要求工学とは
ソフトウェア開発における、ユーザー要求を仕様化するプロセスについての技術および研究のこと。要求仕様化プロセスを工学的に定式化する技術である。
要求工学は、米国で1970年代後半から研究が進められてきた。日本では2004年に本格的な取り組みが始まり、情報処理推進機構(IPA)ソフトウェア・エンジニアリング・センター(SEC)が研究部会を立ち上げ、要求工学国際会議が日本で初開催された。それによると、プロジェクトの失敗原因の多くは要求に起因すると定義付けられており、失敗を防ぐには、ソフトウェア開発の上流で可能な限り顧客要求を確定しておくことが重要になるとされている。
要求工学では一般的に、要求に関する工学的な手法を下記のプロセスに分類している。
(1)要求の獲得:主にインタビューなどで、ユーザーから目的や必要な機能を引き出す
(2)定義:UML(統一モデリング言語)などを使って要求を可視化したり、要求の仕様書を作成したりする
(3)検証:レビューなどでソフトが要求を正しく反映しているかどうかを確認する
(4)管理:要求変更時に上流からの一貫性を保ったり、要求定義内容を再利用したりする
以上のようなプロセスを経ることによって、本当に解決しなければならない問題点は何か、どのように解決するといいかについて、顧客と開発者が互いに気付くことができる。その結果、両者にとって実りあるソフトウェア開発ができるという。