量子耐性暗号
量子耐性暗号とは、量子コンピューターによる攻撃に耐えられるよう設計された新しい暗号化方式の総称である。量子コンピューターは、将来的にインターネット通信の安全を支えている公開鍵暗号を短時間で解読できる可能性が指摘されている。代表的な方式であるRSA暗号は、大きな整数を素因数分解することの困難さを安全性の基盤としており、Web通信や電子署名など幅広い用途で利用されている。しかし、この素因数分解は量子計算において効率的に解かれる可能性が高く、量子コンピューターの実用化が進めば短時間で破られる恐れがある。楕円曲線暗号(ECC)も同様に、量子計算に対して脆弱であることが指摘されている。
こうした弱点を克服するため、量子耐性暗号は量子コンピューターでも計算が困難とされる数学的問題に基づいて設計される。代表的な方式として、格子問題、符号理論暗号、多変数多項式暗号、同型暗号などが挙げられる。これらはいずれも、量子計算に対して効率的な解読方法が知られていないという特徴を持つ。
研究・開発が進む量子耐性暗号の多くは、既存のインターネットやセキュリティ関連プロトコルと互換性を保ちながら利用できるよう設計されている。一方で、鍵となる部分のデータ量が大きくなることでメモリや通信帯域に負荷がかかる点、計算量の増加による暗号化・復号化に時間がかかる点が課題として挙げられる。
2025年時点では、既存の暗号を短時間で破る量子コンピューターの実用化には数十年かかると見込まれている。しかし、通信内容を先に盗み、量子コンピューターが実用化した段階で解読する「ハーベスト攻撃」のリスクや、公開鍵暗号の普及に長い時間を要した歴史を踏まえると、早期から量子耐性暗号への移行を進めることが重要視されている。
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