リスクマネジメントとは
企業経営において損失を生じうるリスクを組織的に把握し、機会損失の回避や低減を図るプロセスのこと。将来起こりうるリスクによる不測の損害を想定し、リスクが起こった場合の損害を最小限にとどめ、最小限のコストで効果的に処理する経営管理手法。リスクは機会損失が生じる事故発生の危険性を指す。アメリカで登場した「保険管理型リスクマネジメント」が現在のリスクマネジメント手法のルーツの1つだと考えられている。
リスクマネジメントの基本的な手法は以下に挙げられる。
(1)リスクの回避
事故が発生する確率が非常に高いと予想される場合、リスクを冒さず行動を抑制すること。
(2)リスクコントロール
事故によって生じる損害を事前に防止する(ロスプリベンション)、事後に発生した損害の波及・拡大を防止し、軽減する(ポストロスコントロール)。
(3)リスクファイナンス
損失補てんの資金調達をする手法を事前に準備する。
リスクマネジメントは、「リスクを発見する」「リスクの分析」「リスクの評価」「リスクマネジメントの検討」「リスクマネジメントの実施」「リスクマネジメントの見直し」のステップで行う。これらをサイクルとして回し、企業のリスクマネジメントの定着を図る。リスクの影響度や頻度を踏まえた上で、リスクを巧みにコントロールし、ビジネスプロセスの中にリスクマネジメントの考えを入れることが重要だ。
リスクマネジメントには、個人情報漏えいや情報セキュリティ対策、放射線や化学物質などの利用や管理、自然災害の環境リスク管理、社会システムや制度のリスク管理も含まれる。経営の多様化、グローバリゼーション国際化、コンプライアンスの遵守、意思決定の迅速化などによって、リスクマネジメントのニーズは高まっている。