分な数のGPS衛星の電波が受信できない場所での測位精度の向上に役立つ。ただしビーコン(BLE)と比べると測位精度が劣る。
(3)歩行者自律航法(PDR)
スマートフォンのジャイロセンサーや加速度センサーで取得された値から、移動向きや移動距離を計算して現在位置を推定するなど、歩行者に各種センサーを取り付けたデバイスを持たせ、センサーから取得した値から現在位置を推定する。
(4)IMES方式
GPS衛星と同等の信号を利用する屋内測位方式。屋内にGPS衛星を補完する送信機を設置し、そこから発信される電波を受信することで緯度・経度・高さ情報を読み取り、位置推定を行う。
ただし、いずれの技術も決定的な技術とはいえない。いずれも十分な精度が実現できない、計算コストが高い、専用機器を必要とするためである。現状で有力視されているのは、複数の技術を組み合わせて屋内測位を実現する流れで、実現すれば、建物内での災害・事故発生時において被災者の特定と迅速な救助が可能になったり、訪れたお店の位置が特定されることで、リアルタイムで広告を自動配信できたりする。より便利で快適な社会生活に役立つことが期待されている。