2023年 5月29日公開

IT用語辞典

ISMバンド

制作協力:株式会社インプレス

読み方 : あいえすえむばんど
英語正式表記 : Industrial Scientific and Medical Band

ISMバンドとは

ISMバンドとは、「Industrial Scientific and Medical Band」の略語で、「産業科学医療用バンド」の意味。工業、科学、医療などの分野で利用するために割り当てられた周波数帯を指す。これは国際電気通信連合(ITU)が割り当てた無線通信以外の周波数帯であり、国によって異なるが、日本では2.4GHz帯、5.7GHz帯、920MHz帯などがある。

無線の周波数は限られた資源であり、同じ周波数を複数のユーザーが使えば混信が発生する。そのため、ITUが周波数の使用目的を取り決め、各国の主管庁に監督責任を委ねている。日本では電波法が定められており、総務省が管轄している。電波の利用には無線取扱免許や届け出が必要であるが、ISMバンドは免許がなくても利用できる。

2.4GHz帯は、電波を遠くまで届けることができ、障害物の影響も受けにくいという特徴がある。ただし、無線LAN(Wi-Fi)規格であるIEEE 802.11bやIEEE 802.11g、Bluetooth、電子レンジ、コードレス電話など、さまざまな機器で利用されているため、電波干渉が発生しやすい。例えば、家庭内でIEEE 802.11bやIEEE 802.11gの無線LANを利用する場合、電子レンジの影響で通信がしにくくなったり切れやすくなったりするなど、伝送速度の低下や接続の中断などを引き起こすことがある。この干渉の問題を防ぐため、周波数ホッピングやスペクトラム拡散などの技術が開発されている。

一方、5.7GHz帯は電波干渉が少なく、屋内限定の無線LAN規格であるIEEE 802.11acやIEEE 802.11n、アマチュア無線に利用され、920MHz帯はIoTシステムの通信手段として利用されている。なお、IEEE 802.11nは2.4GHz帯、5.7GHz帯の両方に対応している。(初版:2018年8月20日)