リテールメディア

リテールメディア

リテールメディアとは、小売業が自社の持つ顧客接点や購買データを活用し、広告やマーケティングを展開する仕組みのこと。スーパーやECサイトが、自社アプリ・Webサイト・店頭デジタルサイネージなどを広告枠として提供し、メーカーやブランドがそこに広告を出稿する形が一般的。近年、Cookie規制や広告費高騰の中で注目され、国内外で急成長しているマーケティング手法である。

リテールメディアの最大の特徴は、購買履歴や会員情報といった一次データを用いることで、精度の高いターゲティング広告を配信できる点にある。消費者の購買直前に直結する接点で広告を出せるため、直接的に購買意欲を刺激し、高い販売促進効果が期待できる。小売業にとっては広告枠販売による新たな収益源となり、メーカーとの協業やデータビジネスの拡大にもつながる。

一方、リテールメディアの対象は自社の来店者や会員に限られるため、リーチ（広告が届く範囲）が限定的であるという課題もある。また、個人情報保護や同意管理といった法規制への対応が不可欠であり、運用コストがかかる点も考慮する必要がある。

こうした課題克服のため、小売業同士や異業種と連携した共通のリテールメディアプラットフォームの構築、データの匿名化や安全な共有技術（クリーンルームなど）の導入が進められている。